遠藤麻衣×百瀬文『新水晶宮』@ VOU / 棒


遠藤麻衣 × 百瀬文『新水晶宮』TALION GALLERY での展示風景、撮影:木奥恵三

 

遠藤麻衣×百瀬文『新水晶宮』
2020年10月3日(土)- 11月3日(火・祝)
VOU / 棒
http://voukyoto.com/
開場時間:13:00-19:00
休館日:水、木
企画:TALION GALLERY
入場料:500円
※最新情報はVOU / 棒のInstagramページ(https://www.instagram.com/voukyoto/)を参照

 

2020年夏にタリオンギャラリーで開かれた遠藤麻衣×百瀬文による展覧会『新水晶宮』が京都のVOU / 棒に巡回する。

遠藤麻衣(1984年兵庫県生まれ)は、映像、写真、演劇などのメディアや方法論を横断しながら、いまここにある身体が発するメッセージと、社会規範や芸術のフォームとのずれを遊戯的に重ね合わせる表現を展開してきた。近年は、批評家兼キュレーターの丸山美佳とともに日本発のクイア系アートジン「Multiple Spirits(マルスピ)」を創刊、オーストリア女性アーティスト協会(VBKÖ)の招聘により展覧会『When It Waxes and Wanes』の企画なども行なう。百瀬文(1988年東京都生まれ)は、見ることと見られること、語ることと語られることの非対称性を映像によって自己言及的に問い直し、主体の揺らぎやフォノセントリズム(音声中心主義)の不確かさを露わにするとともに、他者との交感が空転しつつも発現するコミュニケーションのしたたかで多様なあり方を示す作品を制作してきた。近年はベルリンや東京で個展を開催するほか、2015年の『アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋−−日本と韓国の作家たち』(国立新美術館、韓国国立現代美術館)以来継続するイム・フンスンとの共同制作『交換日記』が第20回全州国際映画祭(2019)に正式招待されるなど、国内外で活動を行なう。

演じることと身体、眼差しと欲望、ジェンダーとセクシャリティについて、多様な角度からアプローチを重ねてきた遠藤と百瀬は、本企画『新水晶宮』において、初めて共同制作に取り組み、「理想の性器」をひとつのキーワードとする作品を発表した。タリオンギャラリーで発表された作品のひとつ、映像作品《Love Condition》(2020)は、東京藝術大学 美術館陳列館で開かれた『彼女たちは歌う』(2020)にも出品されている。

 


遠藤麻衣×百瀬文《Love Condition》 (2020)

 

「異性愛的な性の伝統が規範や自然として強化され続けている現在、書いたり、読んだり、形成したり、配置したり、共有したり、それらあらゆる創造的行為と一体となった〈ディルド〉を通して作り変えられていく性とその身体が生きる世界を描き出していく必要がある。(中略)〈ディルド〉は作り出すことができるし、身体のどこにでも置くことができる。〈ディルド〉と身体の境界線は接続と切断を通して忘れさられ、私たちの器官の一部となっていく。自然や人工物といった境界線を持たず、〈ディルド〉と私たちの身体は一体となって快感と欲望を生み出していく。〈ディルド〉は私たちのもので、私たちの身体器官であり、私たちの欲望と快楽であり、けれど私たちの境界を脅かす異質なものであり続ける。アプロプリエーションされる私たちの身体。もしかしたら、私たちの身体はすでに〈ディルド〉かもしれない。」
(展覧会に寄せたテキスト「試論としての〈ディルド〉」丸山美佳 (2020) より一部抜粋)

 


遠藤麻衣×百瀬文『新水晶宮』TALION GALLERY での展示風景、撮影:木奥恵三

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