国際交流基金賞に蔡國強


蔡國強「京都ダ・ヴィンチ」2015年、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015、Photo: ART iT

2016年8月24日、国際交流基金は2016年度国際交流基金賞を、中国福建省出身で日本との関係も深いアーティストの蔡國強に授与すると発表した。本年度の受賞者は蔡のほか、ハーバード大学教授で同大学ウェザーヘッド国際問題研究所日米関係プログラム所長のスーザン・J・ファーと、ブラジルを拠点にラテンアメリカ諸国における日本語教育の中核的役割を果たしているブラジル日本語センター(CBLJ)が選出された。授賞式は10月18日18時より、ホテルオークラ東京にて開催。

蔡國強は1957年中国福建省泉州生まれ。86年から95年にかけて日本に滞在し、「火薬ドローイング」の手法を確立。95年にニューヨークに活動拠点を移すと、99年にヴェネツィア・ビエンナーレで国際金獅子賞を受賞。ニューヨークのグッゲンハイム美術館をはじめ、世界各地の美術館で個展を開催。2008年には北京オリンピック・パラリンピック開閉会式視覚特効芸術監督を務めた。日本国内での発表も数多く、2011年東日本大震災後、「いわき万本桜」プロジェクトの支援を続け、越後妻有里山現代美術館企画展に参加。昨年もPARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015に「京都ダ・ヴィンチ」を出品、日本の美術館では7年ぶりとなる大規模個展『蔡國強展:帰去来』、越後妻有里山現代美術館特別企画展『蔡國強 蓬莱山−Penglai / Hõrai』を開催した。今年も『古都祝奈良−時空を超えたアートの祭典』に参加し、”船をつくる”プロジェクトを東大寺で発表している。これまでに、ヒロシマ賞(2007)、福岡アジア文化賞(2009)、高松宮殿下記念世界文化賞絵画部門(2012)を受賞している。

国際交流基金は今回の授賞にあたり、蔡の作家としての取り組みそのものを、異なる地域、宗教、言語の人々をつなぎ合わせる国際交流の実践として解釈し、昨年の日本での活動は、長年の成果を日本に持ち帰り、再び世界の多様性と連続性に気づかせる機会を提供するものであったと評価した。同賞は国際交流基金設立の翌年1973年に、学術、芸術その他の文化活動を通じて、国際相互理解の増進や国際友好親善の促進に長年にわたり特に顕著な貢献があり、引き続き活動が期待される個人又は団体を顕彰するために創設された。

国際交流基金賞https://www.jpf.go.jp/j/about/award/index.html

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