公募|神戸アートビレッジセンター「ART LEAP 2021」

神戸アートビレッジセンター(KAVC)が主催する30歳以上50歳未満のアーティストを対象とした公募プログラム「ART LEAP 2021」の応募受付が先月1日より5月31日まで行なわれている。

KAVCは、2018年にそれまで実施してきた主に20代を対象とした育成支援プログラムに加え、30、40代のアーティストが新たな表現の創造と意欲的な挑戦に取り組む舞台として「ART LEAP」を新設した。同プログラムでは、ひとりの審査員が1名/組のアーティストを選出する審査方法を採用し、毎年新たに審査員を迎えることで評価基準を切り替えている。また、大きな特徴として、アーティストとKAVCスタッフが協働しながら展覧会プランの実現に向けて取り組む点が挙げられる。

応募・参加資格は、2021年3月末の時点で30歳以上50歳未満、国籍は問わず、日常会話程度の日本語力を有する日本在住のアーティスト。基本的に新作の出品が可能であること、展覧会の制作プロセスに関心を持ち、ミーティングや会期中の来館などプログラムへの積極的な参加が可能であることを条件としている。サポート内容は、制作補助費50万円をはじめとする経済的な支援や、KAVCスタッフによる展覧会制作のサポート、広報協力、展覧会記録カタログの作成など。選考プロセスは、展覧会プランの応募受付の締切が5月31日(※当日必着、書類持参の場合は開館時間内の受付)。6月中旬の一次審査、7月25日の最終選考・公開プレゼンテーションを経て、7月下旬に出展アーティストを決定、発表する。詳細および募集要項のダウンロードは公式ウェブサイトを参照。

4回目となる本年度の審査員は、アーカス・プロジェクトのディレクター(2007-2010)やビンコム現代芸術センターの芸術監督(2017-2020)などを歴任し、2011年より東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)の代表を務めるキュレーターの遠藤水城。遠藤は本プログラムが対象とする中堅を「来るべき未知のアートに対して自身を変化させる時期、あるいは変化そのものを体現する時期にあたるのではないでしょうか」と問いかけ、審査項目に以下のふたつの設問を加えている。

《設問1》
審査が5項目の基準でなされるとします。それぞれ5点満点で最高点が25点だとして、あなたの展覧会プランが満点を獲得するとしたら、その審査基準5項目はどのようなものでしょうか。例えば、私は自分がかつて企画した展覧会「裏声で歌へ」が好きなのですが、その場合は1. 中学生への訴求度、2. 価値基準の複数性の明示、3. 参加作家の満足度、4. おおらかさ、5. 「全体」の見渡せなさ、という基準において満点であり、他のいかなる展覧会よりも優れていると考えることができます。自分の得意分野を審査基準にしてしまえば、一番になれるはずです。ということで、5項目を挙げ、必要であればそれぞれの項目について説明してください。また逆に、こういう審査基準は採用しないでほしい、というものを3つ挙げ、必要であればその理由を書いてください。

《設問2》
今回の展覧会はコロナウィルスの拡散状況によって日程の変更や短縮があるかもしれません。最悪の場合、中止すら想定されます。またパンデミックに限らず、そういった不測の事態は常に起こりうるとも言えます。あなたの展覧会プランはそのような状況にどのように対応しうるものですか。変更可能性や代案などがあるでしょうか。あるいは、今回の展覧会プランはそのような状況を踏まえたものでしょうか。時間と空間が確定し安定している「展覧会」という制度が崩れ、不安定な「例外状態」が露出した場合、あなたの芸術実践はどのような意味を持ちますか。

 

「ART LEAP 2021」展覧会プラン募集https://www.kavc.or.jp/events/7444/

 


蓮沼昌宏、展示風景、個展『ART LEAP 2020「特別的にできない、ファンタジー」』神戸アートビレッジセンター、2021年
撮影:蓮沼昌宏


蓮沼昌宏、展示風景、個展『ART LEAP 2020「特別的にできない、ファンタジー」』神戸アートビレッジセンター、2021年
撮影:蓮沼昌宏


蓮沼昌宏、展示風景、個展『ART LEAP 2020「特別的にできない、ファンタジー」』神戸アートビレッジセンター、2021年
撮影:蓮沼昌宏

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