
笹本晃 ラボラトリー
2025年8月23日(土)–11月24日(月・振休)
東京都現代美術館 企画展示室 3F
https://www.mot-art-museum.jp/
開館時間:10:00–18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、9/15、10/13、11/3、11/24は開館)、9/16、10/14、11/4
展覧会URL:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Aki_Sasamoto/
東京都現代美術館では、自ら設計・構成した彫刻や装置をインスタレーション空間に配置し、それらをスコアのように用いて即興的なパフォーマンスを展開する作品で知られる笹本晃のミッドキャリアを回顧する個展「笹本晃 ラボラトリー」を開催。私小説的な語りをユーモラスに絡めながら深遠な問いを投げかける初期の代表作から、キネティックな要素が強まる最新作まで、約20年にわたり造形とパフォーマンスの関係を探究し、独自の実践を重ねてきた異才とその作品を、動的に検証する。
笹本晃(1980年神奈川県生まれ)は、2000年代半ばより、パフォーマンス、ダンス、インスタレーション、映像など、自身のアイディアを伝えるのに必要なメディアを横断的に用いた作品を手掛ける。日常的な所作や行為に、私小説的なエピソードを絡めた軽妙な語りを巧みに組み合わせつつ、初期作品では、癖や習慣、行動パターンなどの分析から個人のパーソナリティの有り様を考察し、また近年は、気象や動植物の生態などを観察の対象として、作品構造やナラティヴ(物語)に採り入れている。また、緻密に設計されたそれぞれの造形物は、そうした語りを際立てる道具であるだけでなく、即興的なパフォーマンスの思いがけない展開を誘発するスコア(譜面)としての側面を持ち、展示会期中に複数回行われるパフォーマンスの前後には、空間はインスタレーションとして鑑賞される。
10代で単身渡英した笹本は、その後アメリカに移り、ウェズリアン大学でダンスや美術を学び、2007年にコロンビア大学大学院より芸術学修士号を取得。現在はイェール大学芸術大学院彫刻専攻で教鞭を取り、専攻長を務める。これまでの主な個展に、「Sounding Lines」(パラサイト、香港、2024)、「Point Reflection」(クイーンズ美術館、ニューヨーク、2023–2024年)、「Aki Sasamoto: Yield Point」(ザ・キッチン、ニューヨーク、2017)、「Aki Sasamoto: Delicate Cycle」(スカルプチャー・センター、ニューヨーク、2016)など。主な国際展に、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2022)、国際芸術祭「あいち2022」、第3回コチ=ムジリス・ビエンナーレ(2016)、第11回上海ビエンナーレ(2016-2017)、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015、第9回光州ビエンナーレ(2012)、ホイットニー・ビエンナーレ(2010)、横浜トリエンナーレ(2008)など。2023年には、アレクサンダー・カルダーの才能を反映する革新的な彫刻作家に贈られるカルダー賞を受賞している。



本展では、初期の代表作から、キネティック(動的)な要素が強まる近年の作品まで、笹本晃の20年にわたる活動を概観。写真や立体作品、パフォーマンス時に生み出されるダイアグラム(図式)、映像作品、そして代表的なパフォーマンス/インスタレーション空間の再構成などによって、笹本作品のテーマや手法の変遷を、さまざまな角度から紹介する。実験、演習あるいは研究のための空間を指す本展タイトルの「ラボラトリー」は、鑑賞者が、美術館のホワイトキューブ内で笹本とその作品の生態を観察し検証する機会という意味合いとともに、この世界で起きる大小さまざまな現象について、注意深く観察し、分析しようと試みる、笹本の視点を示唆している。また、美術展とパフォーミング・アーツというふたつの領域を往還しながら活動を発展させてきた笹本の活動を提示しながら、パフォーマンスと美術館のありかた、「パフォーマンスの記録・保存・継承」について、その可能性を、さまざまなアプローチで考察する。
会期中には、8月下旬、10月中旬、11月上旬の3期にわたり、2010年のホイットニー・ビエンナーレで初めて発表した《ストレンジ・アトラクターズ》、同年、同じくニューヨークのMoMA PS1で発表した《Skewed Lies》、弘前れんが倉庫美術館のコミッションによりコロナ禍下に制作、2021年に発表した《スピリッツの3乗》、そして、昨年香港で発表した《Sounding Lines》に本展のために制作する新作を組み合わせた新たなパフォーマンスの新旧4作品を発表。笹本自身がインスタレーション空間のなかで即興的にパフォーマンスを行なう。そのほか、アーティストトークや、関連トーク、担当学芸員によるガイドツアー(手話通訳付き・ロジャーあり実施回を予定)も実施予定。


関連プログラム
笹本晃によるパフォーマンス
2025年8月下旬(8/23、8/24、8/28–8/31)、10月中旬、11月上旬 ※3期にわたり計4作品を各複数回ずつ実施。
会場:東京都現代美術館 企画展示室3F(笹本晃展展示室内)
定員:各回定員制(オンラインおよび当日先着順に整理券発行)
※パフォーマンス実施中は、会場内一部展示エリアへのアクセスを制限
※パフォーマンス実施作品:《Skewed Lies》、《ストレンジ・アトラクターズ》、《スピリッツの3乗》、《Sounding Lines+新作》
アーティストトーク
2025年8月23日(土)16:00–17:00
登壇者:笹本晃(本展アーティスト)
会場:東京都現代美術館 講堂
定員:180名(当日先着順)
参加費:無料
そのほか、会期中に、関連トーク、担当学芸員によるガイドツアー(手話通訳付き・ロジャーあり実施回を予定)も実施予定。
同時開催
開館30周年記念
日常のコレオ
2025年8月23日(土)-11月24日(月・振休)
東京都現代美術館 企画展示室1F、B2F、ホワイエほか
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/30th-Anniversary/
開館30周年記念 MOTコレクション
9つのプロフィール 1935→2025
2025年8月2日(土)-11月24日(月・振休)
東京都現代美術館 コレクション展示室
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-collection-250802/