第8回横浜トリエンナーレ、参加アーティスト第1弾を発表


 

2023年11月28日、横浜トリエンナーレ組織委員会は、来年3月に開幕を控える第8回横浜トリエンナーレに参加するアーティストを発表した。第1弾の発表となった67組のうち30組が日本初紹介となる。

今年6月には、アーティスティック・ディレクターのリウ・ディン[劉⿍]とキャロル・インホワ・ルー[盧迎華]が、魯迅の詩集に着想したテーマ「野草:いま、ここで⽣きてる」を発表。先行きの見えないこの時代を、野草のようにもろく無防備でありながら、同時にたくましく生きようとするひとりひとりの姿に目を向ける。

 


ヨアル・ナンゴ《GIRJEGUMPI: The Sámi Architecture Library in Jokkmokk》2018年 Photo: Astrid Fadnes


ピッパ・ガーナー《Human Prototype》2020年 Courtesy of the artist and STARS, Los Angeles, Photo: Bennet Perez

 

日本初出展のアーティストには、北極圏に生活する遊牧民「サーミ族」の血をひき、資源不足や気候変動に直面する今の社会に対し、人と自然の新たな共生のあり方を示すヨアル・ナンゴ、トランスジェンダーであり自らの性移行をアート・プロジェクトとして公開するなど、既成概念にとらわれない多様性のあり方を社会に問うピッパ・ガーナー、南アフリカの社会に潜む家父長制や植民地主義から生まれる不平等について日用品を使った立体作品で表現するルンギスワ・グンタなど。また、集団による協働作業のプロジェクトを実践するためにウクライナのリヴィウで結成されたオープングループ(ユリー・ビーリー、パヴロ・コヴァチ、アントン・ヴァルガ)は、戦時下の市民生活をリアルに伝える作品を発表する。日本からは、都市の死角や隙間である路上や地下を舞台に、グラフィティやパフォーマンスなどストリートカルチャーの視点からプロジェクトを展開しているSIDE CORE(高須咲恵、松下徹、西広太志)をはじめ、北島敬三志賀理江子佃弘樹土肥美穂森村泰昌が新作を発表する。

また、魯迅が自ら版画集を編集し中国に紹介したケーテ・コルヴィッツ(1867-1945)だけでなく、1912年に同人誌『聖盃』(後に『仮面』と改題)を創刊し、1916年に日本版画倶楽部を共同で結成した横浜出身の長谷川潔(1891-1980)、1920年代に独学で版画制作を始め、1931年に「日本版画協会」の結成に参加した谷中安規、1932年に「新版画集団」を共同で立ち上げ、プロレタリア美術運動にも参加した小野忠重(1909-1990)といった魯迅と時代を共有した版画家たちの名前も参加アーティストリストに並んでいる。

 

第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで⽣きてる」
2024年3月15日(金)-6月9日(日)
https://www.yokohamatriennale.jp/
会場:横浜美術館、旧第⼀銀⾏横浜⽀店、BankART KAIKO
アーティスティック・ディレクター:リウ・ディン[劉⿍]、キャロル・インホワ・ルー[盧迎華]

 


ルンギスワ・グンタ《Ntabamanzi》2022年 Courtesy of the artist and Henry Moore Foundation, Photo: Rob Harris


オープングループ《Repeat After Me》2022年 (video still), Courtesy of the artists


SIDE CORE/EVERYDAY HOLIDAY SQUAD《rode work ver. under city》2023年 Courtesy of CCBT

 

