左から、ユージン・タン、スハーニャ・ラフェル、片岡真実、片山真理、フランシス・モリス、ラーナ・デヴェンポート 撮影:田山達之
一般財団法人森現代芸術財団(MoriCAF)は、次世代の現代美術を牽引する中堅アーティストの支援を目的とした「森アートアワード」の初代グランプリに、片山真理を選出したと発表した。片山には賞金1,000万円に加え、森美術館との共催による作品展示の機会が与えられる。
森アートアワードは、日本の現代アーティストのうち、とりわけ中堅作家が次のグローバルなステージへ進むための表彰制度として、2025年5月に創設された。2年に一度開催され、過去2年間に発表された優れた展覧会や作品をもとに、日本国内の推薦委員がアーティストを推薦。国際選考委員会による書類選考を経て4名のファイナリストが選出される。今回のファイナリストには、片山のほか小泉明郎、目[mé]、山城知佳子が選ばれ、片山を除く3名にはそれぞれ賞金100万円が授与される。
片山真理《caryatid #011》2024年 ©Mari Katayama, courtesy of Mari Katayama Studio and Galerie Suzanne Tarasieve, Paris
片山真理(1987年生まれ)は、自身の身体の中で日々を生きることを制作の核に据え、その身体を生きた彫刻、マネキン、そして社会を映し出すレンズとして制作を行なう。また、手縫い・手作りのオブジェと写真の組み合わせによって「自然、人工、正しさ」といった社会の規範的な考えを映し出し、それに挑戦する作品を作り続けてきた。作品制作のほかに「選択の自由」を掲げた「ハイヒールプロジェクト」を開始。義足用の特注ハイヒールを装着し、歌手、モデル、講演など多岐に渡り活動している。現在は群馬県に在住。主な展覧会に、「Performer and Participant」(テート・モダン、ロンドン、2023)、「home again」(ヨーロッパ写真美術館、パリ、2021年)、第58回ヴェネツィア・ビエンナーレ(ジャルディーニ、アルセナーレ、2019)、「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、東京)など。
総評では、ファイナリスト4名について「いずれも多様なメディアやテーマを扱いながら、アートが世界に和解をもたらすことができるという深い確信を共有し、困難な課題に挑む情熱と勇気を持って」いるとした。そのうえで、グランプリに選出した片山については「フィルム写真や刺繍、縫いものなどの手仕事を通じて、自身の身体の境界を拡張する可能性を力強くポジティブに提示している」と評価。さらに「すでに国際的に評価されたアーティストとの多角的な比較も可能なその実践は、力強いイメージと強固な概念的枠組みの融合によって、文化的・社会的な境界を越えていく」とし、今後の展開に期待を寄せた。
2026国際選考委員会
片岡真実(森美術館館長、選考委員長)
ラーナ・デヴェンポート(南オーストラリア州立美術館元館長[アデレード])
グレン・ラウリィ(ニューヨーク近代美術館名誉館長)
フランシス・モリス(テート・モダン元館長[ロンドン])
スハーニャ・ラフェル(M+館長[香港])
ユージン・タン(ナショナル・ギャラリー・シンガポール館長、シンガポール美術館館長)
森アートアワード2026 推薦委員
趙純恵(森美術館アソシエイト・キュレーター)
角奈緒子(金沢21世紀美術館学芸課長)
木村絵理子(弘前れんが倉庫美術館館長)
中村史子(大阪中之島美術館主任学芸員)
徳山拓一(森美術館シニア・キュレーター)
椿玲子(森美術館キュレーター)
森現代芸術財団:https://mori-caf.jp/
受賞者および最終候補(太字はグランプリ)
2026|片山真理、小泉明郎、目[mé]、山城知佳子
