Forecast: 2012年4月-6月
Hiraki Sawa Lineament (2012) Courtesy of Hiraki Sawa
さわひらき展 Lineament
4月7日(土)–6月17日(日)
資生堂ギャラリー
http://www.shiseido.co.jp/gallery/
開廊日時:火–日 11:00-19:00(日、祝は18時まで)
ロンドン在住の日本人アーティスト、さわひらきの個展『Lineament』が資生堂ギャラリーにて開催される。
さわは、2002年にイギリスで発表した映像作品「dwelling」で注目を集め、日常空間のなかに寓話的イメージを紛れ込ませた幻想的な情景を映し出す映像作品を発表してきた。近年は、マルチスクリーンや音響効果を用いて、展示空間を構成し、映像表現の可能性を模索している。これまでに、横浜トリエンナーレ2005、アジア・パシフィック・ビエンナーレ6(2009、ブリスベン)、シドニー・ビエンナーレ(2010)などの国際展をはじめ、世界各国にて作品を発表している。
本展では、さわが友人の記憶喪失をきっかけに取り組み始めた”記憶について/思い出すこと”を考察した”Figment”というプロジェクトから、新作、映像インスタレーション作品「Lineament」を発表。また、同プロジェクトとして制作された「did i?」と「Sleeping Machine」もあわせて展示される。
なお、さわ自身によるギャラリートークが会期初日の4月7日に予定されている。
村山知義「サディスティッシュな空間」1922-23年 京都国立近代美術館蔵
すべての僕が沸騰する—村山知義の宇宙—
4月7日(土)–5月13日(日)
京都国立近代美術館
http://www.momak.go.jp/
開館日時:火–日・祝 9:30-17:00(金曜は20時まで開館。全日、入館は閉館30分前まで)
日本国内における「前衛」運動の旗手、村山知義の多彩な活動の足跡をたどる回顧展『すべての僕が沸騰する—村山知義の宇宙—』が京都国立近代美術館にて開催される。
同美術館は、代表作「サディスティッシュな空間」(1922-23)や版画作品、雑誌『マヴォ』などを収蔵しており、これまでにもコレクション・ギャラリーにて村山作品を紹介している。本展では、1920年代に展開された美術の仕事を中心に、現存する作品と参考資料を一堂に会した、700点を超える作品、資料から構成された「村山知義の宇宙」が紹介される。
展覧会に際して、神奈川県立近代美術館館長の水沢勉、京都市美術館学芸課長の尾﨑眞人による講演会が予定されている。また、会期中4月13日からの三日間、やなぎみわ 演劇プロジェクト 第三部「1924 人間機械」も上演される。
講演会「『すべての僕が沸騰する』という現象」
水沢勉(神奈川県立近代美術館館長)
4月29日(日)14:00-15:30
会場:京都国立近代美術館1階講堂
定員:100名(聴講無料、当日11時から受付にて整理券配布)
講演会「アヴァンギャルドは、幸せかい。—村山知義の場合」
尾﨑眞人(京都市美術館学芸課長)
5月3日(木・祝)14:00-15:30
会場:京都国立近代美術館1階講堂
定員:100名(聴講無料、当日11時から受付にて整理券配布)
やなぎみわ演劇プロジェクト 第三部「1924 人間機械」
4月13日(金)-4月15日(日)開場:18:00 開演:18:30
京都国立近代美術館1階ロビー
http://www.momak.go.jp/
やなぎみわの演劇プロジェクト三部作の最後を飾る第三部『1924 人間機械』が『すべての僕が沸騰する—村山知義の宇宙—』開催中の京都国立近代美術館にて上演される。
やなぎみわ演劇プロジェクト三部作『1924』は、昨年7月、同美術館で上演された第一部「Tokyo-Berlin」を皮切りに、昨年11月には第二部「1924 海戦」がKAAT神奈川芸術劇場で上演され、美術界のみならず、演劇界からも高い評価を得ている。再び、同美術館での開催となる第三部「1924 人間機械」では、村山知義に焦点が当てられる。1924年にベルリンより帰国し、不眠不休の制作と発表を続け、やがて社会主義リアリズム演劇を連作するようになるまでの数年間、アヴァンギャルドとプロレタリアを並走させた村山の葛藤が、音楽とダンスと映像を交えた連鎖劇で描かれる。
公演スケジュール、チケット等に関する詳細は下記公式ウェブサイトを参照。
やなぎみわ演劇プロジェクト公式ウェブサイト:http://www.yanagimiwa.net/1924/
やなぎみわ演劇プロジェクト公式ブログ:http://www.yanagimiwa.net/1924/blog/
F/Tステーション特別企画
なにもない空間からの朗読会
やなぎみわ『1924前夜』:http://www.ustream.tv/recorded/17471953
KAAT やなぎみわ演劇プロジェクト「1924 海戦」:http://www.kaat.jp/pf/kaisen.html
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Noritoshi Hirakawa Beyond the sunbeam through trees (2011) Installation.
