■-2015年5月10日[土]「蜷川実花:Self-image」展[原美術館]

東京・原美術館より


「Self-image」2013 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

国際的に活躍する写真家・蜷川実花による個展を、来春、原美術館にて開催いたします。極彩色の鮮烈な写真で知られる蜷川実花は、近年、映画やミュージックビデオなどの映像作品や、ファッションデザイナーとのコラボレーションなどへも活動の幅を広げ、独自のスタイルを貫きつつ挑戦を続ける表現者として、常に注目を集めています。「蜷川カラー」と呼ばれるその色とともにアイドルやモデル、花々の輝きを捉えた作品がポジティヴで開放的と評される一方で、華やかさや幸福感と隣り合わせにある歪みや澱み、衰退の影や死の気配をも捉え続けてきました。
本展では、そのような闇や影の部分に目を向け新境地を開いたシリーズ『noir』(2010年‐)と川面に散る桜を一心不乱に収めた『PLANT A TREE』(2011年)、そして初期から断続的に撮影してきたモノクロームのセルフポートレイトを中心に展観します。「生身に近い、何も武装していない」と作家自身が語る特別な写真群(=Self-image)を紹介するこの機会に、蜷川実花作品の新たな魅力と出会っていただけたら幸いです。本展は未発表作品を中心とする約150点(新作映像・音響インスタレーション1点を含む)で構成されます。

【本展の見どころ】
1. 蜷川実花初のセルフポートレイトを中心とした展覧会。「生身に近い、何も武装していない」と作家自身が語る特別な写真群(=Self-image)を紹介する。
2. 華やかで鮮烈な「蜷川カラー」のイメージとは異なる、新たな魅力を提示する。
3. 元邸宅という原美術館の親密な空間を活かした展示構成とする。

【蜷川実花 Mika Ninagawa】
東京生まれ。ひとつぼ展グランプリ、キヤノン写真新世紀優秀賞、コニカ写真奨励賞、木村伊兵衛写真賞、大原美術館賞(VOCA展)など数々受賞。活動開始と同時に毎年写真集を発表し、現在までに90冊近くを出版。2007年に公開された『さくらん』では長編映画初監督も務める。同作は国内だけでなく、第57回ベルリン国際映画祭及び第31回香港国際映画祭の正式出品特別招待作品となるなど国内外で高い評価を得た。2008年11月に東京オペラシティアートギャラリーから始まり全国の美術館を巡回する大規模な回顧展「蜷川実花展 ―地上の花、天上の色―」を開催、のべ18万人を動員する。2012年には『ヘルタースケルター』にて映画監督として第2作目を発表、新藤兼人賞銀賞を受賞。2014年、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事に就任。http://www.ninamika.com

【出品作品及び会場構成】 
無題(2015 年 映像・音響インスタレーション)約10 分
室内に三面の映像が大きく投影される。映像に対して、特別に渋谷慶一郎が音楽を、サウンド・ジェネレートシステムをevala が手がけている。音楽は無限変化を繰り返し二度同じ瞬間は訪れない。[機材協力: sonihouse/編集:ZUMI]


「無題」2015 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

「無題」2015 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

「無題」2015 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

「無題」2015 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

ギャラリー2:noir(2010年‐ Cプリント、インクジェット出力)
「noir」は、蜷川が自分の「生身に近い」と語る作品群。写真集『noir』の発行時(2010年)、収録されている写真の多くは初出であったが、他の作品集に既出のものも含まれていた。それら既出写真は、彼女を取り巻く環境が変化する中で、また社会が動いていく中で、彼女にとって捉え方や解釈が変化した作品である。なお、『noir』は、写真集発表以降も続いているシリーズであり、本展では多くが初公開作品になる予定。

目を凝らせば鬱陶しい程溢れかえっている生とか死とか/黒の中には色が溢れ、色の中に黒は潜む/私達が食するものはあらゆるものの屍/花は枯れながらも咲き乱れ/愛玩動物は今日も檻の中/新しい生命はひたすら生まれまくり/一日一日死に向かって生き続ける/眩しいくらいに/さあ、行こう/私はこの不感症な日々を精一杯生きる
――蜷川実花『noir』より


