韓国美術家賞2026最終候補

(左から)イヘミンソン、イ・ジョンウ、チョン・ヒョンソン、ホン・ジンフォン 画像提供:韓国国立現代美術館

 

2026年1月21日、韓国国立現代美術館は国内有数の現代美術賞「韓国美術家賞2025(今年の作家賞)」(共催:SBS財団)の最終候補として、イヘミンソン、イ・ジョンウ、チョン・ヒョンソン、ホン・ジンフォンの4名を発表した。最終候補に選ばれた4名には、最終選考を兼ねた展覧会「韓国美術家賞2026」に向けた新作製作補助費5000万ウォン(約541万円)が提供される。展覧会は例年より早く7月24日から12月6日にかけて開催。受賞者は、展覧会におけるプレゼンテーションおよび会期中に開かれる公開討議などを含む最終審査を経て、2026年10月に発表、賞金1000万ウォンが追加で授与される。

最終候補に選ばれた4名のプロフィールは以下のとおり。

 

Lee Hai Min Sun

 

イヘミンソン(1977年生まれ)は、日常を取り巻く環境に耐えながら存在する事物に注意を払い、その在り方を観察し、事物の状態やそこに内包された概念と絵画的行為を結びつけようと、さまざまなアプローチを試みてきた。「韓国美術家賞2026」の展覧会では、事物を通して存在の条件を探るという彼女自身のこれまでの探求を推し進め、はかなく消えてしまいそうでいて、なんとか耐えているような不安定な存在に向き合いながら、新作の絵画制作に取り組む。これまでの主な展示に、「Talking Heads」(ソウル市立美術館、2025)「Nostalgics on realities」(Thaddaeus Ropac、ソウル、2024)、個展「Decoy」(Perigee Gallery、ソウル、2021)、江原国際ビエンナーレ2018、「Dong-A Art Festival_Planet A-Emergence of Species / Visible Hands」(イルミン美術館、ソウル、2009)、「Young Korean Artists 2006」(韓国国立現代美術館 果川館、2006)など。

 

Lee Jungwoo

 

イ・ジョンウ(1981年生まれ)は、技術システムが起こす「失敗」に着目し、その要因となったデータや条件の考察を通じた作品を制作してきた。近年は、プラットフォーム政策やデータ・バイアス、統計的偏りなど、結果を特定の方向に牽引する見えない力を「重力」と定義し、技術メディアが過去を再構成する現代の条件の可視化に取り組んでいる。新作では、解放直後の独立を扱い1946年に公開されながらも歴史の中で検閲と削除を経て、現在は約50分程度しか残されていない映画『自由万歳』の残存フィルムとシナリオを出発点に、生成AIを通じて再構成することで、過去と現在における「重力」の可視化を試みている。これまでの主な展示に、個展「Loops of Algorithmic Karma」(クンストラーハウス・ベタニエン、ベルリン、2024)、個展「Dumb Dummy Dumb-dom」(韓国国立現代美術館 チャンドン・レジデンシー、ソウル、2023)、「PROJECT HASHTAG 2020/GANGNAMBUG」(韓国国立現代美術館、ソウル、2020)、個展「Shot Blank」(アートソンジェ・センター、ソウル、2017)など。

 

Jeon Hyunsun Courtesy Galerie Lelong

 

チョン・ヒョンソン(1989年生まれ)は、点描画など絵画制作を中心に、インスタレーション、映像、彫刻といった幅広い表現を通じて、二次元のイメージにおける時間性や物質性、拡張可能性に着目しながら、イメージと空間との関係を探求してきた。新作では、絵画をロッククライミングの壁のようなものとして提示し、イメージが分解されたり重ねられたりする過程を空間に展開し、観客が異なるメディアの間を行き来しながら、ひとつの意味に収斂されることのない複数のイメージの経路を経験する空間の創出を試みる。これまでの主な展示に、個展「Our Eyelids Are More Than a Layer」(Gallery2、ソウル、2025)、個展「Here and There」(Galerie Lelong、パリ、2025)、個展「When You Understand My Secret, It Becomes a Ghost」(Esther Shipper、ベルリン、2024)、第12回ソウル・メディアシティ・ビエンナーレ(2023)、「Art Spectrum 2022」(リウム美術館、ソウル、2022)など。