Courtesy of Yamaguchi Center for Arts and Media(YCAM)
Photo: Ryuichi Maruo(YCAM)
平川典俊『木漏れ日の向こうに』
4月14日(土)–6月10日(日)
群馬県立近代美術館
http://mmag.pref.gunma.jp/
開館日時:火–日、祝(ただし、月曜が祝日の場合は翌日休館)
9:30-17:00 ※入館は閉館30分前まで
1993年に渡米し、以後ニューヨークを拠点に活動を続けるアーティスト平川典俊の日本初となる大規模回顧展『木漏れ日の向こうに』が群馬県立近代美術館にて開催される。
社会システムと個人、個人と自由意志についての真摯な問いかけと提言という一貫した態度のもとに、身体性、ジェンダー、メディア、宗教、そして、現代美術そのものなど、広範囲かつ挑発的なテーマを扱う平川。その表現方法も、写真やビデオ、サウンド、テキスト、インスタレーションはもちろん、パフォーマンスやレクチャーなど多岐に渡る。これまでにも、ポンピドーセンター、フランクフルト近代美術館など世界各国で300回を超える展覧会に作品を発表している。
本展は、山口情報芸術センターでダンサーの安藤洋子(フランクフルト、フォーサイスカンパニー)、作曲家のミヒャエル・ローター(ノイ!-NEU!-)と共同で制作した「木漏れ日の向こうに」(2011)や「New Clear Era—新しい明らかな時代」(2007-)、初期代表作「フロストバイト」(1989)などで構成され、これまでの軌跡を振り返るとともに、これからの世界におけるアートと社会の関わり、アートが果たす役割についての再考を促す機会となる。
会期中には、シンポジウムや記念講演会などが予定されており、詳細は決定次第、同美術館ウェブサイトにて発表される。
ヴォルフガング・ティルマンス「フライシュヴィマー(自由な泳ぎ手)24」(2003) © Wolfgang
Tillmans, courtesy Wako Works of Art
「国立国際美術館開館35周年記念展 コレクションの誘惑」
4月21日(土)–6月24日(日)
国立国際美術館
http://www.nmao.go.jp/
開館日時:火–日(ただし、4月30日は開館)
10:00-17:00(金曜は19時まで)※入館は閉館の30分前まで
国立国際美術館では開館35周年を記念して「コレクションの誘惑」展を開催する。
同美術館は、1970年に大阪で開かれた日本万国博覧会における万国博美術館の建物を譲り受け、現代美術を扱う国立の美術館として1977年に開館。その後、建物の老朽化や収蔵作品の増加に伴い、2004年11月より大阪中之島に新築移転している。現在、万博記念公園時代から35年間で収蔵した作品は約6300点に至る。
本展は絵画や彫刻を中心とした第一部「20世紀から21世紀へ—現代美術の世界」と、近年収集を続ける現代写真の第二部「自由な泳ぎ手—現代写真の世界」とした構成となっており、約350点が全館を使って約350点が展示される。
歴代館長によるシンポジウム「国立国際美術館のこれまでとこれから」
4月28日14:00-
木村重信(美術評論家・国立国際美術館元館長)
宮島久雄(高松市美術館館長・国立国際美術館元館長)
建畠晢(京都市立芸術大学学長・埼玉県立近代美術館館長・国立国際美術館前館長)
司会:山梨俊夫(国立国際美術館館長)
会場:国立国際美術館 B1階講堂
定員:130名(10時より整理券を配布)
シンポジウム「写真の誘惑—視線の行方」
5月12日(土)、13日(日)