「noir」2010 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

「noir」2010 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

「noir」2010 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

階段:無題(2015年、コルトンにインクジェット出力)
陽光が美しく降り注ぎ、原美術館の空間の中でも特に印象的な階段室の窓が、蜷川の写真で覆われる。写真を透過性フィルムにプリントした本作は、白黒にすることでステンドグラスのような教会的荘厳さを避け、プライベートな記憶の空間に足を踏み入れる感を醸し出す。かつて原美術館が原邸であった頃、2階は寝室が続く私的な空間であった。

ギャラリー4:PLANT A TREE(2011年、Cプリント)
2010年の春、蜷川は取り憑かれたように目黒川の桜が川面に散る様を撮影し続けたという。移ろう一瞬の輝きを焼き付ける、という写真の基本姿勢で撮影された作品であり、本展開催にあたり、本人も以下のようにコメントしている。

「目黒川の桜だけを撮った写真集です。ある春の日、3時間程度ですべて撮影しました。あの日にしか撮れない、その時にしか残せない、そんな写真になっていると思います。」


「PLANT A TREE」2011 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

「PLANT A TREE」2011 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

ギャラリー3、ギャラリー5:Self-image(2013年-、Cプリント)
蜷川の初期の作品にはセルフポートレイトが多数含まれ、「半径5m以内のもの」を撮影するいわゆる「女の子写真」と評されることもあった。その括りから一線を画すように、セルフポートレイトは長らく封印されていたが、撮影は断続的に続いてきた。多くがモノクロームで撮られた写真群には、鮮烈な「蜷川カラー」を纏わない、まさに生身の蜷川実花が写っている。

私は蜷川実花の「セルフイメージ」のゲラのページを閉じる。庭の片隅に幼かった実花が遊んでいた鉄棒やブランコが風にゆれている。私はわが子の内面や肉体をそっと遠景にしようとこころみる。
――蜷川幸雄「どんぐりが風で落ちる音」、『Self-image』より


「Self-image」2013 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

「Self-image」2013 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

「Self-image」2013 (C)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

【開催要項】
展覧会名 「蜷川実花:Self-image」 (英題 Mika Ninagawa: Self-image )
会期 2015年1月24日[土] - 5月10日[日]
主催 会場 原美術館  Tel 03-3445-0651 http://www.haramuseum.or.jp
協賛 ドイツ銀行グループ、株式会社ルミネ、ガトーフェスタ ハラダ
企画協力 小山登美夫ギャラリー、有限会社ラッキースター
協力 ペリエ ジュエ、富士フイルムイメージングシステムズ株式会社、東京リスマチック株式会社、王子エフテックス株式会社、図書印刷株式会社、渋谷慶一郎、evala、ZUMI
機材協力 sonihouse
開館時間 11:00 am ‐ 5:00 pm(水曜は8:00 pmまで/入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日 月曜日(祝日にあたる5月4日は開館)、5月7日
入館料 一般1,100円、大高生700円、小中生500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人100円引
交通案内 JR・京急「品川駅」高輪口より徒歩15分/都営バス「反96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩3分/京急「北品川駅」より徒歩8分 

原美術館 東京都品川区北品川 4-7-25 〒140-0001
Tel 03-3445-0651(代表) Fax 03-3473-0104(代表)
E-mail info@haramuseum.or.jp 
ウェブサイト http://www.haramuseum.or.jp
携帯サイト http://mobile.haramuseum.or.jp
ブログ https://www.art-it.asia/u/HaraMuseum
Twitter http://twitter.com/haramuseum (アカウント名 @haramuseum)
ギャラリーガイド 日曜・祝日には当館学芸員によるギャラリーガイドを行ないます(2:30pmより30分程度)

