第61回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館


荒川ナッシュ医《LGBTQIA+ ベイビー・シャワー・イベント》2024年、パフォーマンス風景 国立新美術館、東京、撮影:中川周 Courtesy of the artists and The National Art Center, Tokyo

 

2025年4月24日、国際交流基金(JF)は2026年5月に開幕する「第61回ヴェネツィア・ビエンナーレ」における日本館展示の出品作家に、荒川ナッシュ医を選出したと発表した。

日本館展示の出品作家の選考に際し、国際交流基金より委嘱された片岡真実、蔵屋美香、建畠晢、南雄介、野村しのぶ、鷲田めるろの6名からなる国際展事業委員会が国内外の26名の推薦委員からノミネートされた複数のアーティストの推薦リストをもとに第一次選考を実施し、荒川ナッシュ医、今津景とバグース・パンデガ、小泉明郎、志賀理江子(辞退)、島袋道浩、目[mé]、山城知佳子の7名/組を最終候補に選出。各候補者に参加の可能性の確認と基本的な展示プランの提出を依頼した上で、第二次選考会議を行ない個別のプランについて評価を経て、日本館展示の出品作家を荒川ナッシュ医に決定した(講評は後日、国際交流基金のウェブサイトに公開予定)。なお、キュレーターについては後日決定。アーティストとの対談などの公開イベントも検討されている。

 


荒川ナッシュ医 撮影:Ricardo Nagaoka

 

荒川ナッシュ医(1977年福島県生まれ)は、アメリカ合衆国ロサンゼルス在住の日系アメリカ人のクィア・パフォーマンス作家。さまざままな人物との共同作業を続け、「私」という主体を揺るがしながら、アート作品や作家の主観の不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現している。現在はロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインの大学院アートプログラムの教授を務める。近年の主な展覧会に、「For Children. Art Stories since 1968」(ハウス・デア・クンスト、ミュンヘン、2025-2026)、個展「ペインティングス・アー・ポップスターズ」(国立新美術館、東京、2024)、「Factory of Tomorrow」(CHAT センター・ フォー・ヘリテージ・アーツ・アンド・テキスタイル、香港、 2024)、恵比寿映像祭2024(東京都写真美術館、2024)、個展「Don’t Give Up」(クンストハレ・フリアール・フリブール、スイス、2023)、「HOPE」(ミュゼイオン・ボーツェン、ボルツァーノ、イタリア、2023)、個展「Social Muscle Rehab」(アーティスツ・スペース、ニューヨーク、2021)、個展「Mega Please Draw Freely」(テート・モダン タービンホール、ロンドン、2021)、「Post-Capital: Art and the Economics of the Digital Age」(ジャン大公近代美術館、ルクセンブルク、2021)、ホノルル・ビエンナーレ(2019)、ミュンスター彫刻プロジェクト(2017)など。

今回の選出にあたり、「数年前に日本国籍を喪失し、日本代表としてヴェネチア・ビエンナーレに参加する機会はないと思っていました。1966年の草間さんのゲリラ行為や1997年の内藤礼さんの空間など、ビエンナーレの歴史的なパフォーマンスと対話できるこの機会に高揚しています。パンデミック以降、日本館の選考プロセスは大きく変わりました。作家がキュレーターを選び、追加資金を調達しなければならない。国を代表するという「宿題」は複雑になってますが、見方を変えれば、今までよりさらに作家が主体性を持って展覧会に関与出来るということ。これまでの日本館でのダムタイプ、毛利悠子さんに続き、次の誰かにバトンタッチ出来るような風穴を開けたい。現在、夫と私はロサンゼルスのアジア系ディアスポラ・コミュニティの新しい一員である2人の子供をせわしなく育てています。最近、和田夏十さん脚本の1962年の映画『私は二歳』をもう一度見ました。彼女の脚本は、2026年の日本館の私のパフォーマティブな展開のヒントとなるでしょう」とコメントを寄せた。

第61回ヴェネツィア・ビエンナーレは、ツァイツ・アフリカ現代美術館エグゼクティブ・ディレクター兼チーフ・キュレーターのコヨ・クオをキュレーターに迎え、2026年5月9日から11月22日まで開催。総合テーマは5月20日に発表が予定されている。

 

第61回ヴェネツィア・ビエンナーレ 日本館
出品作家:荒川ナッシュ医
キュレーター:後日決定
主催/コミッショナー:国際交流基金
日本館公式ウェブサイト:https://venezia-biennale-japan.jpf.go.jp/

第61回ヴェネツィア・ビエンナーレ
2026年5月9日(土)-11月22日(日)
https://www.labiennale.org/en/art/
キュレーター:コヨ・クオ(ツァイツ・アフリカ現代美術館エグゼクティブ・ディレクター兼チーフ・キュレーター)

 


荒川ナッシュ医、2024年 「ペインティングス・アー・ポップスターズ」展示風景 国立新美術館、東京、撮影:中川周 Courtesy of the artists and The National Art Center, Tokyo


荒川ナッシュ医《ぬいぐるみの主観性》2024年、パフォーマンス風景 CHAT、香港、撮影:Spark Photography Courtesy of the artists


荒川医《メガどうぞご自由にお描きください》2021年、展示およびパフォーマンス風景 テート・モダン、ロンドン、撮影:Brotherton-Lock Courtesy of the artist

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