〈触〉制作風景 1989年（撮影：馬場直樹）©The Estate of Katsuro Yoshida / Courtesy of Yumiko Chiba Associates
吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる
2024年4月20日（土）－6月30日（日）
神奈川県立近代美術館 葉山
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/
開館時間：9:30–17:00 入館は閉館30分前まで
休館日：月（ただし、4/29、5/6は開館）
企画担当：西澤晴美（神奈川県立近代美術館主任学芸員）、菊川亜騎（神奈川県立近代美術館学芸員）
展覧会URL：http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition/2024-yoshida-katsuro
神奈川県立近代美術館 葉山では、「もの派」の中心作家として台頭し、版画、絵画においても注目すべき作品を残した吉田克朗の制作の全貌に迫る初めての回顧展「吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる」を開催する。
吉田克朗（1943-1999／埼玉生まれ）は、1964年に多摩美術大学に入学し66年から斎藤義重教室で学ぶ。大学を卒業した68年に第8回現代日本美術展のコンクール部門で机を半分に切断した《Cut 1》が入選を果たす。翌69年から物体を組み合わせ、その特性が自然に表出されるような作品の制作に取り組む。このような作風を示す動向は後に 「もの派」と称され、国際的に注目を浴びることになる。やがて「もの派」の作風から離れた吉田は、1970年代から転写などの実験的な手法を試みながら絵画表現を模索する。1970年には第1回ソウル国際版画ビエンナーレ（徳寿宮現代美術館）に《Work “9”》などを出品し大賞を受賞。1980年代前半には風景や人体を抽象化して描く〈かげろう〉シリーズ、1980年代後半からは粉末黒鉛を手指でこすりつけて有機的な形象を描く〈触〉シリーズを発表し注目を集める。「前衛芸術の日本 1910-1970展」（ポンピドゥー・センター、パリ、1986）、「もの派展」（ローマ大学付属現代美術館、1988）など国内外で作品を発表。神奈川県立近代美術館では1992年に旧鎌倉館で「今日の作家たちⅣ- ‘92 山本正道・吉田克朗展」を開催。1999年に55歳で逝去。
記録写真《Cut-off (Hang)》1969年 個展（1969年、田村画廊）での展示風景 ©The Estate of Katsuro Yoshida / Courtesy of Yumiko Chiba Associates
吉田克朗《Work “9”》1970年 シルクスクリーン、紙 神奈川県立近代美術館 ©The Estate of Katsuro Yoshida / Courtesy of Yumiko Chiba Associates
初の回顧展となる本展では、代表的な立体作品、油彩、版画を網羅するとともに、重要なドローイング作品を取り上げ、作品・資料約170点、全5章の構成で、転換期を迎えていた同時代の美術動向に向き合いながら、自ら選択すべき道について真摯に問い続けた制作の軌跡を辿る。その初期作品《Cut-off (Paper Weight)》（1969）、《Cut-off (Hang)》（1969）を再制作、作品プランやコンセプトを綴った制作ノートなどの資料とともに紹介し、吉田の「もの派」時代の再検証を試みる。会期中には、同じく「もの派」の中心作家で、吉田とともにその動向の起点になったと言われている関根伸夫の《位相―大地》の制作を手伝った経験も持つ彫刻家、小清水漸の記念トークも開催。
また、同時期開催のコレクション展では、吉田が多摩美術大学で師事した美術家の斎藤義重を中心に、60年代に斎藤と交流し世界で活躍した今井俊満、佐藤敬、堂本尚郎などの代表作を展覧する。また、優れた美術教師でもあった斎藤の活動を、神奈川県立近代美術館が所蔵する斎藤義重アーカイブの資料から紹介し、斎藤を起点に若手作家が世界へと飛躍した背景を辿る。
吉田克朗《かげろう “婉-12″》1986年 油彩、アクリル、カンヴァス The Estate of Katsuro Yoshida ©The Estate of Katsuro Yoshida / Courtesy of Yumiko Chiba Associates
吉田克朗《触 “体-190 A & B”》1992年 油彩、アクリル、黒鉛、マットメディウム、カンヴァス 神奈川県立近代美術館 ©The Estate of Katsuro Yoshida / Courtesy of Yumiko Chiba Associates
関連イベント
記念トーク「吉田克朗を語る」
2024年4月20日（土）13:30–15:00
講師：小清水漸（彫刻家）
会場：神奈川県立近代美術館 葉山館 講堂
定員：60名（要当日整理券）、参加無料
※その他関連イベントは公式ウェブサイトを参照
同時期開催
コレクション展「斎藤義重という起点―世界と交差する美術家たち」
2024年4月20日（土）－6月30日（日）
神奈川県立近代美術館 葉山 展示室3b
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition/2024-h-collection1
小金沢健人×佐野繁次郎 ドローイング／シネマ
2024年2月23日（金・祝）－5月6日（月）
神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition/2023-koganezawa-and-sano
鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復
2024年5月18日（土）－7月28日（日）
神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition/2024-teate-mamori-nokosu