VOCA賞2019、各賞受賞者発表

 

2018年12月21日、VOCA展実行委員会は、全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどが推薦した33人(組)の作品の中から、キュレーターの山内舞子の推薦を受けた長野県出身神奈川県在住の東城信之介の「アテネ・長野・東京ノ壁ニアルデアロウ摸写」をグランプリとなるVOCA賞に決定した。

東城信之介は1978年長野県生まれ。2004年に東京造形大学を卒業し、翌2005年に同大学の研究生を修了。金属を酸化させたり、物体の表面に大小の傷を施すことで、そこに独自のイリュージョンを生み出す作品を制作している。2000年代後半より東京を中心に個展を重ね、昨年はSICF(スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)でグランプリを受賞。2018年は国内4箇所で個展を開催、国立新美術館で開かれた『シェル美術賞2018』、中国、広州の53美術館の『対流風景:日中現代美術レジデンシー』などで作品を発表している。「社会を映す”鏡”としての絵画の役割を、多層に見える錯視的画面の中に批評的に体現した」(小勝禮子選考委員)ことなどが評価された。

VOCA賞のほか、奨励賞には石場文子の「2と3、もしくはそれ以外(祖母の家)」とチョン・ユギョンの「Let’s all go to the celebration square of victory!」、佳作賞には、遠藤薫の「ウエス」、荒神明香、南川憲二、増井宏文による現代芸術活動チームの「アクリルガス」が選出された。また、大原美術館が独自に選ぶ大原美術館賞には、喜多村みかの「TOPOS」が選ばれた。

VOCA展は1994年の設立以来、平面美術の領域で国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に毎年開催されている。全国の有識者に40歳以下の作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式をとっており、昨年と同じく、島敦彦(選考委員長/金沢21世紀美術館館長)、光田由里(DIC川村記念美術館学芸部マネージャー)、柳沢秀行(大原美術館学芸課長)、小勝禮子(美術史・美術批評)、水沢勉(神奈川県立近代美術館館長)が選考委員を務めた。

各賞受賞作品を含む33人(組)の作品は、2019年3月14日より、上野の森美術館で開かれる『VOCA展2019-新しい平面の作家たち-』に出品される。なお、各賞受賞者を含む出品作家と各作家の推薦人などの情報は公式ウェブサイトに掲載されている。

 

VOCA賞http://www.ueno-mori.org/exhibitions/main/voca/

VOCA展2019-新しい平面の作家たち-
2019年3月14日(木)-3月30日(土)
上野の森美術館
http://www.ueno-mori.org/

出品作家(50音順)
新井卓、石垣渉、石場文子、遠藤薫、大平由香理、尾角典子、岡本高幸、片山達貴、喜多村みか、金城徹、クスミエリカ、KOURYOU、近藤恵介、笹山直規、佐野直、白井晴幸、鈴木諒一、関川航平、滝沢広、多田友充、鬣恒太郎、田中真吾、田中武、チョン・ユギョン[Jong YuGyong]、手嶋勇気、東城信之介、中島麦、中山明日香、西村有、堀至以、三家俊彦、三輪恭子、目(荒神明香、南川憲二、増井宏文)

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