9月上旬に韓国で3つの国際展が開幕

日本国内でも大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレや水と土の芸術祭がはじまり、山形ビエンナーレも開幕を直前に控えているが、韓国では9月6日のソウル・メディアシティ・ビエンナーレの開幕を皮切りに、光州ビエンナーレが9月7日、釜山ビエンナーレが9月8日と同国を代表する国際展が立て続けに開幕する。

10度目の開催となるソウル・メディアシティ・ビエンナーレ(メディアシティ・ソウルから改称)は、これまでのディレクターを指名する形ではなく、アートや科学の異なる領域から専門家を招き、ソウル市立美術館の学芸部門とともに展覧会を制作していく形を採用した。領域横断的な専門家を交えた「Collective」と名付けられた共同チームを中心に、昨年よりオープン・ディスカッションやオープン・レクチャーを開催し、重層的な知のプラットフォームとして機能し、世界の文化的目的地のひとつとなるビエンナーレを目指す。

キム・ソンジョンがビエンナーレ財団理事長に就任して以来、初の開催となる光州ビエンナーレは、「Imagined Borders」の総合テーマの下、共同キュレーション制を採用した。異なる背景を持つ11名のキュレーター陣が、歴史/現実、経験/抽象、虚構/超越などといった想像の境界線に多角的なアプローチを試みる7つの展示でビエンナーレを構成。日本からも奈良美智や下道基行、壷井明のほか、スタジオ・レボルト(アニダ・ユー・アリ&菅野将弘)、松根充和がジュン・ヤンとのユニット、Far East Network(FEN)の一員として大友良英が参加する。

釜山ビエンナーレは、ビエンナーレの展示会場を念頭に今年6月に新設された釜山現代美術館と、60年代に建てられたモダニズム建築として現在は市の文化財に指定されている旧韓国銀行釜山本部の2会場で開催する。ディレクターおよび企画を公募した今回は、釜山ビエンナーレのみならず上述したふたつの国際展にも携わった経験を持つインディペンデント・キュレーターのクリスティーナ・リクペロがアーティスティック・ディレクター、ベルリン芸術大学教授のヨルグ・ハイザーがキュレーターを務める。テーマは「Divided We Stand」。日本からは田村友一郎が参加する。

そのほか、同じく9月には台湾ビエンナーレ、10月には初開催となるバンコク・アート・ビエンナーレが開幕。その後も11月に上海ビエンナーレと台北ビエンナーレ、オーストラリア・クイーンズランドのアジア・パシフィック・トリエンナーレ、そして、12月には南インドのコーチ=ムジリス・ビエンナーレとアジア各地で国際展の開幕が控えている。

 

 

ソウル・メディアシティ・ビエンナーレ2018「Eu Zên」
2018年9月6日(木)-11月18日(日)
http://mediacityseoul.kr/
会場:ソウル市立美術館(西小門本館)

 

光州ビエンナーレ2018「Imagined Borders」
2018年9月7日(金)-11月11日(日)
http://www.gwangjubiennale.org/
会場:光州ビエンナーレホール、国立アジア文化殿堂[ACC]、ほか
キュレーター:クララ・キム、クリスティン・キム、リタ・ゴンザレス、クリッティヤー・カーウィーウォン、ヨン・シム・チョン、イーワン・クーン、デイヴィッド・テ、マンソク・キム、ソンウ・キム、ジョンオク・ペク、ムン・ボム・ガン

 

釜山ビエンナーレ2018「Divided We Stand」
2018年9月8日(土)-11月11日(日)
http://www.busanbiennale.org/
会場:釜山現代美術館、旧韓国銀行釜山本部
アーティスティック・ディレクター:クリスティーナ・リクペロ
キュレーター:ヨルグ・ハイザー
ゲスト・キュレーター:パク・ガヒ

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