シルケ・オットー・ナップ『スミレ』@ タカ・イシイギャラリー 東京


Silke Otto-Knapp Violets II (2018) watercolor on canvas, 100 x 80 cm © Silke Otto-Knapp

 

シルケ・オットー・ナップ『スミレ』
2018年9月7日(金)-10月6日(土)
タカ・イシイギャラリー 東京
http://www.takaishiigallery.com/
開廊時間:11:00-19:00
休廊日:日、月、祝
※オープニング・レセプション:9月7日(金)17:00-19:00

 

タカ・イシイギャラリーでは、ロサンゼルスを拠点に制作活動を行なうシルケ・オットー・ナップが、同画廊3度目の個展として、クルト・シュヴィッタースの出版した詩誌「Veilchen(スミレ)」を起点に制作した一連の絵画を発表する展覧会を開催する。

シルケ・オットー・ナップ(1970年ドイツ・オスナブリュック生まれ)は、舞台デザインやバレエ、モダンダンスなどの歴史資料を調査した上で、キャンバスに水彩絵具を何層にも重ねたり、落としたりする手法で描いた絵画で知られる。ニーダーザクセン州のヒルデスハイム大学でカルチュラル・スタディーズを専攻し、その後、ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで修士号を取得。1990年代後半より、ドイツ、ヨーロッパを中心に作品の発表をはじめ、2005年には第9回イスタンブール・ビエンナーレに参加、テート・ブリテンのArt-Now企画で個展『50ft Queenie』を開催。その後もクンスト・フェライン・ミュンヘン(2010)、カムデン・アーツ・センター(2014)、クンストハレ・ウィーン(2014)、アートギャラリー・オブ・オンタリオ(2015)で個展を開催。チューリッヒのミグロ現代美術間の企画展『Sacré 101 – An Exhibition Based on The Rite of Spring』、ロサンゼルスのハマー美術館の企画展『Made in L.A. 2016: a, the, though, only』(2016)など、国際的に発表の場を広げている。昨年はミネアポリスのミッドウェイ・コンテンポラリー・アートで個展を開催し、現在開催中のリバプール・ビエンナーレ2018で新作を発表している。

本展では、タイトルにも引用した20世紀前半に前衛的な制作活動を展開したクルト・シュヴィッタースが1931年に出版した雑誌「Merz(メルツ)」の21号のテーマ「Veilchen(スミレ)」を参照した一連の絵画作品を発表する。同雑誌に同輩や友人の詩を精選し、纏めたシュヴィッタースは、自身が書いた「菫」という詩を読者へのメッセージ、また発行主旨の宣言として表紙に掲載した。また、1920年代中頃、シュヴィッタースは「ノーマルビューネ(Normalbühne)」)(「標準的な舞台」もしくは「ノーマルステージ」)という劇場のコンセプトを構想し、構成主義の合理性や機能性に影響を受けた、どんな脚本や作品形態にも対応しうる舞台の構成要素のデザインを目指した。本展に出品される複数のパネルからなる大型絵画作品「Stage (After Schwitters)」は、シュヴィッタースの指示を基にした舞台装置を想起させながら、彼のコンセプトが可能にする新しい組み合わせや配置といった可能性を探求している。

 


Silke Otto-Knapp Stage (after Kurt Schwitters) (2017) watercolor on canvas, 175.2 x 600.3 cm © Silke Otto-Knapp

 

ART iT Interview Archive
シルケ・オットー・ナップ「凍る、暗く、深く、とことん透き通る」(2014年12月)

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