アートバーゼル香港2022


Ellen Pao, The Shape of Light (2022) Courtesy Art Basel

 

2022年5月27日から29日にかけて、世界28の国と地域から130軒のギャラリーが集う、アジア屈指のアートフェア「アートバーゼル香港」が香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開催する(招待制の内覧会は5月26日、27日に開催)。2022年1月に当時の香港におけるパンデミックの状況を鑑みて、開催時期を3月から5月に延期したアートバーゼル香港2022は、昨年度に続き、オンライン・ビューイングルームやライブ配信映像、バーチャルツアー、多言語対応による解説などを提供するアートバーゼルライブを活用した、実会場とデジタルプラットフォームを全面的に統合したハイブリッド形式で実施される。

アートバーゼルの中核を為す「ギャラリー(Galleries)」部門には96軒が参加する。注目のブースとして挙げられたのは、ヴェネツィア・ビエンナーレのナショナル・パビリオン部門に初めて参加したネパール館で個展を行なっているツェリン・シェルパを回顧展形式で紹介するRossi&Rossiや、ツェン・グォグパク・シュウン・チュエンの新作を出品するVitamin Creative Spaceといった地元香港のギャラリーから、メキシコシティから参加し、エドゥアルド・テラサスガブリエル・デ・ラ・モラエドガー・オルライネタという3名の世代の異なるアーティストを紹介するProyectos Monclova、アートバーゼル香港初参加で、「Order and Signs」と題して、アンリ・ミショーの1970、80年代の作品を紹介するミュンヘンのJahn und Jahn。日本から参加するオオタファインアーツ、カイカイキキギャラリー、ギャラリー・サイド2、タカ・イシイギャラリー、タケニナガワ、タロウナス、東京画廊+BTAP、ナンヅカ、ミサシンギャラリー、ミヅマアートギャラリー、ユミコチバアソシエイツを含む数々のプレゼンテーションがアジアのアート市場の質を支える。

 


SIM Chi Yin, Remnants #4, from ‘One Day We’ll Understand’ (2017) © Courtesy of the Artist and Fost Gallery


Ayaka Yamamoto, “Untitled #284, #307, Mzimba, Malawi” (2019) © Ayaka Yamamoto. Courtesy of the artist and amanaTIGP

 

ギャラリー部門に対し、一定の条件が与えられた「インサイト(Insight)」部門と「ディスカバリー(Discovery)」部門。インサイト部門では、アジアに展示スペースを持つギャラリーが、アジア太平洋地域の近現代美術における重要なアーティストやテーマを取り上げる。本年度は、A Thousand Plateaus Art Spaceがワン・チュアン、Empty Galleryがジェームス・T・ホン[洪子健]、Axel Vervoordt Galleryが今井祝雄をそれぞれ個展形式で取り上げる。日本からは初参加のみぞえ画廊(豊福知徳)、rin art association(白川昌生)に加え、GALLERY KOGURE(原口典之)、思文閣(山口長男)、NUKAGA GALLERY(田中敦子、桂ゆき)が参加する。一方、個展形式で新進のアーティストを紹介する枠組みとなるディスカバリー部門には、ハイライトに挙げられているMaia Contemporary(シスコ・ヒメネス)、Catinca Tabacaru(サフィア・ロブレス・デ・メディナ)、Anat Ebgi(アレック・イーガン)、CLC Gallery Venture(ファン・シー[范西])、Bangkok CityCity Gallery(デュサディー・ハンタクーン)のほか、日本からはMAHO KUBOTA GALLERY(武田鉄平)、MISAKO & ROSEN(加賀美健)が参加する。※()内は出品作家。

アートフェアでは上述した展示ブースのほか、Liang Galleryからシュウ・ヨンスー[徐永旭]、Ink Studioからビンイー、Hanart TZ GalleryからGayBird、Flowers Galleryからモヴァナ・チェン、Alisan Fine Artsからエンジェル・フイホイキウ[許開嬌]、ミン・フェイが、それぞれ大規模なインスタレーションを発表する。また、フィルム部門では、北京とチューリッヒを拠点に活動するリ・ジェンファや、香港の非営利団体Videotageが組んだプログラムを上映する。

 


James T. Hong, Three Arguments about the Opium War (2015) © Courtesy of the artist and Empty Gallery


Dusadee Huntrakul, UAP Mushroom (2022) © courtesy the artist and Bangkok CityCity Gallery

 

本年度はアートバーゼルとM+による初の共同コミッションプロジェクトとして、香港のアートシーンにおける映像表現の先駆的な存在として知られるエレン・パウが、M+のファサードを利用したサイトスペシフィックな作品《The Shape of Light》を発表する。同作は、手話による般若心経を通じて「色即是空、空即是色」の考察を試み、CGアニメーションで表現した火、水、光といった自然現象が、5月20日から6月19日まで毎日午後7時から午後9時の時間帯に映し出される。なお、5月27日にはエレン・パウのライヴパフォーマンス、5月28日にはトークと上映会、5月29日から6月1日までの4日間のオンライン上映が予定されており、1988年から2015年の間に制作されたパウの映像作品やインスタレーション作品の数々を視聴する機会が設けられている。また、香港政府観光局との共同企画でアートバーゼルがコミッションした「アーティスト・トラム・プロジェクト」では、チャーリー・チェク[卓家慧]、ステファン・ウォン[黃進曦]、シャム・クワンイー[沈君怡]が、香港を走るトラムをキャンパスにした作品を発表する。

なお、アートバーゼル香港2022では、香港政府と保健省健康防御センターによって定められた規制に従い、アートフェアのすべての参加者には入場時に、香港の新型コロナウイルス感染症接触確認アプリ「安心出行(LeaveHomeSafe)」を利用した2度のワクチン接種証明の提示が義務付けられている。また、医療免除のある来場者は、新型コロナワクチン接種医療免除証明書の提出、QRコードなしでワクチン接種記録または免除証明書を提示する場合は、現地会場において免除書類への記入が義務付けられている。

 

アートバーゼル香港2022https://www.artbasel.com/hong-kong

 


Art Basel Hong Kong 2021 © Art Basel


Art Basel Hong Kong 2021 © Art Basel

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