Forecast: 2012年1月-3月


「魂の灯」2008年 ©YAYOI KUSAMA
『草間彌生 永遠の永遠の永遠』
1月7日(土)-4月8日(日)
国立国際美術館
http://www.nmao.go.jp/
開館日時:火–日(ただし1月9日は祝日のため開館、10日は振替休館)
10:00-17:00(金曜は19時まで)※入館は閉館の30分前まで

現代日本を代表するアーティストとして、国内外で活躍を続ける草間彌生の2000年代に制作した作品を中心とした個展『永遠の永遠の永遠』が国立国際美術館にて開催される。
草間は10歳の頃より水玉と網模様をモチーフに幻想的な絵画を制作。57年に渡米すると、巨大な平面作品、ソフトスカルプチャー、環境彫刻を発表。60年代後半には、ボディー・ペインティングなど多数のハプニングを行う。73年に帰国。93年には第45回ヴェネツィア・ビエンナーレにて日本館初の個展を行う。その後も国内外の主要美術館にて個展を開催。2011年5月からは国立ソフィア王妃芸術センター(マドリッド)を皮切りに、ポンピドゥー・センター(パリ)、テート・モダン(ロンドン)、ホイットニー美術館(ニューヨーク)を大規模巡回展を展開している。
本展では、草間が2009年から制作している絵画シリーズ『わが永遠の魂』から47点。2004年からの3年間で描き上げたドローイングを元に、50点のシルクスクリーンからなる『愛はとこしえ』の連作作品。さらに、新作となる彫刻作品などを展示する予定。
会期中には、京都市立芸術大学学長で埼玉県立近代美術館館長の建畠晢氏による講演会「草間彌生の世界」が2月18日に開催される。そのほか、松本貴子監督による『≒草間彌生 わたし大好き』の上映、担当学芸員によるレクチャーなども企画されている。なお、同展覧会は埼玉県立近代美術館、松本市美術館、新潟市美術館に巡回を予定している。

「草間彌生 永遠の永遠の永遠」展覧会特設サイト:http://www.asahi.com/kusama/

4月14日(土)–5月20日(日)
埼玉県立近代美術館
http://www.momas.jp/
7月14日(土)–11月4日(日)
松本市美術館
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/artmuse/index.html

11月10日(土)–12月24日(月・祝)
新潟市美術館
http://www.ncam.jp/

フォトレポート:Yayoi Kusama @ Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia(巡回中のソフィア王妃芸術センターでの展覧会)


五木田智央「Scorn」(2011). 作家蔵
抽象と形態:何処までも顕れないもの
1月14日(土)–4月15日(日)
DIC川村記念美術館
http://kawamura-museum.dic.co.jp/

20世紀美術に多大な影響を与えたアーティストの作品と、彼らに影響を受けた現代のアーティストの新作を通して、「対象の本質を如何に顕すのか」という近代芸術の重要なテーマを再考する展覧会『抽象と形態:何処までも顕れないもの』が、DIC川村記念美術館にて開催される。
五木田智央、アンダース・エドストローム、角田純、フランシス真悟、野沢二郎、赤塚祐二、吉川民仁の最新作が、同美術館のコレクションを中心としたモネ、ピカソ、ブラック、ヴォルス、モランディ、サム・フランシス、アド・ラインハート、サイ・トゥオンブリーらの作品と共に展示される。
本展では、こうした作品を通して、文化や時代は異なれど、個々の作品に脈々と継承されている「対象の本質を如何に顕すのか」という問いを再考し、視覚芸術における抽象と形態の隠れた関係性の探求を試みる予定。
展覧会期中には、現在愛知県美術館で開催されている『ジャクソン・ポロック』展を企画し、アメリカ抽象絵画を専門とする大島徹也氏による講演会が3月18日に、そのほか、出品作家や学芸員によるトークが予定されている。なお、同美術館では、千葉市美術館の『瀧口修造とマルセル・デュシャン』との相互割引、両美術館間の無料送迎バスサービスを行っている。詳細は公式ウェブサイトを参照。


「竹製シェーズ・ロング」1941年/1985年再制作、Cassina © Archives Charlotte Perriand
– ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011

