「望郷 - TOKIORE(I)MIX」 山口 晃展

2012年1月13日


【タイトル】 「望郷 - TOKIORE(I)MIX」 山口 晃展
【アーティスト名】 山口 晃
【会期】  2012年2月11日(土・祝)~5月13日(日)



本日は展覧会にお越し下さり有難う存じます。
 主催者よりのお達しで、此のチラシ用に一文をしたゝめましたので、ご観賞の一助にしていたゞければ幸いです。

 さて、電柱の様なものが立っておりますが、〈忘れじの電柱〉と題しました作品です。
「男子メカごころ」とでも云うような心持ちで制作致しました。題名の英訳「エレクトリック・ポールズ」などは、其の辺をよく表わしています。
機能はまるで無く、既存の柱に取りつけられて澄ましているあたり、頼りなくも不逞々々しい限りです。
(※)実際の電柱の仕様よりも通信線や低圧線を間引いてすっきりさせておりますので、造花に依る活け花と云った趣もあります。

次は、床の傾いた部屋様の作品で〈正しい、しかし間違えている〉。
通常私たちは、建物の垂直軸と重力方向が等しい環境に居る訳ですが、この二つがズレると目眩や、甚だしい場合は転倒を引きおこします。これは経験による体勢維持が、知覚に依る体勢維持を阻害する為におこるもので、経験上の正しさが不適合につながった訳です。
 この「正しい」「間違え」「垂直軸」「重力」、他にも立脚面や経験則、床の傾き等々に色々あてはめてお楽しみいたゞこうと云うのが、作品としての言い訳なわけですが、正直な所その昔「豊島園」のアトラクションで体験したあの感覚をもう一度!と云うのが実際です。
 ですから、此の場合制作者のエゴとして「作品にかこつけて作っちゃえ!」と云うのは、むべなるかなと頷けるところですが、人としての私は「間違えている」のかもしれません。

 そうして最後は〈東京山水〉と題しました平面作品でありますが、こちらは今の私が俯瞰(フカン)しうる東京です。
 年代の違う6種類の地図とグーグルマップ、個人的な記憶や思い込みなどに依って描かれています。
 筆に墨をつけて描画しますが、描くうちに墨がきれて薄くかすれてきて、終いにはソフトフォーカスの様になります。また、筆先が擦れてチビてきますので、だんだん描線が太くなってきて線描を諦めなくてはならない所もでてきます。一方の墨は、水分が蒸発してどん〲濃くなるので、かすれた線の後で墨を足した一筆目は、いつも違和感とやりにくさで始まります。そんな事の繰り返しです。
 下描きの鉛筆線が其のままの所は、街の表皮が剥がれた様にも建物が払底した様にも見えて、始まる様でも終わった様でもあり、描いた所との配分をどうして呉れようかと、頭を悩ませています。

 以上、ごく簡単にさわりだけ申し上げましたが、あまりくだ〲しいのもご興を削ぎましょうから此の辺で。
 どうぞごゆっくり御覧下さい。
 本日は有難う存じます。


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