
2025年8月26日より、「Séance: Technology of the Spirit(交霊会:精霊のテクノロジー)」をテーマに掲げる第13回ソウル・メディアシティ・ビエンナーレが、ソウル市立美術館を主会場に開幕する。
アントン・ヴィドクル、ハリー・アイレス、ルーカス・ ブラシスキスを中心とするキュラトリアル・チームがディレクションを務める本ビエンナーレは「séance(交霊会)」というキーワードの下、キュレーター陣がアーティスト/霊媒師に位置付けるジョージアナ・ホートン、ヒルマ・アフ・クリント、出口王仁三郎、エマ・クンツらの急進的な実践に始まり、ナムジュン・パイクやヨーゼフ・ボイスに影響を与えたシャーマニズム、マヤ・デレンやジョーダン・ベルソンによる初期の実験映画における超自然的な経験、そして、オカルト、魔法、呪術をめぐるさまざまな伝統やテーマに取り組む現代のアーティストの芸術的実践の数々を取り上げていく(参加アーティストリストは最下部に掲載)。本ビエンナーレでは、こうしたオルタナティブな「テクノロジー」を、資本主義的な近代性が有する加速主義的で合理主義的論理に対抗し、それゆえに、私たちの経験をかたちづくる政治的・知的構造に抵抗し、再構築する可能性を持つものとして着目。展覧会を交霊会のひとつに位置付け、日常を超えた世界との接触を試みた長い歴史を引きながら、こうした関与が芸術生産の言語や方法をどのように変容させたのかについて概観していく。
The 13th Seoul Mediacity Biennale Séance: Technology of the Spirit teaser. Teaser Production: nonplace studio and STUDIO NA.EO@SHANGHAI. Sound: Courtesy of Laurie Spiegel
交霊会をテーマとする本ビエンナーレでは、集団的な夢想の儀式としての映画、不可視なものへの伝達手段としての音楽、変容の場としてのパフォーマンスにも着目し、会期中には、フィルムプログラムをソウルアートシネマで上映、ポーリン・オリヴェロスの「ディープ・リスニング」に着想し、サンナ・アルマジェディがキュレーションを手がけたプログラム「サウンドルーム」を楽園商街(ナグォンサンガ)に展開、ORTA(アレクサンドラ・モロゾワ&ルステン・ベゲノフ)の新作パフォーマンスをソウル・アーティスツ・プラットフォーム_ニュー&ヤング(SAPY)で上演する。また、会期序盤にはフリーズ・ソウル(9/3〜9/6)との連携企画として、ビエンナーレ参加アーティストを中心とした上映プログラム「SMB13 × Frieze Film Seoul 2025」(9/1〜9/4)をソウル市立美術館の屋上階で夜間開催。
上述したフリーズ・ソウルのほか、ビエンナーレ会期中のソウル市内での注目の展示として、韓国国立近現代美術館(MMCA)では、韓国有数の現代美術賞の最終候補、キム・ヨンウン、キム・ジピョン、アンメイク・ラボ、イム・ヨンジュが一堂に会す「韓国美術家賞2025」(8/29〜2/1)を開催。アートソンジェ・センターは、アドリアン・ビシャル・ロハスの個展「The Language of the Enemy」(9/3〜2/1)を開催するとともに、同館周辺にあるククチェ・ギャラリーK2と(TOGETHER)( TOGETHER)の2箇所で、女性やジェンダークィアのアーティストの感性や視点に着目した企画「off-site 2: Eleven Episodes」(8/26〜10/26)を開催。そのほか、ヘルツォーク&ド・ムーロン設計の建築内にあるソンウン・アートスペースでは、国際芸術祭「あいち2025」にも参加するikkibawikrrrや韓国美術家賞受賞作家のイ・ジュヨも参加する「PANORAMA」(8/22〜10/16)、アトリエ・エルメスでは、1980年代後半以降に生まれたアーティストを中心としたグループ展「The Second Life」(7/25〜10/5)を開催。京東市場内にあるクリエイティブ・スペースThe WilloWでは、佐藤朋子や青柳菜摘も参加する「Patchwork!」(8/28〜9/28)も開催される。