シャルロット・ペリアンと日本
1月21日(土)–3月11日(日)
広島市現代美術館
http://www.hcmca.cf.city.hiroshima.jp/
開館日時:火–日 10:00-17:00(入館は閉館の30分前まで)

20世紀の建築とデザインに刺激をもたらしたフランス人デザイナー、シャルロット・ペリアンの日本との関係に注目した展覧会『シャルロット・ペリアンと日本』が広島市現代美術館にて開催される。
ペリアンは商工省の「輸出工芸指導顧問」として1940年に来日し、海外向けの工芸品の改良、指導のために日本全国をまわると同時に、「民藝」の理念などに触れている。また、戦後も日本に再訪し、戦前に自身が日本で体験したことをデザインに活かして、数々の名作を生み出している。
本展は5つの章で構成され、家具、インテリアに関する図面、写真資料のほか、ペリアンが撮影した写真、日本の友人と交わした書簡など約 500点が紹介される。
1月21日にはオープニング特別講演会として、シャルロット・ペリアン・アーカイヴ代表でペリアンの長女であるペルネット・ペリアン=バルサックと美術史家のジャック・バルサックによる講演「シャルロット・ペリアンと日本」と、広島大学大学院工学研究院准教授の千代章一郎による「ル・コルビュジエとシャルロット・ペリアン:ル・コルビュジエがペリアンに宛てた1枚の手紙を巡って」のふたつの講演が行われる。また、2月11日には、建築家の伊東豊雄が講師を務め、「建築が家具をつくり、家具が建築をつくる」が行なわれる。そのほか、小学生以上の子どもを対象としたワークショップ(2月26日)や学芸員によるギャラリー・トークなどを企画している。
なお、『シャルロット・ペリアンと日本』展は、今月9日まで神奈川県立近代美術館 鎌倉で既に開催され、広島市現代美術館の会期終了後には目黒区美術館へと巡回予定。

「建築が家具をつくり、家具が建築をつくる」
2月11日(土、祝)14:00-16:00(開場時間 13:30)
講師:伊東豊雄
会場:広島市現代美術館ミュージアムスタジオ
参加無料、当日先着160名

2012年4月14日(土)–6月10日(日)
目黒区美術館
http://www.mmat.jp/


「地獄門」1965-69年, 所蔵・写真提供:国立国際美術館
©Ryoji Ito

『田中敦子—アート・オブ・コネクティング』
2月4日(土)–5月6日(日)
東京都現代美術館
http://www.mot-art-museum.jp/
開館日時:火–日(4月30日が祝日開館のため、5月1日は振替休館)
10:00-18:00(入場は閉館の30分前まで)

日本の戦後現代美術における代表的なアーティストのひとり、田中敦子の回顧展『田中敦子―アート・オブ・コネクティング』が東京都現代美術館にて開催される。
田中は、後に夫となる金山明の助言により、抽象表現へと進み、コラージュ作品などの制作を始める。その後、金山とともに、吉原治良の指導のもとに結成された前衛団体「具体」に参加する。20個のベルが順に鳴り響く「作品(ベル)」(1955)、エナメル塗料で塗り分けられた管球約100個と電球約80個からなる「電気服」(1956)を発表する。そのほか、パフォーマンスやインスタレーションを取り入れた表現は具体においても突出した異彩を放っている。この時期の彼女の作品は、音や電気の明滅、時間といった非物質的な素材を、従来の美術表現にとらわれることなく、それらの存在を抽出している。2005年に他界した後も、2007年のドクメンタ12で大きく特集されるなど、近年注目を浴びる日本の戦後現代美術においても、とりわけ重要視されている。
本展は、作家自身の監修のもとに再制作された「作品(ベル)」「電気服」をはじめとする代表作約100点で構成される。会期中には日本展オープン記念トークセッション「田中敦子のつないだもの」をはじめ、ドキュメンタリー「田中敦子 もうひとつの具体」の上映など複数の企画が予定されている。(日時等の詳細は後日、東京都現代美術館ウェブサイト内にて記載される予定)また、同展特別展示として松井紫朗、河合政之、上地由衣の作品も出品される。
同展は東京都現代美術館と国際交流基金、アイコンギャラリー(イギリス)、カスティジョン現代美術センター(スペイン)との共同企画。また、同時期に東京都現代美術館では『靉嘔 ふたたび虹のかなたに』展が開催され、MOTコレクションでは福島秀子の特集展示のほか、田中敦子、靉嘔両展覧会に連動した戦後の日本美術を知るうえで、欠くことのできない作家、作品、美術動向を紹介する。

