Ariella Aïsha Azoulay, The Natural History of Rape (detail), (2017/2022)
Vintage photographs, prints, untaken b/w photographs, books, essay,
magazines, drawings, Dimensions variable © Ariella Aïsha Azoulay
2022年6月11日より、アーティストのカデル・アッティアをキュレーターに迎えた第12回ベルリン・ビエンナーレが、「Still Present!」のテーマの下、ベルリン市内複数の会場を舞台に開催する。
「repair（修繕）」をコンセプトに20年以上にわたり活動してきたアッティアは、そのコンセプトを文化的抵抗の方法、社会や個人が歴史やアイデンティティを再び取り戻すための手段として探究してきた。数々の国際展や展覧会で作品やプロジェクトを発表するほか、2016年にはパリ10区に脱植民地化（デコロナイゼーション）に焦点を当てた意見交換やディスカッションの場「La Colonie（ラ・コロニ）」を立ち上げている（2020年3月以降は感染症拡大防止のため一般公開はしていない）。2020年10月から、アンゼルム・フランケやアナ・テイシェイラ・ピントとともにベルリン・ビエンナーレの関心とも重なるテーマで「The White West」と題したプログラムを、ベルリンの世界文化の家（HKW）で継続的に開催している。ピントは、ドー・トゥオン・リン、マリー・ヘレン・ペレイラ、ノーム・セガール、ラシャ・サルティとともに、第12回ベルリン・ビエンナーレにアーティスティックチームのひとりとして参加。
Đào Châu Hải, Ballad of the East Sea, (2022) CNC cut steel plates, 150 × 700 × 400 cm © Đào Châu Hải, photo: Nguyen Anh Tuan
Binta Diaw, Dïà s p o r a, (2021) Artificial hair, iron, plants, soil, Dimensions variable, Installation view, Galerie Cécile Fakhoury, Abidjan, 2021/22, Photo: Issam Zejly, Courtesy Galerie Cécile Fakhoury © Binta Diaw
第12回ベルリン・ビエンナーレでは、近代化の負の遺産や地球環境危機の現状に向き合うアーティストの作品や、アルヒーフ・デア・アヴァンガルデ：エジディオ・マルゾーナ（AdA）収蔵の政治やアクティビズムに関する印刷物を含む歴史的資料などを通じて、植民地主義、ファシズム、帝国主義の関連を明らかにするとともに、「脱植民地的エコロジー」「歴史記述の再領有における非西洋のフェミニスト運動の役割」「略奪文化財の返還以外の「復権（restitution）」の議論」「アートによる感情領域の回復」といった諸問題に対する脱植民地主義的戦略を提案していく。
ベルリン芸術アカデミー（ハンザ地区＆パリザー・プラッツ）やハンブルガー・バーンホフ現代美術館、クンストヴェルケ現代美術センターといった既存の美術機関のほか、2020年1月にドイツ国内外に残る植民地主義の歴史とその影響を批評的に検討するプロジェクトとして発足した「デコロニアル・メモリー・カルチャー・イン・ザ・シティ［都市の脱植民地主義的記憶文化］」（Wilhelmstraße 92）、ドイツ民主共和国（東ドイツ）の秘密警察シュタージ本部の跡地「シュタージ・ヘッドクォーターズ キャンパス・フォー・デモクラシー」が会場となっている。
第12回ベルリン・ビエンナーレ
2022年6月11日（土）- 9月18日（日）
https://12.berlinbiennale.de/
キュレーター：カデル・アッティア
Basel Abbas & Ruanne Abou-Rahme, Oh shining star testify, (2019/22) 3-channel video installation, 2-channel sound, subwoofer, 10′05′′; wooden boards, Dimensions variable, Installation view, Art Institute of Chicago, 2021-22 Photo: Aidan Fitzpatrick © Basel Abbas & Ruanne Abou-Rahme
Forensic Architecture, Cloud Studies, (2022) 2-channel video installation, color, sound, 26’08” Video still © Forensic Architecture
参加アーティスト
アレックス・プレガー｜Alex Prager
アマル・ケナウィ｜Amal Kenawy
アマール・ブーラ｜Ammar Bouras
アントニオ・レカルカティ、エンリコ・バイ、エロ、ジャンニ・ドヴァ、ジャン＝ジャック・ルベル
、ロベルト・クリッパ｜Antonio Recalcati, Enrico Baj, Erró, Gianni Dova, Jean-Jacques Lebel, Roberto Crippa
アリエラ・アイーシャ・アズーレイ｜Ariella Aïsha Azoulay
アシム・アブドゥルアジズ｜Asim Abdulaziz
バゼル・アッバス＆ルアン・アブラーム｜Basel Abbas and Ruanne Abou-Rahme
ビンタ・ディアウ｜Binta Diaw
ビレンダー・ヤーダヴ｜Birender Yadav
