野村アートアワード、エマージング・アーティスト賞を発表


チェン・ラン

 

2019年5月21日、野村ホールディングス株式会社は、世界で挑戦を続けるアーティストの支援を目的とした野村アートアワードにおけるエマージング・アーティスト賞の受賞者を京都の東福寺で発表した。創設初年度の受賞者には、杭州を拠点に活動するチェン・ランと、ニューヨークを拠点に活動するキャメロン・ローランドの2名が選ばれ、今後の活動支援としてそれぞれ10万米ドル(約1100万円)が授与された。

チェン・ラン(1981年中国・内モンゴル自治区生まれ)は、西洋及び中国の文学、詩歌、映画、視覚文化を引用し、神話や歴史的出来事を組み合わせた新しいナラティブを展開する映画や映像インスタレーションなどで知られる。2004年に中国美術学院を卒業し、数年間にわたってヤン・フートンの下で制作に取り組んだチェン・ランは、2011年に中国の美術メディア「燃点(Ran Dian)」の「Best Young Video Artist」に選ばれるなど、「80後(バーリンホウ)」世代を代表するアーティストとして、国内外の数々の展覧会で作品を発表してきた。代表作に、9時間に及ぶ長編映画『In Course of the Miraculous』や、近年、香港のK11アート・ファンデーションの協力のもと、ニュー・ミュージアムで発表した「狂人日記(Diary of a Madman)」などがある。日本国内では、2009年にヨコハマ国際映像祭2009 CREAMや2013年のオオタファインアーツでのグループ展『Standing in the Shadow』に出品、2018年に同ギャラリーで個展『The Lament: Mountain Ghost』を開催している。

 


展示風景:チェン・ラン『The Lament: Mountain Ghost』オオタファインアーツ(東京)2018年、Photo: ART iT


展示風景:キャメロン・ローランド、岡山芸術交流2016、Photo: ART iT

 

一方、キャメロン・ローランド(1988年フィラデルフィア生まれ)は、日常的なオブジェに新たな文脈を与えることで、身近な環境に影響を及ぼしている経済的、政治的、法的な力を際立たせる表現を試みている。2011年にコネチカット州ミドルタウンのウェズリアン大学を卒業以来、国内外で作品の発表を重ね、近年はMoMA PS1やニューヨーク近代美術館などの企画展やホイットニー・ビエンナーレ2017、第33回サンパウロ・ビエンナーレで作品を発表、ニューヨークのアーティスツ・スペース(2016)やロサンゼルス現代美術館などで個展を開催している。日本国内では、岡山芸術交流2016や『村上隆のスーパーフラット・コレクションー蕭白、魯山人からキーファーまでー』(横浜美術館、2016)に出品している。

審査員を務めたのは、ドリュン・チョン(M+美術館副館長兼チーフキュレーター)、オクウィ・エンヴェゾー(ハウス・デア・クンスト美術館前館長)、キャシー・ハルブライヒ(ロバート・ラウシェンバーグ財団エグゼクティブ・ディレクター)、長谷川祐子(東京都現代美術館参事、東京藝術大学教授)、マックス・ホライン(メトロポリタン美術館館長)、ニコラス・セロータ(英国アーツ・カウンシル チェアマン、テート美術館元館長)、アラン・シュワルツマン(アート・エージェンシー・パートナーズ創業者兼プリンシパル、サザビーズ ファインアート部門チェアマン)の7名。この度発表されたエマージング・アーティスト賞のほか、10月には優れた実績を有し、さらなる飛躍が期待されるアーティストに贈られる大賞の発表を上海で行なう予定。受賞者のこれまでの功績を称えるとともに、新たな制作活動支援として、賞金100万米ドルを贈呈する。

 

野村アートアワードhttps://www.nomuraartaward.com/

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