日本展オープン記念トークセッション「田中敦子のつないだもの」
日時未定(2012年1月18日現在)
講演者:ジョナサン・ワトキンス(アイコンギャラリー ディレクター)
ロレンサ・バルボーニ(カスティジョン現代美術センター ディレクター)
長谷川祐子(東京都現代美術館 チーフキュレーター)
モデレーター:
関昭郎(東京都現代美術館 シニアキュレーター)
会場:東京都現代美術館 講堂(地下2階)
定員:200名(先着順)
参加費:無料(本展覧会チケットが必要)


「ブルーノ・タウトに倣って(物事の甘きを自覚せよ)」2007年、展示風景:「すべての新しい影の
上に」カルティエ現代美術財団、パリ 所蔵:ギャルリー・タデウス・ロパック、ザルツブルグ、パリ
Courtesy: the artist and Fondation Cartier pour l’art contemporain, Paris Photo: Patrick Gries

イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに
2月4日(土)–5月27日(日)
森美術館
http://www.mori.art.museum/
開館日時:会期中無休
10:00-22:00(3月20日以外の火曜は17時まで/入館は閉館の30分前まで)
3月24日は「六本木アートナイト2012」開催に伴い翌朝6時まで

韓国およびアジアを代表する韓国人アーティストのひとり、イ・ブルの初の大規模個展が森美術館にて開催される。
1964年生まれのイ・ブルは、1990年代後半より、ニューヨーク近代美術館(1997)、ディジョンのル・コンソルシウム(2002)、パリのカルティエ現代美術財団(2007-08)などで個展を開催。欧米、アジアを中心に多数のグループ展にも参加している。ヒューゴ・ボス賞ファイナリスト(1998)。第48回ヴェネツィア・ビエンナーレ(1999)でも受賞歴があり、国際的にも高い評価を受けている。多様な素材や技法を駆使した立体作品を中心に、20年以上にわたって、究極の身体や理想の社会など、捉えようとしても特定の形にできない「なにか」を追い求めて来ている。
本展では、「つかの間の存在」、「人間を越えて」、「ユートピアと幻想風景」、「私からあなたへ、私たちだけに」という4セクションで代表作を紹介する。そのほか、制作現場を想像させる「スタジオ」セクションにて、彼女の発想の根源でもあるドローイングや模型を展示する。会期中には、アーティストトークやシンポジウム「理想の社会を求めて」や同展担当キュレーター片岡真実によるキュレータートークなどが予定されている。

アーティストトーク
出演:イ・ブル
日時:2月4日(土)19:00-20:30(開場18:30-)
会場:アカデミーヒルズ49(六本木ヒルズ森タワー49階)
定員:150名(要予約
料金:一般 ¥1,000、MAMCメンバー無料

シンポジウム「理想の社会を求めて」
出演:イ・ブル
リチャード・ノーブル(ロンドン大学 ゴールドスミス・カレッジ、アート学部長)
高橋透(早稲田大学 文化構想学部教授)
モデレーター: 片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)
日時:2月5日(日)14:00-16:00(開場13:30-)
会場:アカデミーヒルズ49(六本木ヒルズ森タワー49階)
定員:150名(要予約
料金:一般 ¥1,000、MAMCメンバー無料

生誕100年 ジャクソン・ポロック展
2012年2月10日(金)–5月6日(日)
東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/
開館日時:火–日(3月19日、26日、4月2日、30日は開館)
10:00-17:00(金曜は20:00まで)

20世紀を代表する画家のひとり、ジャクソン・ポロックの大規模回顧展が東京国立近代美術館にて開催される。
本回顧展は昨年11月より愛知県美術館にて開催され、ポロックの生誕100年を期に、初期から晩年にいたるそれぞれの時期の代表的作品を含む約70点が、海外主要美術館と国内美術館から一堂に会し、出品される。90年代末のニューヨーク近代美術館、テート・ギャラリー(ロンドン)での回顧展にも出品されていない「インディアンレッドの地の壁画」も出品される。
会期中の関連イベントには、シンポジウム『PAINTERS’ ROUND-TABLE: WHAT IS JP? 画家たちのポロック』、『今ポロックの何を見るのか』や、同美術館企画課長の中林和雄による講演会『ポロックとは何か』が予定されている。

