2013年のターナー賞、発表

2013年12月2日、現代美術における最も重要な賞のひとつとして知られるターナー賞の授賞式典が行われ、ローラ・プロヴォストの受賞が発表された。プロヴォストには賞金25,000ポンド(約416万円)が授与された。なお、最終選考に残ったリネッテ・イアドム・ボアキエ、デヴィッド・シュリグリー、ティノ・セーガルにはそれぞれ5,000ポンドが授与された。

ローラ・プロヴォストは1978年リール生まれ。短いカットを重ねる編集手法、モンタージュ、意図的な言語の誤使用による予測不可能な映像作品及び映像インスタレーションで知られる。2011年にはマックスマーラ・アートプライズ・フォー・ウィメンを受賞。同賞のコミッションとしてロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーとレッジョ・エミリア(イタリア)のマラモッティ・コレクションで発表されたインスタレーション「Farfromwords」と、テートとグリズデールアーツのコミッション作品「Wantee」が選考対象。今回は自分の祖父がコンセプチュアル・アーティストでクルト・シュヴィッタースの友人だったというフィクショナルな設定のもと制作した映像作品、オブジェを展示。

今回審査員を務めたのは、ペネロペ・カーティス(テート・ブリテンディレクター)、アニー・フレッチャー(フランクフルト現代美術館ディレクター)、スザンネ・ゲンズハイマー(フランクフルト近代美術館ディレクター)、デクラン・ロング(アイルランド国立芸術大学)、ラルフ・ルゴフ(ヘイワードギャラリーディレクター)の5名。

ターナー賞は過去1年間に開催された展覧会等の実績をもとに、イギリス出身もしくは同地で活動する50歳未満のアーティストから選出される。今回の授賞式典はアイルランド島のデリー/ロンドンデリーで行われ、1984年の創設以来初のイングランド外での開催となった。同地は1972年1月30日、公民権運動デモ行進中の市民がイギリス陸軍に銃撃された血の日曜日事件という現代アイルランド史に残る事件が起きた場所としても知られている。

昨年は、教会建築の写真、インターネットからの素材、ニュース映像など、さまざまな映像素材を組み合わせた映像作品「1979年、ウールワースのクワイア[THE WOOLWORTHS CHOIR OF 1979]」(2012年)を発表したエリザベス・プライスが受賞。そのほか、2004年には今年のヴェネツィア・ビエンナーレのイギリス館代表ジェレミー・デラー、1999年には来年新作映画の公開が控えるスティーヴ・マックイーンなどが受賞している。

なお、今回最終選考に残ったデヴィッド・シュリグリーのほか、マーティン・クリード、ジェレミー・デラー、グレイソン・ペリー、エリザベス・プライス、サイモン・スターリングといった過去のターナー賞受賞アーティストを含む約30名の作品で構成される展覧会『プライベート・ユートピア ここだけの場所 ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在』が、東京ステーションギャラリーを皮切りに、伊丹市立美術館、高知県立美術館、岡山県立美術館を巡回する予定。

Turner Prize 2013:http://www.turnerprize2013.org/

『プライベート・ユートピア ここだけの場所 ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在』
2014年1月18日(土)-3月9日(日)
東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

2014年4月12日(土)-5月25日(日)
伊丹市立美術館
http://artmuseum-itami.jp/

2014年11月2日(日)-12月21日(日)
高知県立美術館
http://www.kochi-bunkazaidan.or.jp/~museum/

2015年1月9日(金)-2月22日(日)
岡山県立美術館
http://www.pref.okayama.jp/seikatsu/kenbi/

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