青木野枝 光の柱 @ 市原湖畔美術館


青木野枝《光の柱 ドローイング》2023年

 

青木野枝 光の柱
2023年10月14日(土)-2024年1月14日(日)
市原湖畔美術館
https://lsm-ichihara.jp/
開館時間:10:00–17:00(ただし、土曜、祝前日は9:30–19:00、日曜、祝日は9:30–18:00)最終入館は閉館30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12/9-1/3)
展覧会URL:https://lsm-ichihara.jp/exhibition/pillars_of_light/

 

市原湖畔美術館では、鉄という素材に魅了され、素材本来の硬質感や重量感、さらには彫刻=塊という概念からも解放された作品を制作してきた彫刻家、青木野枝の個展「光の柱」を開催する。

青木野枝(1958年東京都生まれ)は、溶断と溶接という鉄を扱う上での基本的な技術により、鉄板から切り抜いた形をつなげて広い空間にまるでドローイングを描くかのように展開し、空間そのものの質と意味を鮮やかに変容させる彫刻を発表してきた。青木は、1983年に武蔵野美術大学大学院造形研究科(彫刻コース)を修了し、86年からは若林奮の庭の仕事のアシスタントを務めながら制作に取り組む。95年には国立国際美術館の中堅作家を紹介する「近作展」シリーズで個展を開催すると、その後も目黒区美術館での個展(2000)、神奈川県立近代美術館・葉山の企画展『プライマリーフィールド』(2007)や上海美術館での個展(2008)、瀬戸内国際芸術祭(2010)など国内外で展覧会を重ね、2012年には豊田市美術館と名古屋市美術館で個展『青木野枝|ふりそそぐものたち』を二館同時開催。その後も瀬戸内国際芸術祭、越後妻有アートトリエンナーレ、あいちトリエンナーレなどに出品。2017年には第40回中原悌二郎賞を同賞創設以来初の女性アーティストとして受賞。2019年には「ふりそそぐものたち」(長崎県美術館)、「霧と山」(霧島アートの森、鹿児島)、「霧と鉄と山と」(府中市美術館、東京)と国内3館で異なる内容の個展を連続で開催し、「霧と山」と「霧と鉄と山と」の共通の展覧会公式図録として『流れのなかに ひかりのかたまり』を左右社から出版した。昨年は瀬戸内国際芸術祭2022、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京)、「芸術激流 ラフティング+アート」(多摩川(御岳園-軍畑大橋)、国立奥多摩美術館、東京)などでも作品を発表。

 


青木野枝《曇天Ⅰ, Ⅱ》長崎県美術館、2019年 Photo: Tadasu Yamamoto、courtesy of ANOMALY


青木野枝《空の玉/寒霞渓》瀬戸内国際芸術祭2022、2022年 Photo: Tadasu Yamamoto、courtesy of ANOMALY

 

本展に際し、青木は市原湖畔美術館で最も特徴的な地下からの高さ9mの吹き抜け空間に注目し、新作《光の柱》の制作を試みた。2011年以来、《ふりそそぐもの》と題したシリーズを制作してきた青木は、それを地からのぼり、ふりそそぐ、上昇と下降を繰り返す「動体」へと展開し、鉄=光の柱が、湖の底から立ち上がるような空間を創出する。そのほか、《core》を含む複数の大型作品とともに、美術館を包み込む里山の自然と呼応するような世界を作り出す。

なお、本展公式図録には、学生時代より民俗学に関心を寄せ、アメリカ自然史博物館でイヌイットのつくったものを見たことが創作の大切な核になったという青木の希望により、昨年初のエッセイ集『優しい地獄』を上梓した文化人類学者のイリナ・グリゴレが寄稿。獅子舞、女性の身体とジェンダー、移民の研究を専門とするグリゴレは、社会主義政権下のルーマニアに生まれ、留学生として来日、現在は弘前に暮らしている。

 


青木野枝《core-1,3》森美術館、2022年 Photo: Tadasu Yamamoto、courtesy of ANOMALY


青木野枝《もどる水/御岳》国立奥多摩美術館、2022年 Photo: Tadasu Yamamoto、courtesy of ANOMALY

 

関連イベント
ワークショップ「鉄を考える、鉄でつくる。」
2023年10月29日(日)10:00-12:30
講師:青木野枝
会場:市原湖畔美術館多目的ホール
定員:10名(事前申込制、中学生以上)※既に申込終了
参加費:2,000円

 


同時開催
常設展「深沢幸雄とメキシコ《思いを馳せる叙事詩編》」
2023年10月14日(土)-2024年1月14日(日)
市原湖畔美術館 常設展示室
https://lsm-ichihara.jp/collection/深沢幸雄とメキシコ《思いを馳せる叙事詩編》

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