
返還映画コレクション(3)――第二次・劇映画篇
2025年7月15日(火)-8月24日(日)
国立映画アーカイブ 長瀬記念ホールOZU(2階)
https://www.nfaj.go.jp/
休館日:月
定員:310名(各回入替制・全席指定制)
https://www.nfaj.go.jp/film-program/repatriated_film3_202507/
国立映画アーカイブでは、東京国立近代美術館が1968年に「返還映画」を冠した特集上映を組んで以来、およそ半世紀ぶりの開催となった2023年度の「第一次・劇映画篇」、2024年度の「第一次/二次・劇映画篇」に続く、「返還映画コレクション(3)――第二次・劇映画篇」を開催する。
1964年に戦後接収された戦前・戦中期の日本映画約1,400本がアメリカ議会図書館に残存している事実が判明。日米双方による事前調査と折衝を経て、1967年11月8日に東京国立近代美術館とアメリカ議会図書館が「交換協定文書」に調印し、日本側が返還を希望した可燃性フィルム群の返還が実現した。その後の困難な整理・不燃化作業を経て、国立映画アーカイブの基盤となるコレクションを形成した「返還映画」の中には、戦時期に米国内の各地で日系人から接収されたものや、戦後に民間情報教育局(CIE)の覚書「非民主的映画の排除」によって上映を禁止された劇映画の一部等が含まれる。国立映画アーカイブでは、1967年の第一次から1984年の第四次にかけて返還された可燃性フィルムの収蔵時の経緯等について再調査を実施し、収蔵時期の明確になったコレクションから順次(再)公開している。


「返還映画」の特集上映として3回目となる本企画では、社団法人・日本映画製作者連盟(当時)加盟の大手映画会社4社(松竹、東宝、大映、日活)と、東京国立近代美術館フィルム・ライブラリー運営委員(飯島正、池田義信、牛原虚彦、川喜多かしこ、島崎清彦、清水晶)らの選定により、1968年に第二希望としてアメリカ議会図書館から返還を受けた劇映画群を、29プログラム(31作品)に組んで上映。無声映画『紅蝙蝠 第一篇』(1931)をはじめ、映画界が臨戦体制に入った1937年から太平洋戦争末期の1944年にいたる諸作まで、第二次返還映画の光と影に新たな視線を注ぐ機会となる。
一部上映作品の概要は以下の通り。軍事色が強まる時代背景の中で当時多数製作された「招集令もの」から、浪曲師の東家楽燕が口演した浪曲映画『召集令』(1935)と、歌謡映画に才を発揮した佐々木康が監督した『進軍の歌』(1937)。後者は銃後の女性の描写にも力点が置かれている。人だけでなく馬もまた徴発令がかけられた物語を描いた『征戦愛馬譜 暁に祈る』(1940)は、武器として馬の生産を奨励していた陸軍省の後援で製作され、実際の戦地にまで撮影隊が派遣されている。「海の時代」から「空の時代」へと変わる戦局認識を広め、さらなる国威発揚を試みた『愛機南へ飛ぶ』(1943)には、陸軍航空本部監修による戦闘機の演習映像が収められている。


李香蘭が主演の『サヨンの鐘』(1943)は、1938年、日本統治下の台湾で高砂族の村から戦地へ出兵した日本軍兵士を送る道中、落水事故により命を落とした少女の実話にもとづく作品。松竹と満洲映画協会、台湾総督府によって共同製作された本作には、高砂族と日本軍の友好関係など皇民化の喧伝を前提とした描写が目立つ。また、幸田露伴の中篇小説を原作にした『五重塔』(1944)は、美術考証に木村荘八が参加。異色作としては『恐怖城(White Zombie)』の影響が色濃く感じられる、下村健二監督の日本初のゾンビ映画と称される『怪奇 江戸川乱山』(1937)も上映される。
なお、陸軍少年飛行兵の募集を目的とした啓発映画『君こそ次の荒鷲だ』(1944)の7月19日(土)13時の上映後には、国立映画アーカイブの研究員による「返還映画コレクション調査の中間報告」をテーマにした講演(約40分)、息子を戦地に送り出す母親という典型的な戦意昂揚映画『海の母』(1942)の8月23日(土)13時の上映後には、北九州市立大学文学部教授の真鍋昌賢による講演(約60分)が行なわれる。そのほか、長谷川伸による同名小説を映画化した無声映画『紅蝙蝠 第一篇』は、8月9日(土)の13時の回を弁士・伴奏付上映として、活動写真弁士の片岡一郎が弁士、無声映画楽士の宮澤やすみが三味線演奏を務める。
同時開催
ポスターでみる映画史Part 5 アニメーション映画の世界
2025年4月8日(火)-7月27日(日)
国立映画アーカイブ 展示室(7階)
開室時間:11:00-18:30(4/25、5/30、6/27、7/25は11:00-20:00)入室は閉室30分前まで
休室日:月、7/8-7/13)
https://www.nfaj.go.jp/exhibition/animatedfilms2025/
映画監督 森田芳光
2025年8月12日(火)-11月30日(日)
国立映画アーカイブ 展示室(7階)
開室時間:11:00-18:30(9/26、10/31、11/28は11:00-20:00)入室は閉室30分前まで
休室日:月、8/26-9/5、10/7-10/12