第21回シドニー・ビエンナーレのアーティスティック・ディレクターに片岡真実

2016年7月5日、シドニー・ビエンナーレ事務局は2018年に開催する第21回シドニー・ビエンナーレのアーティスティック・ディレクターを、森美術館チーフ・キュレーターの片岡真実に任命したとプレスリリースで発表。片岡の同職への就任は、アジア太平洋地域で最も長い歴史を持つ国際展である同ビエンナーレにおいて、初のアジア出身のキュレーターの選出となる。

シドニー・ビエンナーレ事務局長のケイト・ミルズは、片岡をアジア太平洋地域における最も優れたキュレーターのひとりと評し、次回のビエンナーレの参加アーティストや観客が、アジア太平洋地域の繋がりを深く掘り下げ、世間一般の通念を疑うことができるような、新たな視点とアジアの感性を持ち込んでくれることを期待すると述べている。

先月終了した第20回シドニー・ビエンナーレでも国際アドバイザーを務めた片岡は、オーストラリア、そしてシドニーという多文化都市で、今日の世界情勢におけるさまざまな社会政治的文脈やますます進んでいく複雑さを考察し、「複数のモダニズム」を探求するビエンナーレを目指していく。
片岡真実は1965年愛知県生まれ。88年に愛知教育大学を卒業し、92年からニッセイ基礎研究所都市開発部で文化政策・都市開発と芸術文化プロジェクトの調査研究を行なう。97年から東京オペラシティ アートギャラリーのチーフ・キュレーターとして、美術館の立ち上げに携わり、開館記念展『感覚の解放』(1999)や『わたしの家はあなたの家、あなたの家はわたしの家』(2001、ホウ・ハンルゥ、ジェローム・サンスとの協働企画)、『リクリット・ティラバーニャ』(2002)などを企画。2003年より現職の森美術館チーフ・キュレーターに就任。『六本木クロッシング:日本美術の新しい展望2004』、『小沢剛:同時に答えるYESとNO!』(2005)、『笑い展:現代アートにみる「おかしみ」の事情』(2007)、『アイ・ウェイウェイ展−何に因って?』(2009)、『ネイチャー・センス展:吉岡徳仁、篠田太郎、栗林 隆』(2010)、『イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに』(2012)、『会田誠展:天才でごめんなさい』(2012)、『六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト−来たるべき風景のために』、『リー・ミンウェイとその関係展:参加するアート−見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる』、『MAMリサーチ002:ロベルト・チャベットとは誰か?』(2015)などを手掛ける。また、2007年から2009年はロンドンのヘイワード・ギャラリーにてインターナショナル・キュレーターを兼務し、『Laughing in a Foreign Language』(2008)、『Walking in My Mind』(2009)などの企画に携わり、さらにゲスト・キュレーターとしてサンフランシスコ・アジア美術館の『Phantoms of Asia』(2012)を企画。2012年には第9回光州ビエンナーレの共同アーティスティック・ディレクターを務めている。そのほか、国際美術館会議[CIMAM]の理事、グッゲンハイム美術館アジア・アート・カウンシルのメンバー、北京のユーレンス現代美術センターのアドバイザリー・ボードを兼務。今年から京都造形大学大学院芸術研究科の教授も務めている。2017年には森美術館の『N・S・ハルシャ展(仮題)』が控えている。

 

 


 

過去のディレクターとテーマ

第20回(2016)|ステファニー・ローゼンタール
「The Future is already here – It’s just not evenly distributed」

第19回(2014)|ジュリアナ・エンバーグ
「You Imagine What You Desire」

第18回(2012)|キャサリン・デ・ゼーガー、ジェラルド・マクマスター
「All Our Relations」

第17回(2010)|ディヴィッド・エリオット
「The Beauty of Distance, Songs of Survival in a Precarious Age」

第16回(2008)|キャロライン・クリストフ=バカルギエフ
「Revolutions – Forms That Turn」

第15回(2006)|チャールズ・メアウェザー
「Zones of Contact」

第14回(2004)|イサベル・カルロス
「On Reason and Emotion」

第13回(2002)|リチャード・グレイソン
「(The World May Be) Fantastic」

第12回(2000)|ニック・ウォーターロー(委員長)、南條史生、ルイーズ・ネリ、ヘティ・パーキンス、ニコラス・セロータ、ロバート・ストー、ハラルド・ゼーマン
「Sydney 2000」

第11回(1998)|ジョナサン・ワトキンス
「Every Day」

第10回(1996)|リン・クック
「Jurassic Technologies Revenant」

第9回(1992/3)|アンソニー・ボンド
「The Boundary Rider」

第8回(1990)|ルネ・ブロック
「The Readymade Boomerang: Certain Relations in 20th Century Art」

第7回(1988)|ニック・ウォーターロー
「From the Southern Cross: A View of World Art c1940-1988」

第6回(1986)|ニック・ウォーターロー
「Origins, Originality + Beyond」

第5回(1984)|レオン・パロワシャン
「Private Symbol: Social Metaphor」

第4回(1982)|ウィリアム・ライト
「Vision in Disbelief」

第3回(1979)|ニック・ウォーターロー
「European Dialogue」

第2回(1976)|トーマス・G・マッカロー
「Recent International Forms in Art」

第1回(1973)|アンソニー・ウィンターボーザム
※副題なし

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