パラレル・ファクトリー – パラモデル

【タイトル】 パラレル・ファクトリー
【アーティスト名】 パラモデル
【期間】 2011年1月27日~6月7日

「職人の確かな技術によって支えられてきた、エルメスの豊穣な製品の数々。職人が長い時を過ごす工房には、使い込まれた道具、さまざまな素材、スケッチや作りかけの製品が並び、その精神性がゼリーのように充満しています。未知の形成に向かって無数の眠れる力が犇めき、目覚めを待っているようです。

イマジネーションの閃きが多方向に交叉し合う、そうした予感の溜り場で、エルメスの理念は美しい製品として、次々と煌めき結晶化してゆくのでしょう。職人の手腕に裏打ちされた手作りの輝きに、常に同じものはなく、星座のように連なり増え続ける、色に溢れた果てのない万華世界。

一方僕達は、ものが作られる現場、そこにある高揚感、儚い消息、永遠性、といったテーマを継続して考えてきました。育った街に多くある、町工場への関心はそのひとつ。工場街の喧噪、電気が流れ、動き続ける機械の反復するリズム。狂いなく、精密な作業をこなす加工機器群。イメージの形成過程である図面や試作品の数々。そしてすべてを支える、どんな先端技術も追いつけない、道具を駆使した職人の知恵と手技。工場自体は、職人の精神が満ち溢れる器のようであり、道具や機器は、職人の意識や手の機械的延長といえます。

それらは葛藤や苦闘も含めた造物自体の神秘性を、凝縮して宿しているように感じます。全体は、熟練した職人によって制御され、マジカルに部品を産み出し続ける、硬質な一つの運動体・・・機械化した巨大な一人のアルチザン。

昔ながらの職人工房と、その近現代的で機械的な変形態である町工場。仮想の工房に見立てたウインドウの中で、重厚な町工場の道具や機器群が通奏低音、優美なエルメスの製品が主旋律を奏でることで、二つの流れが掛け合わさった、意想外の新しい音楽が建ちあがらないか?イマジネーションがオブリガートとなり収斂する、その音楽的建設遊戯が、”現代に生きるアルチザン”達を、重層的に讃えるものになれば、と思います。」

paramodel (パラモデル)
1971年生まれの林泰彦と、1976年生まれの中野裕介の2人から成るユニット。共に大阪の下町、生駒山の麓に位置する東大阪出身。林は2001年京都市立芸術大学美術学部構想設計卒業、中野は2002年京都市立芸術大学大学院絵画専攻日本画修了。2001年より活動開始、2003年よりユニット名をパラモデルに。得意領域や趣向の異なるパラレル[parallel] な2人が、『パラモデル[paramodel]:世界や心のいろいろな部分から組み立てる、詩的な模型/設計図』というコンセプトを核に共存、互いの視差[parallax] と関係性を生かし、2人による「模型遊び」という要素をベースに、多様な形式で作品を制作。

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