
2017年6月10日、世界最大の国際展のひとつとして注目を集めるドクメンタ14のカッセルでの展覧会が開幕する。アーティスティックディレクターのアダム・シムジックが掲げた「アテネから学ぶ[Learning from Athens]」のテーマのもと、ドクメンタ14はすでに4月より開幕しているアテネとの二都市開催となっている。
20人近いキュレーターとアドバイザーからなるキュラトリアル・チームを編成したシムジックは、アテネの展覧会を4つのメイン会場をはじめとする47会場で構成。同地で作品を発表しているアーティストのほとんどがカッセルにも作品を出品している。カッセルの展覧会の会場も35箇所を数えるが、出品作品の多くは、フリデリチアヌム美術館、ドクメンタハレ、ノイエ・ガレリー、そして、今回から新しく展示会場に加わった旧郵便局を改装したノイエ・ノイエ・ガレリー(ノイエ・ハウプトポスト)の4つのメイン会場に展示されている。


1955年の第1回以来ドクメンタのメイン会場として使われてきたフリデリチアヌム美術館では、アテネのメイン会場のひとつ、国立現代美術館(EMST)のディレクターのカテリナ・コスキナのキュレーションのもと、国際的に知られるアーティストの作品のみならず、国際的にはまだあまり知られていないギリシャ出身のアーティストの作品を含む同美術館のコレクションを展示している。フリデリチアヌム美術館の向かいの広場には、ブエノスアイレス出身のマルタ・ミヌヒンが1983年のアルゼンチン軍事政権崩壊後に発表した、古今東西の発禁指定を受けたことのある書物でアテネのパルテノン神殿を模して構築した「Parthenon of Books」を設置。(同作品に使用されている書物のリストはこちらで公開されている。※PDF)
ノイエ・ガレリーでは、ナチス政権による美術品略奪に責任者のひとりとして関与したヒルデブラント・グルリットの息子コルネリウス・グルリットが所有していた作品を展示するという当初の計画は叶わなかったが、マリア・アイヒホルンによるナチスが非合法的に奪った作品の調査、および情報提供の呼びかけを含めたプロジェクト「Rose Valland Institute」のほか、新作のみならず20世紀前半に制作された作品を交えて展示を構成。ドクメンタハレでは、ミリアム・カーンやスタンリー・ホイットニー、アブバカール・フォファーナらをアテネの展覧会とは異なる構成で展示。



移民コミュニティが集まるノルトシュタット地区にあるノイエ・ノイエ・ガレリーには最も多くの新作が集まる。第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展にも出品していたラシード・アライーンのアライーン自身が創設した美術雑誌「Third Text」と抽象絵画などで構成した「The Reading Room」を、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015でも印象に残る映像インスタレーションを発表したアリン・ルンジャンの新作「246247596248914102516… And then there were none」や、アテネ美術学校(ASFA)で難民問題を扱った強烈な映像作品を発表したアルトゥル・ジミェフスキの映像インスタレーション、マリア・ハッサビのライブ・インスタレーションなどが出品されている。また、今回のドクメンタではノイエ・ノイエ・ガレリーのほか、複数の会場がノルトシュタット地区に設けられている。
ドクメンタ14
アテネ|2017年4月8日(土)-7月16日(日)
カッセル|2017年6月10日(土)-9月17日(日)
http://www.documenta14.de/








