あいちトリエンナーレ2013

あいちトリエンナーレ2013
2013年8月10日(土)-10月27日(日)
http://aichitriennale.jp/
愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋市内、岡崎市内

2010年の初開催に続き、あいちトリエンナーレ2013が8月10日より開幕。愛知県美術館を含む愛知芸術文化センターを中心として、名古屋市美術館、名古屋市内、岡崎市内に、現代美術のみならず、パフォーミングアーツ、プロデュースオペラ、映像プログラムが展開する。

建築史家で建築評論家の五十嵐太郎を芸術監督に迎えた今回のテーマは、「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」。五十嵐はそのコンセプトにおいて、東日本大震災のカタストロフに遭遇し、当たり前だと思っていた根拠を失い、既成の枠組が変動するとき、自らが踏みしめる大地=アイデンティティを確認することの必要性を問い、その問いが場所の固有性を具体的に考えることに繋がると提唱している。各部門に担当キュレーター及びプロデューサーを配し、ルイス・ビッグス、住友文彦、飯田志保子、拝戸雅彦の4名が現代美術部門のキュレーターを務める。


リチャード・ウィルソン Plan drawing for「Lane 61」2013年

同部門における参加作家の選考には、青木淳、石上純也、藤村龍至、藤森照信、宮本佳明、打開連合設計事務所といった建築を専門とする参加作家のみならず、建築的関心の強い作品を制作するリチャード・ウィルソンなど、「建築」の視点を取り入れようとする芸術監督の五十嵐の影響、関心がうかがえる。そのほか、国際展の常連として名前の連想されるアルフレッド・ジャー、ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー、トーマス・ヒルシュホルン、ワリッド・ラードから、80年代後半生まれの片山真理や菅沼朋香といった国内作家まで、国内外から76組のアーティストが出品している。前回より2011年の大震災を挟んでの開催となり、ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニは愛知県内に転入してきた被災者へのインタビューに加え、黒澤明がビキニ環礁沖水爆実験を受けて制作した『生きものの記録』(1955年)をテーマに、一般参加者と演劇ワークショップを記録した映像をもとにしたビデオ・インスタレーション、彦坂尚嘉は2012年に刊行した『3.11万葉集・復活の塔』(2012)をもとにした大型作品、アーノウト・ミックは東日本大震災後の避難所での出来事を題材にした新作映像作品を発表するなど、先の震災を受けて制作された作品も出品される。


Above: アーノウト・ミック「段ボールの壁」2013年. still from video installation. courtesy of carliergebauer, Berlin. Below: 西岳拡貴「ROAD OF SEX Tokyo >> Aichi」2012年

また、トリエンナーレ会期中の週末を中心に、参加アーティストの作品約25点が愛知県内4カ所の文化施設などを巡回、展示に併せ、ワークショップなども開催する「モバイル・トリエンナーレ」という移動型展示が企画されている。そのほか、同県内の愛知県立芸術大学、名古屋芸術大学、名古屋造形大学が連携した展覧会を長者町会場の「アートラボあいち」にて実施。豊田市美術館も特別連携事業として『反重力―浮遊|時空旅行|パラレル・ワールド』を開催するなど、同県内各地でさまざまな連携事業が予定されている。

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