私は右の腕は御国に捧げた @ かんらん舎

終戦70周年記念
私は右の腕は御国に捧げた
2015年8月25日(火)-9月19日(土)
かんらん舎(東京都中央区八重洲2-11-7 ます美ビル2F)
開廊時間:12:00-18:00
休廊日:日、月、祝

東京・銀座のかんらん舎では、終戦70周年記念『私は右の腕は御国に捧げた』を開催する。

本展では、太平洋戦争中に陸軍の外郭団体として発足した陸軍美術協会が手がけた「大東亜戦争 陸軍作戦記録画集」と、同画廊オーナーの大谷が太平洋戦争期の日本の芸術家の表現活動を調べるべく収集した書籍コレクションから、昨年のヨコハマトリエンナーレ2014に「大谷芳久コレクション」として出品した17冊を展示する。

「大東亜戦争 陸軍作戦記録画集」は、陸軍美術協会に所属していた藤田嗣治、小磯良平、宮本三郎、川端龍子、山口蓬春らが、1941年12月8日から1942年5月7日までの戦いを描いた「記録」を布箱に収録している。当時、陸軍美術協会理事長を務めた藤田は「アッツ島玉砕」を同画集に挿入し、「解説 あとがき」を執筆している。

今日のため、四十余年の歳月を私はすごして来たと明白に言ひきることが出来るのである。今日、腕を揮つて後世に残すべき記録画の御用をつとめ得ることの出来た光栄を私はつくづく有難く感じてゐるのである。絵画が直接御国に役立つと言ふことは何といふ果報なことであらう。私は右の腕は御国に捧げた気持でゐる。(「解説 あとがき」)

一方『大谷芳久コレクション』は、1941年12月8日から敗戦を迎える45年までに発行された詩集から成る。そこには北原白秋、草野心平、佐藤春夫、高村光太郎、野口米次郎、三好達治ら、上述した画家と同じく、現在でも人気および評価の高い作家の名前が並んでいる。

大谷はヨコハマトリエンナーレ2014開催時の美術手帖のインタビューで、ドイツの元大統領リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカーの演説の一節「過去に眼を閉ざす者は、現在に対してもやはり盲目となる」を引用している。本展もまた、過去の芸術家が残したものを見つめ、現代の問題として考察する機会となるだろう。

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