公式ウェブサイト:http://pollock100.com/

シンポジウム『PAINTERS’ ROUND-TABLE: WHAT IS JP? 画家たちのポロック』
堂本右美、岡村桂三郎、小林正人
モデレーター:中林和雄
日程:2月12日(日)13:00-16:00
場所:東京国立近代美術館(本館)地下1階 講堂
申込不要、参加無料(先着150名)12:30開場

シンポジウム『今ポロックの何を見るのか』
池上裕子、沢山遼、林道郎
モデレーター:中林和雄
日程:3月24日(土)13:00-16:00
場所:東京国立近代美術館(本館)地下1階 講堂
申込不要、参加無料(先着150名)12:30開場

講演会『ポロックとは何か』
中林和雄
4月22日(土)14:00-15:30
場所:東京国立近代美術館(本館)地下1階 講堂
申込不要、参加無料(先着150名)13:30開場


ピップ・チョードロフ「フリー・ラディカルズ―実験映画の歴史」2010年
第4回 恵比寿映像祭 映像のフィジカル
2月10日(金)–2月26日(日)
東京都写真美術館ほか
http://www.yebizo.com/
開館日時:火–日 10:00-20:00(ただし、最終日は18時まで)

第1回以来、「映像とは何か?」という問いに対し考えうる答えを企画の出発点としてきた恵比寿映像祭が、東京都写真美術館を中心とする恵比寿周辺にて開催される。「映像のフィジカル」が今回の総合テーマとなる。
同映像祭は、東京都写真美術館の新たな試みとして、2008年に『映像をめぐる7夜』が開催され、2009年より恵比寿映像祭として継続され、今年で第4回目を迎える。今回は「映像のフィジカル」というテーマのもと、映像を成り立たせている物質性に光をあて、あえて映像の即物的な面を入口に、映像の豊かさと可能性を追求する。主題やメッセージ性以前に、映像を成り立たせている技術や技能、道具や動力、流通の仕組みといった即物的な側面に迫り、同時に、映像内でしかありえない空間や時間に対する認識、映像が身体へ及ぼす作用といった映像の特質を作品を通して提示する。さらに、映像をいかにして遺し、継承するかという今日的な課題について現実的な諸問題を含めた議論を行なうことで、あり得べき方向性を探る。
同美術館の全展示会場を使用する展示部門には、サラ・モリス、ヨハン・ルーフ、ウィリアム・ケントリッジ、ユェン・グァンミン、大木裕之、前沢知子らが参加。同美術館1階ホールでは、ひとりのアーティストに焦点を当てた特集や新作上映、テーマ的な特集などさまざまな上映プログラムが組まれている。また、オフサイト・プロジェクトとして、恵比寿ガーデンプレイスの中心にあるセンター広場ではエキソニモによる最新作「The EyeWalker」が紹介される。そのほか、ライヴ・イベント、シンポジウム、レクチャー、ラウンジトークと多彩な企画が催される。
また、地域連携プログラムとして恵比寿周辺ギャラリー及び文化施設各所にて、同映像祭の総合テーマ「映像のフィジカル」をゆるやかに共有しながらも独自の企画が行なわれる。
各プログラム詳細に関しては公式ウェブサイトを参照。

関連記事
ウィリアム・ケントリッジ インタビュー(2009/10/02)
レビュー ヤン・ヘギュ『Voice Over Three』(2010/10/08)
高嶺格 インタビュー(2011/04/22)


High Water (2011) photo: Mick Vincenz
ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガー Power Sources-力が生まれるところ
2月11日(土・祝)–5月6日(日)
水戸芸術館現代美術ギャラリー
http://arttowermito.or.jp/
開館日時:火–日(ただし、4月30日は祝日のため開館、翌5月1日は休館)
9:30-18:00(入場は閉館の30分前まで)

