森村泰昌が2014年の横浜トリエンナーレのアーティスティックディレクターに

2012年12月18日、横浜トリエンナーレ組織委員会は2014年の第5回横浜トリエンナーレのアーティスティックディレクターに森村泰昌が就任することを発表した。
同委員会は、2011年以降の社会において、アーティストの柔軟な発想と視点こそが私たちの生き方や考え方を捉え直すヒント、指針となるのではないかという期待のもと、森村にこの任務を依頼した。
森村は1951年大阪市生まれ、同市在住。1988年の第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ、アペルトへの出品をはじめ、国内外で多数の展覧会に出品している。主な個展の中でも『美に至る病—女優になった私』(1996)、『美の教室、静聴せよ』(2007)は同トリエンナーレの主会場である横浜美術館で開催された(※後者は熊本市現代美術館でも開催)。文筆活動も精力的に行う。
森村は、「行き先は未知である。しかし横浜から舟は出港した。その船長が私だとしたら、正直なところ、舵取りはかなり危険である(中略)だがこの初心者の危うさを、忘れかけている冒険心と捉えなおし、芸術世界の未知数に向かって新鮮な気構えで旅に出る。これはこれで、重要な提案を必ずや孕むだろう」(プレスリリースより ※リンク先PDF)と自身の国際展でのディレクターとしての経験の無さを認めつつも、その状況を肯定的に捉え、彼が芸術に抱く信念「芸術の良心」を基底としたトリエンナーレの実現を目指す。自身の作品制作過程で美術史や近現代史の探究に深く関わる森村が、どのような展覧会制作を試みるのかも注目される。
また、今年の第9回光州ビエンナーレや来年の第4回シンガポール・ビエンナーレのように共同キュレーションの可能性を探る国際展がアジアで企画される中、同トリエンナーレは川俣正以来二人目となるアーティストを抜擢した。同トリエンナーレは2001年に第1回展を開催、2004年に横浜市が策定した創造都市政策のリーディング・プロジェクトに位置づけられている。ヨコハマトリエンナーレ2014では、前回の主会場であった横浜美術館のほか、第3回の主会場となった新港ピア(新港ふ頭展示施設)が使用される。
過去のディレクター、キュレーターは以下の通り。

横浜トリエンナーレ2001「メガ・ウェイブ―新たな総合に向けて」
アーティスティックディレクター:河本信治、建畠晢、中村信夫、南條史生

横浜トリエンナーレ2005「アートサーカス[日常からの跳躍]」
総合ディレクター:川俣正
キュレーター:天野太郎、芹沢高志、山野真悟

横浜トリエンナーレ2008「TIME CREVASSE タイムクレヴァス」
総合ディレクター:水沢勉
キュレーター:ダニエル・バーンバウム、フー・ファン、三宅暁子、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、ベアトリクス・ルフ

ヨコハマトリエンナーレ2011「OUR MAGIC HOUR ―世界はどこまで知ることができるか?―」
総合ディレクター:逢坂恵理子
アーティスティックディレクター:三木あき子

横浜トリエンナーレ:http://www.yokohamatriennale.jp/

ヨコハマトリエンナーレ2014
2014年8月上旬 – 11月上旬(会期の詳細、休場日は決定次第発表)
会場:横浜美術館、新港ビア

(2012年12月19日加筆訂正)

Copyrighted Image