『イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示』@ 京都伝統産業ミュージアム


「学術人類館」(第五回内国勧業博覧会)1903年、個人蔵

 

『イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示』
2021年2月6日(土)- 2月28日(日)
京都伝統産業ミュージアム 企画展示室
https://kmtc.jp/
開館日時:9:00-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:2/15
企画:小原真史(インディペンデント・キュレーター)
KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭:https://kyoto-ex.jp/

 

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 SPRINGの一環として、京都伝統産業ミュージアムでは、19世紀末から20世紀初頭に隆盛期を迎えた万国博覧会に焦点を当て、他者表象の方法や人々の欲望の所在、「見られる身体」の歴史を探る企画『イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示』を開催している。

当初は産業製品の先進性にしのぎを削る「産業の祭典」という側面の強かった万博は、次第に植民地拡大にまい進する帝国主義国がその国威をアピールするショーケースとしての役割を果たすようになる。そこでは、世界各地から集められたモノだけでなく、アジアやアフリカの人間も含まれるようになり、現地の集落をそのまま再現する「エスニック・ヴィレッジ」もつくられるようになった。日本でも1903年に大阪で開催された第五回内国勧業博覧会で植民地台湾の展示が行なわれ、そのほかにも余興施設として「内地」周辺の「異民族」を展示する「学術人類館」と呼ばれる施設が建てられた。

 


「ジャワ村」(パリ万国博覧会)1889年、個人蔵

 

第四回内国勧業博覧会跡地の岡崎エリアに位置する京都伝統産業ミュージアムを舞台に開かれる本展では、日本における博覧会初の人間の展示施設となった「学術人類館」にまつわる新発見写真や世界各国で行われた同様の資料約1,500点の展示を通じて、当時の人々が植民地や異文化をどのようにイメージしていたのか、また、その欲望の所在を探る。同時に、万博が幻視させてきた明るい未来像の陰で見えにくくなっていた、グローバリズムの綻びや人種差別など、現代社会と地続きの諸問題を再考する機会となる。

本展を企画したキュレーターで映像作家の小原真史(1978年愛知県生まれ)は、2009年から2017年までIZU PHOTO MUSEUM研究員として展覧会企画に携わり、インディペンデント・キュレーターとして活動する。2018年には山口情報芸術センターがマーク・テをゲスト・キュレーターに迎えた共同企画展『呼吸する地図たち』に参加し、本展に通じる内容となるレクチャー「人類館と博覧会」、2020年の同企画巡回時には、タイのチェンマイで同タイトルのレクチャーを実施している。IZU PHOTO MUSEUMでは、『富士幻景 富士にみる日本人の肖像』(2011)、『宮崎学 自然の鉛筆』(2013)、『増山たづ子 すべて写真になる日まで』(2013-14)、『戦争と平和 伝えたかった日本』(2015-16)、『澤田教一 故郷と戦場』(2017)などを手がけ、2012年にはその活動により、第24回「写真の会」賞を受賞、2016年には日本写真協会賞学芸賞を受賞している。主な単著・共著に『時の宙吊り 生・写真・死』(ジェフリー・バッチェン、甲斐義明との共著、2010)、『富士幻景 近代日本と富士の病』(2012)、『戦争と平和〈報道写真〉が伝えたかった日本』(白山眞理との共著、2015)など。映像作家としても、写真家の中平卓馬に密着したドキュメンタリー映画『カメラになった男—写真家 中平卓馬』(2003)を監督し、2005年には「中平卓馬試論」で第10回重森淹写真評論賞を受賞している。

 


「パリ国際植民地博覧会の眺望」(パリ国際植民地博覧会)1931年、個人蔵


「パリ、ジャルダン・ダクリマタシオン、アシャンティ人の若者」1903年、個人蔵

 

関連イベント
小原真史トークプログラムシリーズ① トークイベント「沖縄と人類館事件」 開催中止
登壇:森口豁(ジャーナリスト)、小原真史
2021年2月6日(土)14:00-15:30
https://kyoto-ex.jp/super-knowledge-for-the-future/2021s-skf-03-1/

小原真史トークプログラムシリーズ② 小原真史 キュレーターズトーク
講師:小原真史
2021年2月7日(日)11:30-12:00 ※通信トラブルのため、期間限定の配信(2/7-2/9)
https://kyoto-ex.jp/super-knowledge-for-the-future/2021s-skf-03-2/

小原真史トークプログラムシリーズ③ トークイベント「博覧会・博物館と人間の展示」
登壇:𠮷田憲司(国立民族学博物館館長)、 小原真史
2021年2月7日(日)14:00-16:00 2月28日(日)14:00-16:00 ※オンライン配信
https://kyoto-ex.jp/super-knowledge-for-the-future/2021s-skf-03-3/

 


『イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示』展示風景、京都伝統産業ミュージアム、2021年 撮影:守屋友樹


『イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示』展示風景、京都伝統産業ミュージアム、2021年 撮影:守屋友樹


『イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示』展示風景、京都伝統産業ミュージアム、2021年 撮影:守屋友樹


『イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示』展示風景、京都伝統産業ミュージアム、2021年 撮影:守屋友樹


『イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示』展示風景、京都伝統産業ミュージアム、2021年 撮影:守屋友樹


『イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示』展示風景、京都伝統産業ミュージアム、2021年 撮影:守屋友樹

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