京都市京セラ美術館が2020年度のオープニング・ラインナップを発表


杉本博司「OPTICKS 008」2018年 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

 

2019年8月28日、来春のリニューアルオープンを目指し、改修、増築工事の進む京都市京セラ美術館が、開館記念展となる『京都の美術 250年の夢』をはじめ、杉本博司やアンディ・ウォーホルの個展、椹木野衣を企画・監修に迎えた『平成の美術 1989-2019(仮称)』など、2020年度に開催するオープニング・ラインナップを発表した。また、プレオープニングイベントとして、京都にゆかりのある鬼頭健吾によるインスタレーションや髙橋匡太によるライトアップなどが2019年12月より披露されることも併せて発表された。

青木淳・西澤徹夫設計共同体によるリニューアル後は、1933年に鉄骨鉄筋コンクリート2階建て帝冠様式建築として建設された歴史的な本館と、現代美術に対応した新館「東山キューブ」、新進作家を中心に発信する「ザ・トライアングル」といった展示室に加え、「京セラスクエア」「日本庭園」などによって、近代から現代までを織り交ぜた多様なジャンルのアートを発信することで、伝統と革新が交わり進化する、京都ならではの文化の新たな一面を提示することを目指していく。

 


Both:曾我蕭白「群仙図屏風」1764年 文化庁蔵 重要文化財

 

本館での開館記念展は『京都の美術 250年の夢』。江戸から明治、そして現代まで約250年間の京都の名品を集めた大規模な展覧会を3期にわたって開催する。また、新設のコレクションルームでは、近代日本画を代表する京都画壇の作品群を中心に、3600点余りの近代以降の京都の美術の総合的な内容となる同館コレクションから、京都画壇の日本画、工芸などを紹介する。一方、現代美術、アニメーション、コミック、ファッションなどを幅広く紹介する新館「東山キューブ」では、ゲスト・キュレーターに三木あき子を迎えて、杉本博司の個展『杉本博司 瑠璃の浄土』を開催。作家自身のこれまでの京都との関わりと同館が立地する岡崎の文脈に目を向けた内容の下、新作シリーズ「OPRICKS」や硝子にまつわるさまざまな作品や考古遺物を展示する。また、関連プログラムとして、新館に隣接した日本庭園に設置した「ガラスの茶室 聞鳥庵(モンドリアン)」で、田中泯の「オドリ」や茶会のパフォーマンスを開催、ロームシアター京都でも杉本博司プロデュースによる能楽『三番叟』、『月見座頭』を上演する。

「東山キューブ」では、杉本展に続き、会田誠や鴻池朋子、奈良美智、福田美蘭、村上隆らが参加する『THE ドラえもん展 KYOTO 2020』、京都では初となる本格的なウォーホル展として、ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館所蔵の約200点を通じて、その作家像に迫る『ANDY WARHOL KYOTO/アンディ・ウォーホル・キョウト』、1999年に『日本ゼロ年』展(水戸芸術館)を企画し、著書『日本・現代・美術』(1998)や『震美術論』(2017)などを上梓するなど、90年代以降の日本の美術評論をリードしてきた美術批評家の椹木野衣が企画・監修を務める『平成の美術 1989-2019(仮称)』を予定している。

京都市京セラ美術館は、1933年に「大礼記念京都美術館」として開館。占領期にGHQの駐留軍に接収された期間を挟み、52年に京都市美術館と改称し、2000年には別館を開館、現在に至るまで美術館活動を継続してきた。2015年には『PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015』のメイン会場としても使用されている。開館80周年を機に「京都市美術館将来構想」(2014)、「京都市美術館再整備基本計画」(2015)を策定し、再整備の公募を開き、青木淳・西澤徹夫設計共同体を選出。2017年には50年間のネーミングライツ契約を締結し、通称を「京都市京セラ美術館」と改め、2019年4月には新館長に青木淳が就任する旨が発表された。

 

京都市京セラ美術館https://kyotocity-kyocera.museum/

 

京都の美術 250年の夢
プロローグ|2020年3月21日(土)- 4月5日(日)
第1部|2020年4月18日(土)- 6月14日(日)前期・後期
第2部|2020年7月11日(土)- 9月6日(日)前期・後期
第3部|2020年10月3日(土)- 12月6日(日)前期・後期
会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階

杉本博司 瑠璃の浄土
2020年3月21日(土)- 6月14日(日)
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
ゲスト・キュレーター:三木あき子

 


ANDY WARHOL KYOTOロゴ、特設ウェブサイト:https://www.andywarholkyoto.jp/

Copyrighted Image