エルメスの魔法の杖 – 藤原康博

【タイトル】 エルメスの魔法の杖
【アーティスト名】 藤原康博
【期間】 2011年7月5日~9月20日

昨年、「救世主エルメスの伝説」と題したウィンドウで馬にまつわる伝説を語ったアーティストの藤原康博が、今年はアルチザン(職人)の知られざる工房のものがたりを語ります。

店舗がお客様に夢を与える舞台のような場所であるならば、工房は職人の記憶が蓄積される場所。正面ウィンドウで繰り広げられるのは、誰も見たことのない職人の工房です。なかでは、小人たちが忙しく働いています。小人の手には「伝統、技術、品質、冒険、革新」という5つの要素を表すマジックワンド(魔法の杖)が握られていて、商品に大切な価値を与えています。

左ウィンドウは商品の倉庫です。大切な商品が眠る倉庫こそ、職人の技術と記憶が保管される場所。重厚な記憶の蓄積は、一方では鮮明なジオラマとなって棚を彩り、もう一方では、まるで白い雪のように降り積もり、幾何学模様の乱反射が柔らかな光を生み出しています。

こうして作られた商品は、あとは出荷を待つのみです。小窓では、ひとつひとつ特別に仕立てられた木箱のなかで、商品が静かに旅立ちを待っています。

創業以来、受け継がれてきた伝統を守り抜くエルメス。そのゆるぎない品質は、職人の確かな技術と妥協を許さないプライドの結晶といえるでしょう。さらに、歴史を大切にしつつも、新しい世界に挑む姿勢は、伝統に裏打ちされた自信によって支えられています。「伝統、技術、品質、冒険、革新」という価値は5色の糸として職人の世界を紡ぎだし、いつの時代も人々を魅了するのです。


藤原康博 (ふじわらやすひろ)

1968年、三重県生まれ。1992年多摩美術大学美術学科油絵専攻卒業後、ロンドンに渡り、2002年Chelsea College of Art and Design美術科修士課程修了。MORI YU GALLERY(東京)をはじめとして、六本木ヒルズA/D Galleryにて個展を開催するなど、三重県を拠点にアーティストとしての活動の場を広げ、作品はTHYSSEN – BORNEMISZA ART CONTEMPORARYにもコレクションされている。

■過去のウィンドウ・ディスプレイ一覧

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