1997年より共に活動しているスイス人アーティスト『ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガー Power Sources-力が生まれるところ』が水戸芸術館現代美術ギャラリーにて開催される。
ゲルダ&ヨルクの関心は美術の領域を超え、人間の営み、生命の神秘や驚異、身体や精神と環境との関係、宇宙、幻想、大衆文化に至るまで多岐にわたり、インスタレーション、コラージュ、写真、ドローイング、絵画、彫刻など、幅広い作品を発表してきた。代表的なものとしては、展覧会場のある地にまつわる伝承、風俗、思想などに基づいた、展覧会ごとに異なるテーマで展開されるサイトスペシフィック・インスタレーションが挙げられる。2003年のヴェネツィア・ビエンナーレでは「落下する庭園」という巨大なインスタレーションにより注目を集めた。
本展では、巨大なインスタレーション6点のほか、ふたりが初めてコラボレーションを行なった写真シリーズなど、10年間にわたる活動の軌跡および最新作が紹介される。アジアはもとより欧米で行なわれてきた展覧会と比べても、ふたりにとって過去最大規模の展覧会となる。
展覧会初日の2月11日には、ふたりが一時間ギャラリーに滞在するアーティスツ・イン・ギャラリーが企画されており、会場内で話しかけることができる(同席する学芸員による通訳可)。そのほか、キュレーター・トークや座禅会を含む関連企画が用意されている。また、同時開催として、同現代美術ギャラリー第9室にて『クリテリオム83 増本泰斗』が企画されている。


築地小劇場第49回公演『朝から夜中まで』(1926年再演)舞台装置模型 1960年 ギャラリーTOM
(撮影:木奥惠三)

『すべての僕が沸騰する 村山知義の宇宙』
2月11日(土)−3月25日(日)
神奈川県立近代美術館 葉山
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/
開館日時:火–日 9:30-17:00(入館は閉館30分前まで)

大正末期から昭和初期かけて日本の近代美術に決定的な影響を与えた村山知義の展覧会『すべての僕が沸騰する 村山知義の宇宙』が神奈川県立近代美術館 葉山にて開催される。
村山は1901年に東京に生まれる。1922年にベルリンへ渡るとダダや構成主義などの新興芸術を吸収して1923年に帰国。前衛美術集団「マヴォ(MAVO)」や「三科」といったグループを結成。物体を貼り込んだ造形作品や、トランスジェンダーなダンスパフォーマンスなど、領域横断的な試みを行なう。
本展では、1920, 30年代に展開された美術の仕事を中心に、油彩、コラージュ、版画等の希少な現存作品を一堂に集めるほか、機関誌『マヴォ』、自ら設計し新興芸術の拠点となった自邸兼アトリエ「三角の家」をはじめとする建築と室内装飾、築地小劇場での演劇『朝から夜中まで』に代表される舞台美術、ポスターデザインや装幀といったグラフィックなど、その多彩な仕事の全貌を記録資料とともに紹介する。また村山がドイツ滞在時に大きな影響を受けたカンディンスキーやクレー、活動を共にした和達知男や永野芳光の作品も展示する。そのほか、『コドモノクニ』などの児童雑誌を中心に発表された、子どものためのイラストレーションの仕事も多数紹介。
関連企画として、2月11日には独文学者でエッセイストの池内紀氏によるオープニング・レクチャー「村山知義への招待」や、村山を題材のひとつとして扱った演劇公演に取り組んでいるやなぎみわも出演するパフォーマンス・イベント「新・劇場の三科」、担当学芸員によるギャラリートークが予定されている。

オープニング・レクチャー「村山知義への招待」
講師:池内紀(独文学者・エッセイスト)
日時:2月11日(土・祝)13:00-14:30
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 講堂
要申込(定員70名、先着順)参加無料

パフォーマンス・イベント「新・劇場の三科」
出演(予定):巻上公一、やなぎみわ、フォルマント兄弟、酒井幸菜
日時:3月3日(土)18:00-20:00
会場:神奈川県立近代美術館 葉山 展示室
有料(要別途チケット購入)

G-tokyo 2012
2月25日(土)–2月26日(土)
森アーツセンターギャラリー
開催日時:25日(土)11:00-21:00 26日(日)11:00-20:00