参加アーティスト
セレン・オーゴード|Søren Aagaard(デンマーク)
ディルク・ブレックマン|Dirk Braeckman(ベルギー)
エリーズ・キャロン&ファニー・ドゥヴォー|Élise Carron & Fanny Devaux(フランス)
レインボー・チャン[陳雋然]|Rainbow Chan(中国・香港)
スーザン・チャンチオロ|Susan Cianciolo(アメリカ合衆国)
ラリー・クラーク|Larry Clark(アメリカ合衆国)
ノーム・クレイセン|Norm Clasen(アメリカ合衆国)
クレモン・コジトール|Clément Cogitore(フランス)
ラファエラ・クリスピーノ|Raffaella Crispino(イタリア)
カルロマー・アークエンジェル・ダオアナ|Carlomar Arcangel Daoana(フィリピン)
ジェレミー・デラー|Jeremy Deller(イギリス)
ドバイ・ペーテル|Dobai Péter(ハンガリー)
土肥美穂|Miho Dohi(日本)
ピッパ・ガーナー|Pippa GARNER(アメリカ合衆国)
ルンギスワ・グンタ|Lungiswa Gqunta(南アフリカ)
マイルズ・グリーンバーグ|Miles Greenberg(カナダ)
アネタ・グシェコフスカ|Aneta Grzeszykowska(ポーランド)
イェンス・ハーニング|Jens Haaning(デンマーク)
アルタン・ハイルラウ|Artan Hajrullahu(コソボ)
浜口タカシ|Takashi Hamaguchi(日本)
ルイス・ハモンド|Lewis Hammond(イギリス)
マシュー・ハリス|Matthew Harris(オーストラリア)
長谷川潔|Kiyoshi Hasegawa(日本)
サウス・ホー[何兆南]|South Ho(中国・香港)
ジョナサン・ホロヴィッツ|Jonathan Horowitz(アメリカ合衆国)
ホァン・ボージィ[黄博志]|HUANG Po-Chih(台湾)
スターニャ・カーン|Stanya Kahn(アメリカ合衆国)
オズギュル・カー|Özgür Kar(トルコ)
ダムラ・クルッチクラン|Damla Kilickiran(スウェーデン)
北島敬三|Keizo Kitajima(日本)
ジョシュ・クライン|Josh Kline(アメリカ合衆国)
ケーテ・コルヴィッツ|Käthe Kollwitz(ドイツ)
厨川白村|Hakuson Kuriyagawa(日本)
クララ・リデン|Klara Liden(スウェーデン)
魯迅|Lu Xun(中国)
トレイボーラン・リンド・マウロン|Treiborlang Lyngdoh Mawlong(インド)
ステファン・マンデルバウム|Stéphane Mandelbaum(ベルギー)
森村泰昌|Yasumasa Morimura(日本)
サンドラ・ムジンガ|Sandra Mujinga(コンゴ民主共和国)
ヨアル・ナンゴ|Joar Nango(ノルウェー)
エリック・ニードリング|Erik Niedling(ドイツ)
インゴ・ニアマン|Ingo Niermann(ドイツ)
丹羽良徳|Yoshinori Niwa(日本)
小野忠重|Tadashige Ono(日本)
オープングループ(ユリー・ビーリー、パヴロ・コヴァチ、アントン・ヴァルガ)|Open Group (Yuriy Biley, Pavlo Kovach, Anton Varga)(ウクライナ)
尾竹永子|Eiko Otake(日本)
ポープ・L|Pope.L(アメリカ合衆国)
プリックリー・ペーパー(チェン・イーフェイ&オウ・フェイホン)[刺紙(陳逸飛&歐飛鴻)]|Prickly Paper (Chen Yifei & Ou Feihong)(中国)
トマス・ラファ|Tomas Rafa(スロバキア)
シビル・ルパート|Sibylle Ruppert(ドイツ)
マーガレット・サーモン|Margaret Salmon(アメリカ合衆国)
アラン・セクーラ|Allan Sekula(アメリカ合衆国)
志賀理江子|Lieko Shiga(日本)
SIDE CORE|SIDE CORE(日本)
リタ・ジークフリート|Rita Siegfried(スイス)
フンクワン・タム[譚煥坤]|Vunkwan Tam
谷中安規|Yasunori Taninaka(日本)
サローテ・タワレ|Salote Tawale(フィジー)
勅使河原蒼風|Sofu Teshigahara(日本)
富山妙子|Taeko Tomiyama(日本)
佃弘樹|Hiroki Tsukuda(日本)
エマニュエル・ファン・デル・オウウェラ|Emmanuel Van der Auwera(ベルギー)
ミルテ・ファン・デル・マーク|Myrthe Van der Mark(オランダ)
プック・フェルカーダ|Puck Verkade(オランダ)
エクスパー・エクサー|Xper.Xr(中国・香港)
ジャオ・ウェンリアン[趙文量]|Zhao Wenliang(中国)
ジョン・イエフー[鄭野夫]|Zheng Yefu(中国)

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