第13回shiseido art egg展 @ 資生堂ギャラリー

 

第13回shiseido art egg展
今村文|2019年7月5日(金)-7月28日(日)
小林清乃|2019年8月2日(金)-8月25日(日)
遠藤薫|2019年8月30日(金)-9月22日(日)
資生堂ギャラリー
http://www.shiseidogroup.jp/gallery/
開館時間:11:00-19:00(日曜、祝日は18:00まで)
休館日:月 ※月曜が祝祭日にあたる場合も休館

 

資生堂ギャラリーでは、2006年以来、時代を切り拓く先進性を備えたアーティストの発表の場として継続してきた公募展『第13回shiseido art egg展』を開催する。開廊100周年を迎え、「美は世界を変えられる」をテーマの下、269件の応募の中から選ばれた今村文、小林清乃、遠藤薫の3名がそれぞれ約1ヶ月の個展を開催する。

資生堂ギャラリーは1919年の開廊以来「新しい美の発見と創造」という活動理念のもと、文化・芸術を支援する活動を継続している。shiseido art eggはその活動の一環として、新進アーティストにギャラリーの門戸を広く開放し、これまでに数多くの受賞者/入選者の表現を紹介してきた。制作テーマや作品のクオリティのほか、「資生堂ギャラリーの空間でなにをどのように表現しようとしているのか」の3点に着目した審査を実施。審査員は、資生堂ギャラリーアドバイザーの伊藤俊治(東京藝術大学教授)と光田由里(美術評論家)のふたりと資生堂社会価値創造本部の学芸スタッフが担当した。審査を通過した入選者は、担当キュレーターや専門スタッフとの話し合いを重ねながら共に展覧会を準備していく。なお、各個展終了後には、有山達也(グラフィックデザイナー)、住吉智恵(アートプロデューサー/RealTokyoディレクター)、小野耕石(美術家/版画家)の3名の審査の下、資生堂ギャラリーの空間に果敢に挑み新しい価値の創造を最も感じさせたアーティストにshiseido art egg賞が贈られる(2019年10月頃に公式ウェブサイトで発表予定)。

今村文(1982年愛知県生まれ)は、自然界の小さな花や虫に精神性を見出し、植物や生物のイメージを独自のドローイングとして制作している。抽象化された自然が生み出す複数のイメージが溶け合う世界として資生堂ギャラリーの空間を構築し、観客にその不思議なリアリティをともなった自然のイメージ世界の体験を提示する。今村は2008年に金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科絵画専攻油画コースを修了し、現在は愛知県在住。2015年には愛知県美術館で開かれた『芸術植物園』、翌2016年にはあいちトリエンナーレ2016に参加している。

 


今村文「水のない池」(部分)2018年 photo: Mina Ino


小林清乃「Polyphony 1945」(部分)2017年

 

小林清乃(1982年愛媛県生まれ)は、戦時下の1945年に女学校を卒業したばかりの女性たちが綴った手紙をもとに、手紙を朗読する複数の人の声を組み合わせたサウンドインスタレーションを通じて、過去の時間に生きた人々の生を現代に呼び起こす展示を試みる。小林は2005年に日本大学藝術学部映画学科を卒業し、現在は東京都在住。これまでに日本国際パフォーマンス・アート・フェスティバル2014や、中之条ビエンナーレ2017、TERATOTERA祭り2018のほか、国内外で作品を発表している。

遠藤薫(1989年大阪府生まれ)は、「テキスタイル」=「織りなすこと」と捉え、布の持つテクスチャーの背後に複雑な現代社会のあり様や生を見つめなおす行為を織り込んできた。沖縄やアジアの人々の生活のなかで育まれてきた布地を起点にしながらも、今日の生活に根差した工芸の可能性を切り開く、複層的な視点を鑑賞者に提示する。遠藤は2013年に沖縄県立芸術大学工芸専攻染めコースを卒業し、2016年に志村ふくみ主催の「アルスシムラ」を卒業。現在はハノイと大阪を拠点に活動している。2017年にはCCOクリエイティブセンター大阪で開かれた『クロニクル、クロニクル!(繰り返し)』に参加し、今年は『VOCA展 2019 現代美術の展望─新しい平面の作家たち』に出品し、佳作を受賞している。

 


遠藤薫「Thanks, Jim Thompson」2018年

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