第13回ソウル・メディアシティ・ビエンナーレ
「Séance: Technology of the Spirit(交霊会:精霊のテクノロジー)」
2025年8月26日(火)-11月23日(日)
https://mediacityseoul.kr/
ソウル市立美術館、楽園商街(ナグォンサンガ)、ソウルアートシネマ、ソウル・アーティスツ・プラットフォーム_ニュー&ヤング(SAPY)
アーティスティック・ディレクター:アントン・ヴィドクル、ヘイリー・エアーズ、ルーカス・ ブラシスキス
第13回ソウル・メディアシティ・ビエンナーレ 参加アーティスト
恩田晃|Aki Onda
アミット・ダッタ|Amit Dutta
アンジェラ・スー|Angela Su
アニー・ベサント&チャールズ・ウエブスター・リードビーター|Annie Besant and C.W. Leadbeater
アノーチャ・スウィーチャーゴーンポン|Anocha Suwichakornpong
アンリ・サラ|Anri Sala
クォン・ビョンジュン|Byungjun Kwon
コレクティボ・ロス・イングラヴィドス|Colectivo Los Ingrávidos
コリータ・ケント|Corita Kent
エマ・クンツ|Emma Kunz
アーネスト・A・ブライアント3世|Ernest A. Bryant III
ジョージアナ・ホートン|Georgiana Houghton
グアダルーペ・マラヴィーヤ|Guadalupe Maravilla
ハルーン・ミルザ|Haroon Mirza
ヒルマ・アフ・クリント|Hilma af Klint
ヒワ・K|Hiwa K
シュウ・ジャウェイ[許家維]|Hsu Chia-Wei
ユン・ヒョンミン|Hyung-Min Yoon
イーチン・システムズ・アンド・アートワークス|I Ching Systems and Artworks
ジェーン・ジン・カイゼン|Jane Jin Kaisen
ヨアヒム・コースター|Joachim Koester
ヨハンナ・ヘドヴァ|Johanna Hedva
ジョーダン・ベルソン|Jordan Belson
ヨーゼフ・ボイス|Joseph Beuys
カラ・ディッテ・ハンセン|Kara Ditte Hansen
カラビン・フィルム・コレクティブ|Karrabing Film Collective
キヴ・ルホラホザ&クリスチャン・ニャンペタ|Kivu Ruhorahoza and Christian Nyampeta
クレイ・チェン|Kray Chen
ローラ・ウエルタス・ミラノ|Laura Huertas Millán
ルーシー・オランプ・オート|Lucile Olympe Haute
マニュエル・マチュー|Manuel Mathieu
マヤ・デレン|Maya Deren
マイク・ケリー|Mike Kelley
アン・ミンジョン|Minjeong An
モハメド・ゲベル|Mohamed Gaber
ナムジュン・パイク|Nam June Paik
出口王仁三郎|Onisaburō Deguchi
ORTA(アレクサンドラ・モロゾワ&ルステン・ベゲノフ)|ORTA (Alexandra Morozova and Rustem Begenov)
パク・チャンキョン|Park Chan-kyong
ラファエル・ケネディット・モラレス|Rafael Queneditt Morales
ルドルフ・シュタイナー|Rudolf Steiner
イ・ソンテク|Seung-taek Lee
シャナ・モールトン|Shana Moulton
スカイ・ホピンカ|Sky Hopinka
スザンヌ・トレイスター|Suzanne Treister
タマール・ギマラエス&カスパー・アクホイ|Tamar Guimarães and Kasper Akhøj
Violett e a|Violett e a
ウィン・ポー・ソー|Wing Po So
チェン・インルー[陳瀅如]|Yin-Ju Chen
野村在|Zai Nomura