みつめる−見ることの不思議と向き合う作家たち− @ 群馬県立館林美術館


浅見貴子「梅に楓図」2009年 東京国立近代美術館蔵

 

みつめる−見ることの不思議と向き合う作家たち−
2019年7月13日(土)-9月16日(月・祝)
群馬県立館林美術館
http://www.gmat.pref.gunma.jp/
開館時間:9:30-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし7/15、8/12、9/16は開館)、7/16
企画:松下由里(群馬県立館林美術館学芸員)

 

群馬県立館林美術館では、日常の自然や風景、身辺の周りにあるものから受けとめたものを絵画表現として結実してきた7人のアーティストに注目する展覧会『みつめる−見ることの不思議と向き合う作家たち−』を開催する。見ること、感じることの神秘を問い、それを絵画空間でのみ表しうる独自の表現へと深め続けてきたそれぞれのまなざしを通じて、改めて見ることの不思議を問い直す機会となるだろう。

浅見貴子(1964年埼玉県生まれ)は、樹木のある空間を見つめ、紙の裏側から墨を滲ませてその濃淡により描画し、水墨画の伝統から新たな可能性を引き出してきた。近年は『αMプロジェクト2012「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう vol.4 浅見貴子」』などで作品を発表、昨年は第7回東山魁夷記念・日経日本画大賞に選出されている。伊庭靖子(1967年京都府生まれ)は、柔らかい布、硬質な磁器など日常的なモチーフを取り巻く光に注目し、ものの存在を質感でとらえ、描き出す。80年代後半より数多くの展覧会で作品を発表しており、2009年には神奈川県立近代美術館鎌倉館で個展『伊庭靖子展−まばゆさの在処−』を開催。2019年7月には美術館では10年ぶりとなる個展『伊庭靖子展 まなざしのあわい』が開幕する。

 


伊庭靖子「Untitled」1998年 群馬県立館林美術館蔵


金田実生「鎮まる夜」2018年 撮影:長塚秀人

 

金田実生(1963年東京都生まれ)は、気配や湿り気、植物の香りなど、ふとしたできごとを五感で受け止めてドローイングへとつなげる。2000年前後より継続的に個展を重ね、2009年には『アーティスト・ファイル2009−現代の作家たち』(国立新美術館)、2015年には『アート・オブ・ライフ−生きることの美学−』(群馬県立近代美術館)などに出品。群馬県立館林美術館で開かれた企画展にも複数回参加している。児玉靖枝(1961年兵庫県生まれ)は、樹木や風景を描画した上を絵の具で薄く覆い、画面のレイヤーを通じて、イリュージョンと物質感を往還する絵画を発表してきた。これまでに『視ることのアレゴリー』(セゾン美術館、1995)、『プライマリー・フィールド2』(神奈川県立近代美術館、2010)、『Playback Artist Talks』(東京国立近代美術館、2013)、『モネ−それからの100年』(名古屋市美術館、横浜美術館、2018)などで作品を発表している。津上みゆき(1973年東京都生まれ)は、あるとき、ある場所の光や風をはらむ海や空や街路の情景を、かけがえのないものとしてスケッチし、線と形と色相の響き合いへと置換する。本展と同日に開幕する『みえるもののむこう』(神奈川県立近代美術館 葉山)をはじめ、『The Herstory of Abstraction in East Asia』(台北市立美術館)、そして、2019年8月には長崎県美術館での個展『津上みゆき展「View−人の風景」』が控えている。

 


児玉靖枝「深韻-雨 三」「深韻-雨 四」「深韻-雨 二」2010年 神奈川県立近代美術館蔵 撮影:木奥惠三


津上みゆき「View-13 thoughts, 2010-12」より 「View at 1:23 p.m., 10 Dec., 10-11」2011年 個人蔵 撮影:長塚秀人, Coutesy of ANOMALY

 

日高理恵子(1958年東京都生まれ)は、樹々の間にのぞく果てしない空を、感覚の上に引き寄せる樹木の複雑な構造を通して、画面上に生じる「空間」の不思議を問い続けてきた。80年代より国内外の数々の美術館で作品を発表しており、2017年にはヴァンジ彫刻庭園美術館で個展『日高理恵子 空と樹と』を開催し、これまでの活動を振り返る作品集『日高理恵子作品集1979-2017』を出版している。水村綾子(1969年群馬県生まれ)は、天空や水中など、大気や水に満たされた大きな広がりを連想させる幻想的な世界を、繊細かつ深遠な色調によってつくりだす。90年代前半より東京、群馬、福岡を中心に継続的に作品を発表している。本展会期中には、ワークショップ「雑誌や写真で簡単 抽象画風インテリア作り」を実施する。

 


日高理恵子「空との距離II」2002年 新潟県立近代美術館・万代島美術館蔵


水村綾子「scale」2013年

 

関連イベント
アーティスト・トーク:児玉靖枝、伊庭靖子
2019年7月13日(土)13:30-15:00
会場:群馬県立館林美術館 展示室
申込不要、要観覧料

アーティスト・トーク:浅見貴子
2019年7月28日(日)14:00-15:00
会場:群馬県立館林美術館 展示室
申込不要、要観覧料

アーティスト・トーク:津上みゆき
2019年8月24日(土)14:00-15:00
会場:群馬県立館林美術館 展示室
申込不要、要観覧料

アーティスト・トーク:金田実生
2019年9月1日(日)14:00-15:00
会場:群馬県立館林美術館 展示室
申込不要、要観覧料

アーティスト・トーク:日高理恵子
2019年9月14日(土)14:00-15:00
会場:群馬県立館林美術館 展示室
申込不要、要観覧料

水村綾子ワークショップ「雑誌や写真で簡単 抽象画風インテリア作り」
講師:水村綾子
2019年7月20日(土)13:00-16:00
会場:群馬県立館林美術館 別館ワークショップ室
定員:20名(先着順)
要申込、参加費500円
※申込方法など詳細は下記URLを参照。
http://www.gmat.pref.gunma.jp/ev/ev_workshop.html#mizumura

そのほかの関連イベントは公式ウェブサイトを参照。

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