 

Hong Jin-hwon

 

ホン・ジンフォン(1980年生まれ)は、写真とイメージをめぐる権力構造に関心を抱き、写真や映像、ウェブプログラミングなどを通じて、イメージの同時代的な力の源泉を追求するとともに、こうした実践を通じて惰性に支配された世界を撹乱しようと試みてきた。現実と仮想が重なり合う世界で、集会という時空間それ自体がイメージになる過程を追跡し、差し迫った革命を共有しない時代において、運動や闘争が何を終わらせ、何を延命させるのかを問いかける。これまでの主な展示に、「Title Match, Jang Young Hye Heavy Industries vs. Hong Jin-h won: No Middle Ground」(ソウル市立北ソウル美術館、2025)、釜山ビエンナーレ2024、第11回ソウル・メディアシティ・ビエンナーレ(2021)、「The Square: Art and Society 1900-2019 Part 3」(韓国国立現代美術館、2019)など。

本年度の最終審査は、エマ・エンダービー(クンストヴェルケ現代美術センター ディレクター)、シャーメーン・トー(テート・モダン シニア・キュレーター)、ホー・ツーニェン(第16回光州ビエンナーレ アーティスティックディレクター)、チョン・ヒョン(美術批評家、仁荷大学校教授)、キム・ジヨン(d/pディレクター)、キム・ソンヒ(韓国国立現代美術館ディレクター)の6名が務める。

韓国美術家賞(今年の作家賞)は、韓国国立現代美術館とSBS財団が、前身の「Artist of the Year(今年の作家賞)」を引き継ぎ、韓国現代美術に貢献、新しいヴィジョンや可能性を探求するアーティストの支援を目的に2012年に設立。2022年に韓国国籍保持者に限られていた対象を朝鮮半島にルーツを持つアーティストであれば国籍を問わない規定に変更するなど、諸規定や審査プロセスを再検討。翌2023年より新たな規定を採用し、ボゴタ出身のガラ・ポラス・キム、済州島生まれの韓国系デンマーク人のジェーン・ジン・カイゼンが最終候補に選ばれている。また、韓国国立現代美術館とSBS財団は、2015年に同賞の歴代最終候補者の国外での制作活動を支援する基金を開設。昨年のキム・アヨン(2019年度最終候補)のハンブルガー・バーンホフ現代美術館での個展や、チョン・ソジョン(2023年度最終候補)のパフォーマ・ビエンナーレ2025での上演を含む、30名の歴代最終候補者のプロジェクトを助成している。

 

韓国美術家賞http://koreaartistprize.org/

韓国美術家賞2026
2026年7月24日(金)- 12月6日(日)
韓国国立現代美術館 ソウル館
http://www.mmca.go.kr/
参加アーティスト:イ・ジョンウ、イヘミンソン、チョン・ヒョンソン、ホン・ジンフォン
キュレーター:パク・ドクソン(韓国国立現代美術館キュレーター)

 


過去5年の受賞者および最終候補(太字はグランプリ)
2025キム・ヨンウンキム・ジピョン、アンメイク・ラボ、イム・ヨンジュ
2024ヤン・ジョンウク、クォン・ハヨン、ユン・ジヨン、ジェーン・ジン・カイゼン
2023クォン・ビョンジュン、ガラ・ポラス・キム、イ・カンスン、チョン・ソジョン
2022|10周年記念回顧展「韓国美術家賞」開催のため実施せず
2021チェ・チャンスク、キム・サンジン、バン・ジョンア、オ・ミン

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