モダン・プリンツ コレクションにみる世界の版画

アンリ・マティス『ジャズ』より《橇(そり)》1947年 和歌山県立近代美術館蔵

 

版画は、図や文字などのイメージを複製するための技術を用いた表現です。現在では技術の発達と解釈の多様化により、その表現は広がりを見せています。技術自体の歴史は古く、日本には仏教伝来とともに流入し、西洋でもキリスト教の布教によって広まりました。そしてその表現は、さらに近代以降、複製の役割を超えて大きく花開きます。つまり本展のタイトル「モダン・プリンツ」とは、近代版画という意味でありながら、新たな表現を獲得した「美術作品としての版画」そのものを指しています。

和歌山県立近代美術館は、版画についての収集や展示、また調査研究に力を入れてきました。それは和歌山が多くの版画家を輩出してきたことにはじまり、また当館が対象とする近代美術の展開に、版画が大きな役割を果たしていたこととも関わっています。表現のなかにオリジナルと複製の問題を内包した版画は、複製技術の発展にも支えられて、既存の美術概念にさまざまな問題を提起し、その拡張に影響を与えてきたからです。近代美術史に名前を残す多くの美術家たちが、絵画や彫刻の制作とともに、版画の制作を試みています。

今回の展覧会では、当館の20世紀西洋版画コレクションを中心に、日本の近代版画にも影響を与えたエドヴァルド・ムンク、西洋が日本の版画と出会った時代を代表するエミール・オルリクとその周辺、パブロ・ピカソの代表作やアンリ・マティスがその晩年に新たな表現として開拓した切り絵のステンシル作品、そしてアメリカの戦後美術を支えた版画工房と画家の共同作業など、近代版画の多様な側面を紹介し、版画を通じて近代の意味を考えます。

*5月23日(月)に一部展示替えを行います

 

会場 和歌山県立近代美術館 2階展示室
会期 2022年04月09日(土)~06月26日(日)
開館時間 9時30分〜17時[入場は16時30分まで]
休館日 月曜日
観覧料 一般520(410)円、大学生300(260)円( )内は20名以上の団体料金
*高校生以下、65 歳以上、障害者、県内に在学中の外国人留学生は無料
*4月23日、5月28日、6月25日[毎月第4土曜日]は「紀陽文化財団の日」として、大学生無料
* 5月1日、6月5日[毎月第1日曜日]は入館無料
主催 和歌山県立近代美術館
関連事業 和歌山県立近代美術館のサイトをご覧ください
エドヴァルド・ムンク《ビルギッテ III》1930年 個人蔵  *後期展示
パウル・クレー《内なる光の聖女》1921年 和歌山県立近代美術館蔵 *前期展示
ヴァルター・クレム《スケート場》1909年 和歌山県立近代美術館蔵

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