関連イベント 
「蜷川実花:Self-image」展関連企画として、作家と清水穣氏(美術評論家)による対談を開催します。

日時:2015年4月12日(日) 13:30-15:00
会場:原美術館 ザ・ホール
定員:90名(申込先着順)
参加費:一般1,000円(別途要入館料)、原美術館メンバー無料(同伴者要参加費)
申込方法:Eメールにてお申込ください。表題に[蜷川実花対談申込]、本文に氏名、ご連絡先電話番号を明記し、event@haramuseum.or.jpまでお送りください。
受付開始日時:3月18日(水)午前0時~ *受付終了しました。

清水 穣(しみず みのる)
美術批評家。定期的に「BT」「ART iT」といった美術雑誌、写真集、新聞、美術館カタログに寄稿。主な著書に「プルラモン」「日々是写真」「写真と日々」など(すべて現代思潮新社)。

「蜷川実花:Self-image」展関連企画として、本展の図録デザインを手掛けた町口覚氏(アートディレクター、グラフィックデザイナー)を講師に招き、本展図録を中心に写真集のデザインについてお話いただきます。  new!

「町口 覚:蜷川展図録デザインについて語る」
日時: 5月5日(火・祝)15:30-16:30
会場:原美術館 ザ・ホール
講師:町口覚(アートディレクター、グラフィックデザイナー)、聞き手:坪内雅美(原美術館学芸員)
定員:90名(申込先着順)
参加費:無料(要入館料)
申込方法:Eメール(event@haramuseum.or.jp)またはお電話(03-3445-0651)にてお申し込みください。Eメールの場合は、表題に[町口覚イベント申込]、本文に氏名、ご連絡先電話番号を明記してください。

町口覚(まちぐち さとし)
1971年、東京都生まれ。デザイン事務所「マッチアンドカンパニー」主宰。気鋭の写真家たちとの交流が深く、これまでに数多くの写真集をディレクションしている。また、映画・演劇・展覧会のグラフィックデザイン、書籍の装丁などを幅広く手掛け、常に表現者たちと徹底的に向き合い、独自の姿勢でものづくりに取り組んでいる。2005年、自社で写真集を出版・流通させることに挑戦するため、写真集レーベル「M」を立ち上げると同時に、写真集販売会社「bookshop M」を設立。2008年より世界最大級の写真の祭典「PARIS PHOTO」にも出展しつづけ、世界を視野に“日本の写真集の可能性”を追求している。
http://www.matchandcompany.com/
http://www.bookshop-m.com/


なお、本展チラシは16種類のバリエーションがあります[カタログ、チラシともデザイン:町口覚氏(株式会社マッチアンドカンパニー)]

【関連情報】
蜷川実花展 「noir」/8/ ART GALLERY / TOMIO KOYAMA GALLERY/2015 年2 月4 日[水]-2 月23 日[月]/開廊時間 11:00 am -8:00 pm/会期中無休/東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ8 階/03-6434-1493
http://www.hikarie8.com/artgallery/ http://www.tomiokoyamagallery.com

蜷川実花展 「Portraits & Flowers」/CAPSULE/2015 年2 月21 日[土]-4 月12 日[日]/開廊時間 土曜、日曜 12:00 pm -7:00 pm/東京都世田谷区池尻2-7-12-B1/03-6413-8055/http://www.capsule-gallery.jp/

蜷川実花展 「Portraits & Flowers」/SUNDAY/2015 年2 月21 日[土]-4 月12 日[日]/営業時間 11:30 am -11:00 pm (ラストオーダー 10:00 pm) 水曜定休/東京都世田谷区池尻2-7-12-B1/03-6413-8055/http://www.sunday-cafe.jp

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「蜷川実花:Self-image」 
2015年1月24日[土]-5月10日[日](原美術館)
http://www.haramuseum.or.jp/jp/common/pressrelease/index.html

「サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡」
2015年5月23日[土]-8月30日[日]

「そこにある、時間─ドイツ銀行コレクションの現代写真」
9月12日[土]-2016年1月11日[月・祝]

原美術館とハラ ミュージアム アークはTwitterで情報発信中。
http://twitter.com/haramuseum (@haramuseum)
http://twitter.com/HaraMuseumARC (@HaraMuseumARC)

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http://www.tokyoartbeat.com/apps/mupon

原美術館ウェブサイト
http://www.haramuseum.or.jp
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