〈レポート〉シャルロット・ペリアンと日本

20世紀モダニズム建築の巨匠、ル・コルビュジエとともに建築室内デザインで優れた業績を残したフランス人建築家・デザイナーのシャルロット・ペリアン(1903〜99年)。広島市現代美術館では、ペリアンの生涯と業績を振り返る大規模な展覧会「シャルロット・ペリアンと日本」を3月11日まで開催しています。

ル・コルビュジエとの出会い、そして1940年の初来日以降、幾度となく訪れた日本との関係に焦点をあて、家具やインテリアに関する図面、写真資料、家具など約500点を紹介している本展覧会を、展示風景とともにレポートします。

シャルロット・ペリアンと日本
2012年1月21日(土)〜3月11日(日)
http://www.hcmca.cf.city.hiroshima.jp/web/perriand/

※フォトクレジット 撮影:花田憲一

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展示室に入ってすぐ、第1章「日本との出会い 1929-1940」では、ル・コルビュジエのアトリエ入所から、坂倉準三、前川國男ら日本人建築家との出会い、そして来日に至るまでの経緯を紹介しています。

第2章「日本発見 1940-1946」では、1940年の初来日の様子、その成果として行った通称「選擇 傳統 創造」展(1941年)を紹介しています。
各地の視察、柳宗悦や河井寬次郎との出会いから民藝の精神を学んだペリアンは、藁や竹といった素材により強い関心を持ちます。「選擇 傳統 創造」展のために、《竹製シェーズ・ロング》や、背当ての藁編みの技術を用いてシェーズ・ロング用の敷物をデザインするなど、ペリアンはそれまでの作品の機能とデザインを保ちつつ、日本ならではの素材や技術の応用を提案しました。

第3章「戦後―日本との再会 1949-1960」では、1953年の再来日や、エールフランスの日本営業所(東京、大阪)の設計、丹下健三による旧東京都庁舎の内装など、戦後期の日本での活動に焦点をあて、ペリアンと日本文化との共鳴を考察しています。
日本の違い棚をヒントにした《ビブリオテック・ニュアージュ(書架:雲)》や、文楽の黒子から着想した言われている、積み重ね可能な椅子《オンブル(影)》、銘々膳から着想を得たコーヒーテーブル《ターブル・エール・フランス》など、機能性とデザイン性を兼ね備えた家具からは、ペリアンが愛した日本文化のエッセンスが垣間みられます。

第4章「フランス―暮らしの中の日本 1952-1993」では、日本での経験や知識をもとに、フランスをはじめ海外で日本文化を発信したペリアンのさまざまな活動を紹介しています。

第5章「生活と芸術―ペリアンからのメッセージ 1993-1999」では、90歳を過ぎ晩年も精力的に活動を展開したペリアンに焦点をあて、彼女が公の場で発表したものとしては最後となった、ユネスコ《茶室》などを紹介、日本とフランスのかけ橋となったペリアンの功績をふり返ります。

最後のスペースでは、ペリアンが手がけた椅子に実際に座ることもできます。
ぜひ、その座り心地を確かめてみてください!

展覧会は3月11日まで開催中。残りわずかとなりました、お見逃しなく!

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