アッセンブリッジ・ナゴヤ2020


 

アッセンブリッジ・ナゴヤ2020
2020年10月24日(土)- 12月13日(日)
http://assembridge.nagoya/
会場:名古屋港〜築地口エリア一帯

現代美術展
『パノラマ庭園 -亜生態系へ-』
会場:港まちポットラックビル [ アッセンブリッジ・ナゴヤ総合案内 ]、 旧・名古屋税関港寮、NUCO、Super Gallery、名古屋港ポートビル展望室ほか、名古屋港エリア内
開場時間:11:00-19:00 ※名古屋港ポートビル展望室は9:30-17:00
休場日:月、火、水、木(祝日は開場)
アートプログラムディレクター:服部浩之、青田真也、吉田有里

 

2020年10月24日より、名古屋の港まちを舞台とした音楽と現代美術のフェスティバル「アッセンブリッジ・ナゴヤ2020」が開催される。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて、文化や芸術に触れる機会が限られる状況が続くなか、設立当初より掲げる「音楽とアートを架け橋に、まちと人が出会い、つながりが生まれ、新たな文化が育まれていくこと」を目指して、アートプログラム、音楽プログラム、そして、分野横断型プログラムのサウンドブリッジからなる多彩なプログラムを展開する。

初回から一貫して「パノラマ庭園」をタイトルに継続するアートプログラムは、造園家のジル・クレマンが著作『動いている庭』(翻訳/山内朋樹、2015)で提示した「できるだけあわせて、なるべく逆らわない」という態度に共感し、名古屋港エリアを変容しつづける庭に見立て、さまざまなプロジェクトを通じて、まちという生態系の一部としてその変化への応答を試みてきた。そのような応答のひとつは、空き家を少しずつ整備し、活動や制作の拠点とし、解体や移動を経験しつつも、現在このエリアに存在するアーティストが滞在し、創作に打ち込める複数の場として現れている。5年目となる今回は、このような港まちの状況を、美学者で庭師の山内朋樹が「亜生態系」と呼んで肯定する「ありふれた草花や鉢植えがそこにあることが、失調した世界に、わずかばかりの秩序をあたえている」状態に重ね、改めて「つくる/うまれる場所」としての港まちという原点に立ち返り、『パノラマ庭園 -亜生態系へ-』と題した展覧会を行なう。

アッセンブリッジ・ナゴヤにおける「まちという生態系の一部」としてあるアートの代表的なプロジェクトを継続する小田桐奨と中嶋哲矢のユニットL PACK.や、港まちエリアでの滞在制作を支援する「MAT, Nagoya Studio Project」を経て、風景にとどまらないまちの要素を取り入れた新作を中心とした展示に挑む上田良、昨年のアッセンブリッジ・ナゴヤで「おばあさんとのランチ」を実施した折元立身などが参加。地元愛知出身で自身が滞在し進行するインスタレーションと参加者が朝食をともにするイベントを融合したプロジェクト「Art & Breakfast」シリーズなどで知られる三田村光土里は、海外に住む親しい友人たちとの再会をテーマにした映像作品《Till We Meet Again》(2013)を上映するとともに、会期中は旧・名古屋税関港寮で滞在制作に取り組み、愛知県在住の丸山のどかは、港まちをはじめとした名古屋一帯の地域性から自身が感じ取ったトピックと、個人的な経験にまつわるエピソードを重ね合わせた主題をもとに、港まちで制作した新作インスタレーショ ンを発表する。ミヤギフトシは、愛知芸術文化センター愛知県美術館・オリジナル映像作品として制作した、あいちトリエンナーレ2016で発表した《いなくなってしまった人たちのこと/The Dreams That Have Faded》(2016)の続編となる最新作《音と変身/Sounds, Metaporphoses》をインスタレーション形式で発表する。

 


上田良《A Magpie’s Nest》2019年


丸山のどか《風景をみる/風景にみる》2019年 撮影:高田颯平

 

アッセンブリッジ・ナゴヤの設立以来、アートプログラムと同じく、港まちという舞台を活かし、コンサートホールとは異なる音楽体験を提供してきた音楽プログラム。新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、音楽業界もまたコンサートの延期や中止をはじめ、大小さまざまな活動の自粛を迫られ、ようやく各地のコンサートも少しずつ再開してきたが、コロナ禍以前のような状況からは遠い状態が続いている。配信などオンラインを通じたかたちも半ば定着してきた一方で、何百年もかたちを変えつつ続いてきたコンサートというスタイル、演奏家と観客がともに創り出す体験は簡単に代替できるものでははい。アッセンブリッジ・ナゴヤの音楽プログラムでは、このような背景を踏まえつつ、さらにはプロの演奏家と同じく活動の機会を奪われているアマチュアの音楽活動、学校などの音楽教育現場といった「生涯学習としての音楽」に関わる人たちにも目を向けたさまざまな試みを展開する。また、港まちに息づく文化と、音楽やアートをはじめとした数々の要素がつながり、アーティストと観客がともに時間と場所を共有するプログラム「サウンドブリッジ」では、人々が集まり空間や時間をともに過ごすことが容易ではなくなった現状を踏まえ、人と離れること、時間を異にすること、それらの要素を生かした共有の体験の創造を試みる。同プログラムに出演経験を持つイ・ラン大城真角銅真実Gofishが、港まちのさまざまなロケーションを舞台に、アーティスト同士の共演や、新たに港の風景と出会う様子を映像に記録し港まちで上映し、ウェブサイトでの公開も予定している「みなとまちで再会するライブ映像プロジェクト」をはじめ、アートプログラムのミヤギフトシの映像作品に出演している井手健介のライブ、最終週にパフォーマーによるステージやマーケットを開く港まちブロックパーティーを開催する。

 

参加アーティスト
アートプログラム
上田良、L PACK.、折元立身、丸山のどか、三田村光土里、ミヤギフトシ
音楽プログラム
野村誠、鈴木潤、北口大輔、松谷阿咲、アイリス・レゲヴ、石橋直子、佐藤有沙、富久田治彦、満丸彬人、ロバート・ボルショス、ゲオルギ・シャシコフ、黒河内彩、Le Bois Quartet、引田香織、小松大、大橋志麻、マーメイド・ストリングカルテット、益川京子、永井聖子、パシフィック カルテット、mica+hachi
サウンドブリッジ
浅井信好、石若駿、井手健介、イ・ラン、イ・ヘジ、大城真、角銅真実、Gofish、呂布カルマ

 


L PACK.《NUCO》2019年‒ 撮影:冨田了平


アッセンブリッジ・ナゴヤ2018 ポートハウスでの公演の様子 撮影:柴田祐希


アッセンブリッジ・ナゴヤ2018 角銅真実「こんにちはのうしお」撮影:三浦知也

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