パネリスト:青山勝、五十嵐太郎、植松由佳、笠原美智子、加治屋健司、佐藤守弘、島敦彦、管啓次郎、鈴木理策、鷹野隆大、竹内万里子、畠山直哉、ブブ・ド・ラ・マドレーヌ、前田恭二、森村泰昌、ヨコミゾマコト、米田知子
定員:130名(10時より整理券を配布)
※詳細は同美術館ウェブサイトを参照
アーティスト・トーク
小沢剛 5月19日(土)14:00-
内藤礼 6月2日(土)14:00-
伊藤存 6月23日(土)14:00-
会場:国立国際美術館 B1階講堂
定員:130名(10時より整理券を配布)
講演会「コレクションの楽しみ方」
4月30日(月・休)14:00-
島敦彦(国立国際美術館学芸課長)
会場:国立国際美術館 B1階講堂
定員:130名(10時より整理券を配布)
奈良美智「Wink Away your tears」(2005)
© Yoshitomo Nara
開館10周年記念展「庭をめぐれば」
4月21日(土)–8月31日(金)
ヴァンジ彫刻庭園美術館
http://www.vangi-museum.jp/
開館日時:木–火、祝(水曜が祝日の場合は翌日休館)10:00-18:00
ヴァンジ彫刻庭園美術館は、開館10周年を記念した企画展「庭をめぐれば」を開催する。
同美術館は、2002年4月にイタリアの彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの世界唯一の個人美術館として開館。開館10周年にあたり、その10年間の歩み、同館の特色と活動を「庭」というテーマに重ねる。古来より「庭」は、日本人にとって生活に寄り添う場所であり、瞑想しながら道行き、四季の移り変わりを愛でる対象としてあった。木や石の配置に、「見立て」という象徴の言語を隠した古の作庭法は、哲学と自然観などそこで育まれた高度な精神文化を体現したものといえる。
「庭」という場の可能性を探る本展では、幅広い領域にわたる19組のアーティストの作品が紹介される。また、会期中には複数の展覧会関連ワークショップも企画されている。詳細は同美術館ウェブサイトを参照。
川内倫子, 無題 シリーズ「あめつち」より 2012年
川内倫子展 照度 あめつち 影を見る
5月12日(土)–7月16日(月・祝)
東京都写真美術館
http://www.syabi.com/
開館日時:火–日、祝(ただし、月曜祝日の場合は翌日休館)
10:00-18:00(木、金は20時まで)※入館は閉館30分前まで
2000年以降の日本写真を代表する写真家、川内倫子の個展『照度 あめつち 影を見る』が東京都写真美術館にて開催される。
川内は、2001年に『うたたね』『花火』を刊行し、翌年、第27回木村伊兵衛写真賞を受賞する(上述の2冊に加え、『花子』も同時刊行)。日常光景を切り取り、つなぎあわせることで、普遍的な生命の輝きへと昇華させる表現により高い評価を獲得し、これまでにもカルティエ財団現代美術館をはじめ、国内外で数多くの展覧会を開催している。そのほか、今年9月に発表されるドイツ証券取引所写真賞2012にノミネートされている。
本展では新作として、早春の阿蘇山の野焼きのイメージを中心に地球上の数々の事象をとおして、作家の感覚と直感がより大きな世界へ向けて開かれることとなったシリーズ「あめつち」および映像作品「影を見る」を初公開。そのほか、これまでの6×6のフォーマットでの集大成ともいえる「Illuminance」シリーズも出品され、川内の作品世界の魅力と本質、そして新たな展開に迫る。会期中は対談イベントも開催。なお同館ウェブサイトでは川内へのインタビューも掲載されている。
対談:内藤礼(現代美術作家)x川内倫子
5月25日(金)18:30-20:00
会場:東京都写真美術館 1階ホール