カリーダ・ガルシア・ローレス｜Calida Garcia Rawles
クリスティーヌ・サファトリー｜Christine Safatly
クレマン・コジトア｜Clément Cogitore
DAAR｜DAAR – Sandi Hilal and Alessandro Petti
ダナ・レヴィ｜Dana Levy
ダオ・チャウ・ハイ｜Đào Châu Hải
デビッド・シャバリアス｜David Chavalarias
デネス・ピウマクシ・ヴェーダ・アラッチゲ｜Deneth Piumakshi Veda Arachchige
ドリス・ウアダヒ｜Driss Ouadahi
デュブレウス・レリソン｜Dubréus Lhérisson
エルスケ・ローゼンフェルト｜Elske Rosenfeld
エティノサ・イヴォンヌ｜Etinosa Yvonne
フロリアン・ソン・グエン｜Florian Sông Nguyễn
フォレンジック・アーキテクチャー｜Forensic Architecture
ハイグ・アイヴァジアン｜Haig Aivazian
ハサン・オズギュル・トップ｜Hasan Özgür Top
イマニ・ジャクリーン・ブラウン｜Imani Jacqueline Brown
ジャン＝ジャック・ルベル｜Jean-Jacques Lebel
ジェニーン・フレイ・ジュートリ｜Jeneen Frei Njootli
ジハン・エル・ターリ｜Jihan El-Tahri
ジュアン・ポリド｜João Polido
カンダカール・オヒダ｜Khandakar Ohida
ラミア・ジョレイジュ｜Lamia Joreige
ローレンス・アブ・ハムダン｜Lawrence Abu Hamdan
レイス・カリーム｜Layth Kareem
マイ・グエン・ロン｜Mai Nguyễn-Long
マイチュー・ブイ｜Maithu Bùi
マルタ・ポピヴォダ／アナ・ヴヤノヴィッチ｜Marta Popivoda/Ana Vujanović
マチュー・ペルノ｜Mathieu Pernot
マユリ・チャリ｜Mayuri Chari
ミラ・トゥライリッチ｜Mila Turajlić
モニカ・デ・ミランダ｜Mónica de Miranda
モーゼス・マルツ｜Moses März
ミリアム・エル・ハイク｜Myriam El Haïk
ゴー・タン・バク｜Ngô Thành Bắc
ニル・ヤルター｜Nil Yalter
ノエル・W・アンダーソン｜Noel W Anderson
オリヴィエ・マルブフ｜Olivier Marboeuf
オマー・ファスト｜Omer Fast
PEROU｜PEROU – Pôle d’Exploration des Ressources Urbaines
プラバカール・カンブレ｜Prabhakar Kamble
プラニート・ソイ｜Praneet Soi
レイド・ムタル｜Raed Mutar
サジャド・アッバス｜Sajjad Abbas
サミー・バロジ｜Sammy Baloji
シモーヌ・ファタール｜Simone Fattal
スーザン・シュップリ｜Susan Schuppli
スサナ・ピラル｜Susana Pilar
スヴェン・ヨーネ｜Sven Johne
タロイ・ハヴィニ｜Taloi Havini
タミー・グエン｜Tammy Nguyen
タイスィール・バトニジ｜Taysir Batniji
テジスウィニ・ナラヤン・ソナワネ｜Tejswini Narayan Sonawane
テミタヨ・オグンビイ｜Temitayo Ogunbiyi
ザ・スクール・オブ・ミュータンツ｜The School of Mutants (Boris Raux, Hamedine Kane, Lou Mo, Stéphane Verlet Bottéro, Valérie Osouf)
トゥイ・ハン・グエン・チー｜Thùy-Hân Nguyễn-Chí
トゥアン・アンドリュー・グエン｜Tuấn Andrew Nguyễn
ウリエル・オルロー｜Uriel Orlow
ユーヤン・ワン｜Yuyan Wang
ザック・ブラス｜Zach Blas
ズザンナ・ヘルツベルク｜Zuzanna Hertzberg
過去のテーマとキュレーター
2020年（第11回）「The Crack Begins Within」
マリア・ベリオス、レナータ・セルヴェット、リゼッテ・ラニヤード、アウグスティン・ペレス・ルビオ
2018年（第10回）「We Don’t Need Another Hero」
ガビ・ンゴボ（ノマドゥマ・ロサ・マシレラ、イヴェット・ムトゥンバ、モーゼス・セルビリ、チアゴ・ドゥ・パウラ・ソウザ）
2016年（第9回）「The Present in Drag」
DIS（ローレン・ボイル、ソロモン・チェーズ、マルコ・ロッソ、デイヴィッド・トーロ）
2014年（第8回）
ホアン・A・ガイタン（タレック・アトゥイ、ナターシャ・ギンワラ、カタリーナ・ロザーノ、マリアナ・ムンギア、オラフ・ニコライ、ヤン・ヴォー）
2012年（第7回）「Forget Fear」
アルトゥール・ジミェフスキ
2010年（第6回）「What is waiting out there」
カトリン・ ロンベルク
2008年（第5回）「When things cast no shadow」
アダム・シムジック、エレナ・フィリポヴィッチ
2006年（第4回）「Of Mice and Men」
マウリツィオ・カテラン、マッシミリアーノ・ジオーニ、アリ・スボトニック
2004年（第3回）「complex berlin」
ウテ・メタ・バウアー
2001年（第2回）「Beyond the Self」
サスキア・ボス
1998年（第1回）「Berlin/Berlin」
クラウス・ビーゼンバッハ（ナンシー・スペクター、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト）