-9/29[日] 「坂田栄一郎―江ノ島」展[原美術館]

「坂田栄一郎―江ノ島」
2013年7月13日[土]-9月29日[日] 原美術館 (東京都品川区)


「江ノ島」 1999年 ⓒ Eiichiro SAKATA

人物写真(ポートレイト)の大家、坂田栄一郎による“人のいないポートレイト”を中心としたシリーズ「江ノ島」を初公開します。「江ノ島」は、坂田が90年代後半より16年間江ノ島海岸に通い、夏を謳歌する人々の姿を撮りためた作品で、砂浜に広げられた無人のレジャーシート上のさまざまなモノたちをとらえた鮮烈な静物写真(スティルライフ)と、生命力あふれる若者たちのポートレイトから成ります。そこから見えてくるのは実にさまざまな個性、そして急速に移り変わる現代日本の姿です。本展は、すべて初公開となるカラー写真約40点(そのうちポートレイトは約10点)で構成される予定です。「若者たちの姿からポジティブなエネルギーを感じて、複雑で先の見えない時代を生きるみんなに元気になってほしい」。魂をこめて対象と向き合いつつ、鋭い観察眼で時代をとらえ続けてきた写真家・坂田栄一郎の、未来への願いが込められた展覧会となります。


「江ノ島」 1998年 ⓒ Eiichiro SAKATA 

【開催要項】
展覧会名   坂田栄一郎―江ノ島 (英題: Eiichiro Sakata―Enoshima)
会期  2013年7月13日[土]-9月29日[日]
主催・会場  原美術館
協賛  株式会社ニコン、株式会社ニコンイメージングジャパン
協力  株式会社写真弘社、EIZO株式会社
開館時間   11:00 am-5:00 pm(水曜は8:00 pmまで/入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日  月曜日(祝日にあたる7月15日、9月16日、9月23日は開館)、7月16日、9月17日、9月24日
入館料  一般1,000円、大高生700円、小中生500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人100円引
交通案内   JR「品川駅」高輪口より徒歩15分/タクシー5分/都営バス「反96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩3分。

原美術館
東京都品川区北品川4-7-25 Tel: 03-3445-0651
Eメール:info@haramuseum.or.jp
公式サイト: http://www.haramuseum.or.jp
携帯サイト: http://mobile.haramuseum.or.jp
ブログ: https://www.art-it.asia/u/HaraMuseum
ツイッター: http://twitter.com/haramuseum

日曜・祝日には当館学芸員によるギャラリーガイドを行ないます(2:30pmより30分程度)。

関連イベント
坂田栄一郎アーティストトーク
開催日 7月20日[土] 3:00 pm - 4:30 pm
会場 原美術館 ザ・ホール
定員 80名
参加費 無料(別途、入館料が必要です)
※受付終了

問合せ:原美術館 TEL: 03-3445-0651


「江ノ島」 1997年 ⓒ Eiichiro SAKATA

【解説】
本展は、人物写真(ポートレイト)の大家として知られる坂田栄一郎が、16年にわたって真夏の江ノ島で探求し続けてきた“人のいないポートレイト”を中心としたシリーズ「江ノ島」を初めて発表するものです。
一般的に坂田栄一郎の仕事の中で最も人の眼に触れる機会の多いものは、週刊誌「AERA」(朝日新聞社)の表紙を飾る各界著名人のポートレイトでしょう。1988年の創刊号から現在まで休むこともなく撮り続けられ、その数は1000人を越えます。
そのかたわら、坂田栄一郎は、自分のプロジェクトとして真夏の江ノ島に通い、写真を撮りためてきました。カメラは江ノ島の風景ではなく、“夏の海”を楽しむためにやって来た人々の姿に向けられます。しかしながら、いわゆるポートレイトと呼ばれる写真は展示作品の四分の一ほどしかありません。
多くの写真に写し出されるのは、真夏の焼けた砂、広げられたカラフルなレジャーシート、無造作に置かれたタオル・サンダル・ポーチなど個人の身の回りのもの、あるいは飲みかけのドリンクや弁当殻、タバコ、さらには麻雀牌等々・・・・・・。海で遊ぶ若者たちが砂浜に残したモノたちが、8×10インチや4×5インチの大型フィルムで捉えられ、鮮烈な色彩とコントラストのイメージに焼き付けられています。これといって特徴のない砂浜や普通に見かけるレジャーシートの色彩やテクスチャーが、絵画を思わせるような力強さと存在感を放つことに驚かれるでしょう。ジャンルとしては静物写真(スティルライフ)と呼べるものですが、むしろイメージの中のモノたちが持ち主たちのライフ(生命・生活)を語る、いわば“人のいないポートレイト”と呼びたくなるヴィヴィッドな作品です。
同時に、そのモノたちを通して、坂田栄一郎が撮り続けた16年という時間、その時代の変化というものも間接的に浮かび上がってきます。そして、偶然海遊びに来たところを坂田の求めに応じてカメラの前に立った若者たちのポートレイトでは、彼らのいきいきとして堂々たる姿に、生きることの肯定と生きるためのエネルギーを感じることができます。同時にポートレイトを得意とする坂田栄一郎の真骨頂を見ることができるでしょう。
本展は、すべて初公開となるカラー写真約40点(そのうちポートレイトは約10点)を展示する予定です。


「江ノ島」 2007年 ⓒ Eiichiro SAKATA 


「江ノ島」 2007年 ⓒ Eiichiro SAKATA

【見どころ】
*日本を代表する人物写真(ポートレイト)の大家による“人のいないポートレイト”を中心とした未発表作品、「江ノ島」を初公開。坂田栄一郎の知られざる表現に触れる展覧会。
*16年かけて撮りためた膨大な写真群より選び抜かれた約40点を公開。
*鮮やかなカラーでとらえられた砂浜の風景から見えてくる、変わり行く現代日本の姿。

【プロフィール】
1941年、東京都に生まれる。日本大学芸術学部写真学科卒業。田中一光、和田誠、篠山紀信など多くのクリエイターが在籍したことで知られる広告制作会社ライトパブリシテイに勤務の後、1966年に渡米。ニューヨークで写真家リチャード アヴェドンに師事する。1970年に初個展「Just Wait」(銀座ニコンサロン)を開く。1993年には写真界の大型国際イベントとして知られる「アルル国際写真フェスティバル」(フランス)に招待され、写真展を開催、同時にワークショップを行なう。またアルル名誉市民賞を受賞。週刊誌「AERA」(朝日新聞社)の表紙を飾る人物写真を1988年の創刊号から現在まで撮り続ける。2004年、東京都写真美術館で個展「PIERCING THE SKY-天を射る」を開催。2005年に第24回土門拳賞ならびに日本写真協会賞・作家賞を受賞。


作家近影

【作品集】
1985年 「注文のおおい写真館」 流行通信社
1990年 「Talking Faces」 六耀社
1995年 「amaranth」 朝日新聞社
2004年 「PIERCING THE SKY-天を射る」 求龍堂
2006年 「JUST WAIT」 求龍堂
2008年 「LOVE CALL 時代の肖像」 朝日新聞出版

【展覧会に向けた坂田栄一郎のメッセージ】
日本三大弁天の一つでもある、弁財天を祀る神社がある江ノ島。そこには、人々を引き寄せる何か強い磁場が存在するのではないかと思う。陸繋島から見下ろす江ノ島ビーチは広く、「東洋のマイアミビーチ」と呼ばれ、梅雨が明け夏の到来とともに、全国津々浦々から若者達が集まってくる。お盆休みの前後のビーチは、足の踏み場もないほどだ。僕もその磁力に長いこと引き寄せられた一人だろう。真夏の炎天の下、重いカメラを携えて東西に広がるビーチを端から端まで何度も往復している。それほどまでに夏の江ノ島のビーチに魅了され続けてきた。
日本の若者は同時に幾つものことをこなし、生活を楽しむ、「マルチタスク術」を備えているのではないかと思う時がある。片手にドリンクを持ち、音楽を聴きながらメールをしたり、携帯電話をしながら化粧をしたり。ビーチに麻雀卓を運んで仲間とプレーに興じ、食べたり飲んだり……。とにかく、若者は忙しい。世界のどこにもない、現代日本ならではの光景が江ノ島にはある。便利で快適だけど忙しく、豊かだけど満たされない。そんな混沌とした現代を象徴するような寂寥感までもが漂っている。
ビーチでの物との出会いは、日常の生活の中では決して見られない衝撃的な光景に映る。砂浜に敷かれたタオルやビニールシートの上に、無造作に置かれた持ち物。そこには、持ち主の人物像や存在感がくっきりと浮かび上がっている。長年、撮影していると、絶えず変容する社会と変遷する時代までも見せてくれる。撮り続ける中で、人間とはいかなる存在なのだろうか、という素朴な疑問までもわいてくる。
ビーチでの人との出会いも、同じかもしれない。2007年の夏、一人の少女と出会った。パンダの顔を想像させる入念なメイクを施し、蛍光グリーンのビキニに負けない、カラフルなヘアースタイル。人真似ではない。あらゆるものを駆使して、すべてをオリジナルにしているのだ。カメラに収めたギター職人のタトゥーを入れた青年や、アクセサリー・デザイナーのモヒカン青年も、物への拘りは人一倍強かった。
彼らには、若者にありがちな驕慢さは微塵も感じられない。独自の物への拘りには誇りや逞しさがあり、未来への希望を兼ね備えた、秘められた強い輝きを放っていた。そう。それこそが日本の文化を作り、江ノ島が人々を引き寄せて止まないパワーなのだと、僕は思う。


《ご観覧の際のお願い》
・作品には触らないでください。
・お子様をお連れの際は、大人の方が手をつないでご観覧ください。

《写真撮影について》
・館内での写真撮影は固くお断りいたします。(下記の特例を除く)
・屋外展示作品の撮影も著作権保護の観点からお断りいたします。
・ギャラリーII(1階の一番広い展示室)内部のみ、作家の許可を得ており撮影可能です。

《撮影にあたってのご注意》
・作品及び周囲への安全に考慮してください。
・事故防止のため作品の接写を禁止します。
・フラッシュおよび三脚・一脚の使用は禁止します。
・他のお客様の観覧の妨げにならないようご注意ください。
・プライバシーに配慮するため、他のお客様の撮影は禁止します。
・動画撮影は禁止します。
・撮影画像の営利目的での使用等、著作権侵害にあたる二次使用は禁止します。

————————————————————-

「坂田栄一郎─江ノ島」
7月13日[土]-9月29日[日]

原美術館とハラ ミュージアム アークはTwitterで情報発信中。
http://twitter.com/haramuseum (@haramuseum)
http://twitter.com/HaraMuseumARC (@HaraMuseumARC)

原美術館とハラ ミュージアム アークは割引券一覧iPhoneアプリ「ミューぽん」に参加。
http://www.tokyoartbeat.com/apps/mupon

原美術館ウェブサイト
http://www.haramuseum.or.jp
http://mobile.haramuseum.or.jp

原美術館へのアクセス情報はこちら

Copyrighted Image