対象:本展覧会の半券をお持ちの方のみ。
定員:190名、先着順(当日午前10時より1階受付にて入場整理券を配布)
対談:原田郁子(音楽家)x川内倫子
6月22日(金)18:30-20:00
会場:東京都写真美術館 1階ホール
対象:本展覧会の半券をお持ちの方のみ。
定員:190名、先着順(当日午前10時より1階受付にて入場整理券を配布)
Thomas Demand Kontrollraum / Control Room (2011) ©Thomas Demand, VG Bild-Kunst,
Bonn / APG-JAA, Tokyo Courtesy Taka Ishii Gallery Tokyo, Sprueth Magers Berlin London
トーマス・デマンド
5月19日(土)–7月8日(日)
東京都現代美術館
http://www.mot-art-museum.jp/
開館日時:火–日、祝 10:00-18:00 ※入場は閉館30分前まで
ドイツ人アーティスト、トーマス・デマンドの初期作品から新作に至る活動を紹介する個展が東京都現代美術館にて開催される。
デマンドは、政治的、社会的出来事を連想させるイメージを紙を使った模型で原寸大に再現し、その模型を撮影した写真および映像作品で知られる。1992年のミュンヘンでの個展以来、2004年にはブレゲンツ美術館で大規模な個展を開催。その後も、ニューヨーク近代美術館(2005)、サーペンタインギャラリー(2006)、ベルリンのノイエナショナルギャラリー(2009)など世界各地の主要美術館にて個展を開催。ヴェネツィア・ビエンナーレ(2003)、上海ビエンナーレ(2006)、光州ビエンナーレ(2008)に参加。2010年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展には、ロンドンの建築スタジオ、カルソ・セント・ジョンとともに参加している。日本の美術館では初のデマンドの個展となる本展では、写真作品のほか、2008年に起きた豪華客船パシフィック・サン号の事故映像をモチーフとした最新の映像作品「パシフィック・サン」をはじめ、代表的な映像作品が紹介される。
アクラム・ザアタリ「サイダ、1982年6月6日」1982/2006年 Courtesy: Sfeir Semler Gallery
アラブ・エクスプレス展:アラブ美術の今を知る
6月16日(土)–10月28日(日)
森美術館
http://www.mori.art.museum/
開館日時:会期中無休 10:00-22:00(火曜のみ17時まで)※入館は閉館30分前まで
近年、欧米の美術館での紹介や美術館建設が続くアラブ現代美術を紹介する展覧会『アラブ・エクスプレス展:アラブ美術の今を知る』が森美術館で開催される。
同美術館は、これまでにも中国、アフリカ、インドと非欧米地域の現代美術を紹介する展覧会を開催している。今回はイラクから、アラビア半島周辺、エジプトまでの、方言が異なりるばかりでなく、宗教戒律の程度や衣服を含む生活習慣も大きな差がある東アラブ地域を対象地域に設定し、独自の現地調査と各国の専門家からのアドバイスをもとに企画、構成される日本初のアラブ現代美術展となる。
本展では、アラブ社会へのネガティブなステレオタイプ—テロ、紛争、宗教や民族の対立、政治的分断など—の一方で存在している人々が営む等身大の日常生活や人生の機微などを、「日々の生活と環境」「ステレオタイプとアラブ像」「記憶と記録、未来への思い」の3つのセクションのさまざまな美術表現を通して描き出し、急速に変化を遂げるアラブ世界の現状と文化の多様性を紹介する。