2010年から始まった東京都内にスペースを持つ15ギャラリーが出展するアートフェア、G-tokyoが2月25日、26日の2日間に渡って開催される。今年は15ギャラリーに加え、NANZUKAが特別展示として参加。昨年は「exhibition week」を設けたが、今回は2日間の集中開催となり、主にコレクターを対象とした有料のプログラム(要予約、定員20名)が連日企画されている。
既に発表されているラインナップによれば、アラタニウラノ(小西紀行)、ケンジタキギャラリー(塩田千春)、小山登美夫ギャラリー(蜷川実花)、ミズマアートギャラリー(棚田康司)、タカ・イシイギャラリー(スターリング・ルビー)、シュウゴアーツ(藤本由紀夫)、TARO NASU(サイモン・フジワラ)、山本現代(小林耕平)がそれぞれ個展形式での展示。スカイ・ザ・バスハウスが荒神明香と小牟田悠介の二人展。ギャラリー小柳は昨年に引き続きテーマに基づいた展示形式となる。

公式ウェブサイト:www.gtokyo-art.com

関連記事
ニュース タイトル
フォトレポート G-tokyo 2011

荒木経惟写真集展 アラーキー
3月11日(日)–7月22日(日)
IZU PHOTO MUSEUM
http://www.izuphoto-museum.jp
開館日時:10:00-18:00(入館は閉館30分前まで)

写真家人生においてこれまでに400冊以上に及ぶ写真集を制作してきた荒木経惟。IZU PHOTO MUSEUMでは、荒木の写真集に焦点を当てた『荒木経惟写真集展 アラーキー』を開催する。
本展では、荒木が電通勤務時代に制作したスクラップブックから、最新の写真集に至る400冊以上の写真集のほぼすべてを来館者が手に取ることができる形式で展示される。また、通常の写真展だけでは捉えがたい「アラーキー」の全貌に迫るとともに、写真集をベースにした日本の写真文化や出版文化の独自性を感じさせる試みとなる。会期中には、批評家の倉石信乃、飯沢耕太郎とのトークイベントがそれぞれ企画されている。

「なぜ写真か?」
荒木経惟 x 倉石信乃(批評家)
3月11日(日)14:30-16:00

「『荒木本!』のマンダラ宇宙」
荒木経惟 x 飯沢耕太郎(批評家)
6月10日(日)14:30-16:00

杉本博司 ハダカから被服へ
3月31日(土)–7月1日(日)
原美術館
http://www.haramuseum.or.jp/
開館日時:火–日 11:00-17:00(水曜のみ20時まで/入館は閉館の30分前まで)

2010年11月からの一年間、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で4つの連続展覧会を開催した杉本博司の個展『ハダカから被服へ』が原美術館にて開催される。
杉本は、写真というメディアの本質を探究し、人間と世界の意味を照射する数々の写真作品で国際的に高い評価を受けている。また、透徹した思考と卓越した技術に裏打ちされた精緻なモノクロームのプリントで鑑賞者を魅了し続けている。
本展では、ガブリエル・シャネル、イヴ・サンローラン、川久保玲など、20世紀を代表するデザイナーによるファッションの数々を撮影した「スタイアライズド スカルプチャー」シリーズを中心に構成される。このシリーズは「人類の衣服の 歴史は人類の歴史そのものと同じほど古い」ことに着目し、「人体とそれを包む人工皮膚を近代彫刻として見る」と いう視点から制作され、生身のモデルではなく、慎重に選んだマネキンを使って撮影されている。このシリーズに「ジオラマ」および「肖像写真」シリーズから選ばれた写真作品を加えて、<ハダカから被服へ>という人類史的な軸を浮き上がらせる。さらに、杉本博司自身が演出を手がけた文楽の人形、デザインを手 がけた能楽の装束、これまで収集した美術工芸品を加え、人間の身体と<装う>ことの意味を杉本の視点で読み解いた展覧会構成となっている。
会期中にアーティストトークを開催予定。詳細は後日発表される。本展と同じく3月31日より、ドキュメンタリー映画『はじまりの記憶 杉本博司』(監督:中村佑子)が、シアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区)にて公開される。同作は2011年国際エミー賞アート番組部門にノミネートされた。

『はじまりの記憶 杉本博司』公式ウェブサイト:http://sugimoto-movie.com/

禁無断複製、禁無断転載

Copyrighted Image