Photo: ART iT
2014年8月1日、アーティスティック・ディレクターの森村泰昌が掲げた「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」をタイトルとするヨコハマトリエンナーレ2014が横浜美術館と新港ピアを舞台に開催する。
5回目を迎える同展覧会は、2011年以降の社会における私たちの生き方や考え方を捉え直す指針として、第2回展の川俣正以来2人目となるアーティスト、森村泰昌をアーティスティック・ディレクターに抜擢した。「行き先は未知である。しかし横浜から舟は出港した。その船長が私だとしたら、正直なところ、舵取りはかなり危険である」と述べた就任記者会見から約1年半の準備期間を経て、森村は饒舌さや大声に眼を奪われがちな状況で、沈黙やささやきが内に秘める豊かさ、隠されたもの、役立たずと捨て去られるもの、敗北といった忘れられていくものを見つめ直し、「私達はなにかたいせつな忘れものをしてはいないだろうか」と問いかける。
既に発表されていた62名/組のアーティストに、スタンリー・ブラウン、ジョン・ケージ、タリン・サイモンを加えた65名/組が参加する展覧会は、序章に始まり、11の挿話からなる「忘却の海」での漂流記として構成される。内覧会では、横浜美術館のエントランスホールに設置されたマイケル・ランディの「アート・ビン」に、森村泰昌や参加アーティストらが失敗作、未発表のまま倉庫にしまわれたままの作品、捨ててもよい作品などを投入。また、テーマの由来となったレイ・ブラッドベリのSF小説『華氏451度』へのオマージュとして本展のために特別に作られた本「Moe Nai Ko To Ba」の朗読などのパフォーマンスが行なわれた。(両作品では会期中も参加者を募集している。詳細は公式ウェブサイトを参照)
Above: マイケル・ランディ. Below: Moe Nai Ko To Ba
そのほか、横浜美術館レクチャーホールにて、フランソワ・トリュフォー監督の『華氏 451』(1966)の特別上映、横浜美術館の16mmフィルムアーカイヴ、参加アーティストの映像作品など約30タイトルで構成された映像プログラムを実施。アーティスト・トークや国際シンポジウム(9月14日)など、多数のイベント・プログラムが用意されている。また、森村自身が手掛けた横浜美術館会場の音声ガイドおよびひらがなのみのガイドブックも用意されている。
会期中はBankART Studio NYKで開催される『BankART Life Ⅳ 東アジアの夢〜続・朝鮮通信使の新たなる展開とランドマークプロジェクトⅤ』や初黄・日ノ出町地区で開催される「仮想のコミュニティ・アジア—黄金町バザール2014」をはじめ、象の鼻テラス、急な坂スタジオ、ヨコハマ創造都市センター(YCC)など、同市内にて多様なアートプログラムが開催される。
ヨコハマトリエンナーレ2014:http://www.yokohamatriennale.jp/
ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」
2014年8月1日(金)-11月3日(月・祝)
横浜美術館、新港ピア(新港ふ頭展示施設)
http://www.yokohamatriennale.jp/
開場時間:10:00-18:00(8/9、9/13、10/11、11/1は20:00まで)入場は閉場30分前まで
休場日:第1、3木曜(8/7、21、9/4、18、10/2、16)
Above: Temporary Foundation. Below: 大竹伸朗
森村泰昌「河本信治x森村泰昌 対談」(2013年12月)
サイモン・スターリング「仮面劇のためのプロジェクト(ヒロシマ)」(2011年12月)
高山明「連続対話」(2013年10月)
高山明、日埜直彦「連続対話 3.日埜直彦」(2013年12月)
やなぎみわ「1924——転換期の芸術」(2011年9月)
メルヴィン・モティ「無意識のフレーム」(2014年7月)
ヤン・ヴォー「5つの事柄についての永続的な調書」(2011年2月)
大竹伸朗「邂逅が生む衝動」(2013年7月)