ある町医者の記念館(鹿児島県、1995年) ©堀部安嗣
堀部安嗣展 建築の居場所
2017年1月20日(金)-3月19日(日)
TOTO ギャラリー・間
http://www.toto.co.jp/gallerma/
開館時間:11:00-18:00
休館日:月・祝
TOTO ギャラリー・間では、建築家として26歳で独立し、これまで20余年にわたり住宅を主にゲストハウスなど80を越える作品を手掛けてきた堀部安嗣の個展『堀部安嗣展 建築の居場所』を開催する。
堀部安嗣は1967年神奈川県生まれ。90年に筑波大学芸術専門学群環境デザインコースを卒業。91年から94年まで益子アトリエにて益子義弘に師事。94年に堀部安嗣建築設計事務所を設立。2002年には第18回吉岡賞を「牛久のギャラリー」で受賞。2007年より、京都造形芸術大学大学院教授を務める。昨年は日本建築学会賞(作品)を「竹林寺納骨堂」で受賞。代表作に「南の家」(1995)、「ある町医者の記念館」(1995)、「伊豆高原の家」(1998)、「KEYAKI GARDEN」(2008)、「イヴェール ボスケ」(2012)、「阿佐ヶ谷の書庫」(2013)、「竹林寺納骨堂」(2013)、「鎌倉山集会所」(2015)などがある。
阿佐ヶ谷の書庫(東京都、2013年) ©堀部安嗣
本展では、代表作の「竹林寺納骨堂」や「阿佐ヶ谷の書庫」を含む14作品による短編映画を会場で上映する。それぞれの建築と月日を共にしてきた施主へのインタビューやそこを訪れる人々の様子、周囲の環境との関わりなどから、建築作品のその時々の表情をそれぞれの物語から読み取ることができるだろう。また、それらの物語を通して、堀部の建築が、建築家個人の精神の発露であると同時に、施工から完成、その後に至るまで多くの人に支えられ共に時を重ねていく存在であることを感じられるだろう。会場には、日々作品が生み出される事務所のインテリアを再現し、建築が生まれるまでの過程をスタディ模型から愛用の設計道具、堀部が影響を受けた建築などを通して紹介する。
短編映画は、「阿佐ヶ谷の書庫(経済学者の蔵書と亡き祖父の仏壇を納めた都心の極小書庫)」、「竹林寺納骨堂(死者の魂と向き合う空間)」、「イヴェール・ボスケ(若いオーナーの情熱で始まった小さな洋菓子店+カフェ)」等を予定。
「建築の居場所」と名づけられた本展のタイトルには、自然との関わりが希薄になっている現代において、私たちに本来備わっている「心地よい空間」の記憶を取り戻し、それぞれが本来の居場所を見つけて欲しいというメッセージも込められている。
竹林寺納骨堂(高知県、2013 年) ©Ken’ichi Suzuki
竹林寺納骨堂(高知県、2013年) ©堀部安嗣
蓼科の家(長野県、2010 年) ©堀部安嗣