ティアゴ・ロドリゲス『〈不可能〉の限りで』©Magali Dougados
SHIZUOKAせかい演劇祭2025
2025年4月26日(土)-5月6日(火・休)
https://festival-shizuoka.jp/
静岡芸術劇場、舞台芸術公園、駿府城公園 ほか
参加アーティスト:宮城聰、ティアゴ・ロドリゲス、カロリーヌ・ギエラ・グェン、小島章司、メルラン・ニヤカム ほか
2025年4月26日より、「SHIZUOKAせかい演劇祭2025」が、静岡芸術劇場を中心に市内各所で開催される。
専用の劇場や稽古場を拠点に、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行なう日本で初めての公立文化事業集団として1995年に設立された静岡県舞台芸術センター(SPAC)は、静岡市で毎年ゴールデンウィークに世界と静岡をつなぐ演劇祭を開催してきた。2000年に国際演劇祭「Shizuoka春の芸術祭」を立ち上げ、2011年に「ふじのくに⇄せかい演劇祭」へと名称を変更し継続してきたが、2025年にSPACが財団設立30周年を迎えたことを機に、「SHIZUOKAせかい演劇祭」へとリニューアル。SHIZUOKAでさまざまな「せかい」に遭遇し、演劇が日常に活力をもたらす“ハレの場”となることを目標とする。国内外で注目されている舞台芸術作品の上演に加え、市街地でもさまざまなイベントを開催。「ふじのくに野外芸術フェスタ」と10周年を迎えるストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡」とともに、ゴールデンウィークを「PLAY!ウィーク」として、演劇/役者の魅力が街にあふれ、演劇やそのエッセンスに誰もが触れることができるフェスティバルウィークとなることを目指す。SPAC芸術総監督の宮城聰は開催にあたって、「自分を育てる養分」となる「未来の自分の心の一部分」になる作品と出会えることを願うメッセージを綴っている。
カロリーヌ・ギエラ・グェン『ラクリマ、涙 ~オートクチュールの燦きらめき~』©Jean-Louis Fernandez
小島章司 “Compañía Internacional de Flamenco Shoji Kojima” Festival de Jerez 2023 ©Ana Palma
静岡芸術劇場では、アヴィニョン演劇祭のディレクターであり、医師の母とジャーナリストの父を持つ作家・演出家のティアゴ・ロドリゲスが、赤十字国際委員会や国境なき医師団のメンバーらとの対話をもとに創作した『〈不可能〉の限りで』を日本初演。また、社会問題をテーマに、個人の記憶と集団の歴史を織り交ぜた作品を生み出してきたカロリーヌ・ギエラ・グェンは、英国王妃のウェディングドレス製作にまつわる群像劇『ラクリマ、涙 ~オートクチュールの燦めき~』を上演する。
グランシップ 中ホール・大地では、単身スペインへと渡り、85歳の今も圧倒的な輝きを放つフラメンコ界のレジェンド小島章司が、ノルウェー・オスロで対面したムンクの『叫び』に自身の舞踊人生に刻まれた偉大な歌手たちの魂の声を重ねた『叫び』を発表。舞台芸術公園 野外劇場「有度」では、フランスを拠点に活動するダンサー・振付家のメルラン・ニヤカムが、アフリカの神話にもとづく摩訶不思議な世界を踊り、普遍的な神秘を体現する『マミ・ワタと大きな瓢箪』をソロ・パフォーマンスする。駿府城公園で同時開催される「ふじのくに野外芸術フェスタ 2025」では、紅葉山庭園前広場 特設会場にて、宮城聰×SPACの新作野外劇『ラーマーヤナ物語』を上演。古代インド2大叙事詩として双璧を成す『ラーマーヤナ』を舞台化し、SPACの俳優、総勢30名が立ち上げる超人的なキャラクターや動物たちが縦横無尽に駆け巡る。
メルラン・ニヤカム『マミ・ワタと大きな瓢箪』©HIRAO Masashi
宮城聰×SPAC『マダム・ボルジア』2019年 ©Y. Inokuma
5月3日から5日には、ストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡2025」が同時開催される。駿府城公園では、世界各地の建築物をダンボールで製作するフランスのアーティスト、オリヴィエ・グロステットが初来日し、天守閣を建築し解体する参加型インスタレーション『儚きものの造り手たち』を展開する。また、ダンサーの中間アヤカが、舞踏家の今貂子、俳優の山田航大、アンサンブルダンサーたちと共に駿府城跡天守台発掘調査現場で「過去と現在」「自分と他者」を繋ぐ新作『グルーヴィ・グレイヴ』を発表。常磐公園では、大熊隆太郎率いる壱劇屋が、日本神話『天岩戶伝説』を元に、パントマイムやラップなどのパフォーマンスを交え、さらには観客も巻き込むオールスタンディング演劇『末待奉祭』を上演する。
オリヴィエ・グロステット
中間アヤカ
大熊隆太郎 ©KAWANISHI Saori
関連企画として、舞台芸術公園では「PLAY! de お茶摘み体験&ストーリー・テリング・ウォーク」、アーティストと観客が出会えるコミュニティスペース「フェスティバルcafe&bar」が展開される。駿府城公園が演劇のテーマパークとなる「PLAY!PLAY!PLAY!ガーデン」では、地ビールや地元食材を使用したフードなどを取りそろえた「ガストロノミー広場」や、アーティスト・論客たちが自由に語り合う「広場トーク」、SPAC俳優によるグリーティングやパーソナルモビリティ試乗体験イベント、また「ストレンジシード静岡」の芝居やダンス、音楽や工作を楽しめるワークショップなどが開かれる。
©MAKITA Natsumi (F4,5)
©MAKITA Natsumi (F4,5)