1968年 激動の時代の芸術 @ 千葉市美術館


娑婆留闘社「獄送檄画通信(三)」1970年 千葉市美術館蔵 ©1970 Akasegawa Genpei

 

1968年 激動の時代の芸術
2018年9月19日(水)-11月11日(日)
千葉市美術館
http://www.ccma-net.jp/
開館時間:10:00-18:00(金、土曜は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:10/1、11/5
企画担当:水沼啓和(千葉市美術館主任学芸員)

 

千葉市美術館では、近代的な価値がゆらぎはじめ、世界各地で騒乱が頻発した1968年の日本の現代美術を振り返る展覧会『1968年 激動の時代の芸術』を開催する。

国際的に20世紀後半の激動の年のひとつとして記憶される1968年には、日本国内でも全共闘運動やベトナム反戦運動など社会が騒然とするなか、カウンターカルチャーやアングラのような過激でエキセントリックな動向が隆盛を極めた。昨年、話題となった『「1968年」:無数の問いの噴出の時代』(国立歴史民俗博物館)など、近年、この時期に起こった文化現象がさまざまな分野で注目を集め、「1968」は国内外で文化史のキーワードとして定着したと言えるのではないだろうか。

学生運動やヒッピームーヴメントに代表されるような、規制の価値や体制に異議を申し立てる時代の空気は芸術家のあいだでも共有された。現代美術だけでなく、演劇、舞踏、映画、建築、デザイン、漫画など周辺領域の作家たちも、既存のスタイルを打ち破るような先鋭的な試みを行なうなど、ジャンルを越えた協力や展開が繰り広げられ、1968年前後は日本の現代美術においても重要な時期として語られる。また、1968年には「もの派」の嚆矢として挙げられる関根伸夫の「位相-大地」が発表、多木浩二や中平卓馬、森山大道らによる写真同人誌『プロヴォーク』が創刊されている(2013年に東京都写真美術館で開かれた『日本写真の1968』も記憶に新しい)。

 


鶴岡政男「ライフルマン」1968年 広島県立美術館蔵


田名網敬一「ジェファーソン・エアプレイン ヒッピーの主張」1968年 NANZUKA蔵

 

本展では、現代美術を中心にこの時代の芸術状況を「激動の1968年」、「1968年の現代美術」、「領域を超える芸術」、「新世代の台頭」のセクションで振り返る。「領域を超える芸術」では、三島由紀夫や川端康成、澁澤龍彦、横尾忠則、宇野亜喜良らが夜毎訪れたサイケデリックディスコの代表格「MUGEN」のプロデューサー浜野安宏の協力のもと、当時のライティング・ショーをマルチプロジェクションで再現するほか、田名網敬一のグラフィック作品とともにサイケデリック・ムーヴメントの一端を紹介する。会期中には、上述した浜野の講演会のほか、美術家共闘会議(美共闘)の議長だった堀浩哉が当時の運動の意味と60年代末から展開した制作活動について語る講演会を開催。また、シュウゾウ・アツチ・ガリバーは当時の活動について語るとともに、1968年初演のパフォーマンス「し・C・4」を荒木悠、Lily Shuと再演する。そのほか、1968年に公開された『略称 連続射殺魔』(監督/足立正生)や『新宿泥棒日記』(監督/大島渚)の上映、千葉市美術館主任学芸員の水沼啓和による市民美術講座など、展示のみならず、多彩な関連イベントを通じて、当時の芸術状況を振り返る。

 


関根伸夫「位相-大地」1968/1986年 静岡県立美術館蔵

 

講演会とパフォーマンス「し・C・4-ガリバー1968を語る」
講師:シュウゾウ・アツチ・ガリバー(美術家)
パフォーマー:シュウゾウ・アツチ・ガリバー、荒木悠、Lily Shu
2018年9月29日(土)14:00-(開場:13:30)
会場:千葉市美術館11階講堂
定員:150名(先着)、無料
※当日12:00より11階にて整理券配布

講演会「1968年前衛の終焉-美共闘 廃墟からの出発」
講師:堀浩哉(美術家)
2018年10月6日(土)14:00-(開場:13:30)
会場:千葉市美術館11階講堂
定員:150名(先着)、無料
※当日12:00より11階にて整理券配布

講演会「サイケのHAMANO、サイケとその後の世界を語る」
講師:浜野安宏(ライフスタイルプロデューサー)
2018年10月20日(土)14:00-(開場:13:30)
会場:千葉市美術館11階講堂
定員:150名(先着)、無料
※当日12:00より11階にて整理券配布

映画上映会『略称 連続射殺魔』
監督/足立正生、1969年、86分
2018年10月27日(土)14:00-(開場:13:30)
会場:千葉市美術館11階講堂
定員:150名(先着)、無料
※当日12:00より11階にて整理券配布

映画上映会『新宿泥棒日記』
監督/大島渚、1969年、94分
2018年11月4日(土)14:00-(開場:13:30)
会場:千葉市美術館11階講堂
定員:150名(先着)、無料
※当日12:00より11階にて整理券配布

市民美術講座「環境芸術とミニマル・アート」
講師:水沼啓和(千葉市美術館主任学芸員)
2018年10月13日(土)14:00-(開場:13:30)
会場:千葉市美術館11階講堂
定員:150名(先着)、無料

市民美術講座「アンダーグラウンドとサイケデリック」
講師:水沼啓和(千葉市美術館主任学芸員)
2018年10月13日(土)14:00-(開場:13:30)
会場:千葉市美術館11階講堂
定員:150名(先着)、無料

 

その他の関連イベントは公式ウェブサイトを参照

 

 


 

さや堂ホール展示プロジェクト
ハナムラチカヒロ『地球の告白』
2018年11月1日(木)-11月11日(日)
千葉市美術館1階さや堂ホール
観覧無料

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