<企画展>三陸復興国立公園指定記念「種差 -よみがえれ 浜の記憶」展

青森県立美術館では、7月6日(土)から9月1日(日)まで企画展
三陸復興国立公園指定記念「種差 -よみがえれ 浜の記憶」展を開催します。


今年5月、「三陸復興国立公園」に指定された青森県八戸市の種差海岸は、画家や小説家、詩人など多くの芸術家をひきつけてきた名勝地です。
本展では、種差を愛した鳥瞰図絵師・吉田初三郎やこの地を舞台に傑作『道』を生み出した日本画家・東山魁夷など、ゆかりの美術家の名品や、縄文土器、仏像といった地域の文化財を展示し、種差という場所に宿る記憶を浮かび上がらせます。また、一昨年、東日本大震災で被害をうけたこの地の文化を次世代へとつなげる現代アートの形を探ります。

【本展のみどころ】
■種差海岸を舞台にした東山魁夷の名作『道』
 近代日本画の傑作である東山魁夷(ひがしやま・かいい)の『道』は、種差海岸を走る一本道がモデルになっています。前半期は『道』の試作を、後半期は本作を展示いたします。
★展示替えのお知らせ★
7月6~28日: 市川市東山魁夷記念館コレクションより『夕汀』、『道』試作、『静日』出品
[上記作品と入れ替えで]
7月30日~9月1日: 東京国立近代美術館コレクションより『道』展示

■ “大正の広重”吉田初三郎の愛した種差
 大正から昭和にかけて、鮮やかな色彩と独特のデフォルメで全国の鳥瞰図を描き、“大正の広重”と呼ばれた吉田初三郎(1884-1955)は、そこに別荘をもつほどに種差の風光を愛しました。
 八戸市の鳥瞰図はもちろん、東日本大震災で被害を受けた三陸地域の鳥瞰図を一挙公開。その中には、震災後偶然に発見された「金華山鳥瞰図原画」も含まれます。今は失われた風景をも留める、初三郎鳥瞰図で、三陸の地域を旅していただきます。
 また、吉田初三郎が種差の絶景を楽しんだ別荘兼アトリエ「潮観荘」(昭和28年焼失)が、八戸工業大学の研究と技術によって、コンピューターグラフィックスの映像でよみがえります。

■ 海と暮らす人々の信仰を伝える八戸の秘仏
 明治時代、廃仏毀釈によって追われた神社へ、今年140年ぶりの「里帰り」を果たして話題になった、蕪島に由来する浮木寺(八戸市鮫)の弁財天像が、蕪島神社から運ばれ、美術館で展示されます。また、漁村の人々の厚い信仰を集め、その造形美が高く評価されている常現寺(八戸市小中野)の魚藍観音立像は、寺外での公開が初めてとなります。

■イギリスを代表するアーティスト、リチャード・ロングが歩く種差
 約50年間にわたり世界中の山や草原、海岸を歩き、そこに残したわずかな痕跡を作品としてきたイギリス人のアーティスト、リチャード・ロングが種差海岸を歩き(3/28-4/3)、その体験にもとづく作品を美術館に設置。世界的なランドスケープアーティストが種差の自然と向き合って作りあげる記念碑的な作品を展示します。

■新進気鋭の写真家・笹岡啓子の撮る種差
日本写真協会新人賞(2010)、さがみはら写真新人奨励賞(2012)を受賞し、近年活躍の目覚ましい若手写真家の笹岡啓子は、昨年から断続的に種差海岸を撮影しています。さまざまな表情を見せる種差の自然を力強く写し出した新作の数々を展示。

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