第16回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展


Freespace undercroft: Grafton Architects Universitta Luigi Bocconi Milan, (2008) Photo: Federico Brunetti

 

2018年5月26日より、第16回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展が開幕する。アイルランドを拠点に活動するグラフトン・アーキテクツのふたり、イヴォンヌ・ファレル&シェリー・マクナマラが掲げるテーマ「FREESPACE」の下、企画展や国別パビリオン展示をはじめ、建築をめぐる多彩な企画が開催される。

ファレル&マクナマラは昨年、「FREESPACEとは、空間それ自体の質に重点を置く建築の課題の核にある寛大と人間性を表すものである」からはじまり、その言葉の定義と展覧会の意図を「FREESPACE」と題したマニフェストとして発表し、すべての参加者や参加パビリオンに、それぞれの「freespace」の提示を求めた。ファレル&マクナマラによる企画展『FREESPACE』には、71人/組の建築家や建築事務所が参加(日本からは伊東豊雄建築設計事務所、SANAA(妹島和世、西沢立衛)、手塚建築研究所が参加)。同企画展では、過去の有名建築の省察にはじまる作品で構成した「Close Encounter」や、教育のひとつの形として発展したプロジェクトを紹介する「The Practice of Teaching」といった特別部門の展示も行なわれる。

 


Lina Bo Bardi’s Freespace (vão livre): Lina Bo Bardi Museu de Arte de São Paulo (1947) Photo: Shelley McNamara


Yukiko Suto, W HouseーEntrance Side (2010) © Yukiko Suto, Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo

 

国別パビリオンには、初参加のアンティグア・バーブーダ、グアテマラ、サウジアラビア、パキスタン、バチカン、レバノンを含む63の国や地域が参加。日本館は貝島桃代が、ロラン・シュトルダー井関悠とキュレーターチームを構成し、設計詳細図から空間と活動の連関図、ハイブリッドな都市環境図、自然災害後の農山漁村の大規模調査まで、国内外の大学やデザインスタジオ、建築家、アーティスト(宮下幸士、須藤由希子、山口晃、ス・ドホ、マップオフィス、ほか)など42組の作品を紹介する。「of:について」「for:のための」「among:とともに」「around:のまわり」といった英語の前置詞に代表されるような建築との関係から生まれたドローイング/社会についてのドローイングを通じて、「建築の民族誌」を描き出す。

なお、5月26日には生涯功績への金獅子賞が、イングランド出身の建築家兼建築史家のケネス・フランプトン(1930年ロンドン生まれ)に授与される。批評家、教育者としても知られるフランプトンは、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートやロンドンAAスクール、コロンビア大学などで教鞭を執り、現在、コロンビア大学建築都市修景学部ウェア終身教授を務める。主な著作に、『Modern Architecture: A Critical History(邦訳:現代建築史)』、『Towards a Critical Regionalism』、『Studies in Tectonic Culture(邦訳:テクトニック・カルチャー-19-20世紀建築の構法の詩学)』、『A Genealogy of Modern Architecture: Comparative Critical Analysis of Built Form』がある。

 

第16回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展「FREESPACE」
2018年5月26日(土)-11月25日(日)
http://www.labiennale.org/en/architecture/2018
総合ディレクター:イヴォンヌ・ファレル&シェリー・マクナマラ(グラフトン・アーキテクツ)
総合テーマ:FREESPACE

 

第16回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展 日本館「建築の民族誌」
コミッショナー/主催:国際交流基金
キュレーター:貝島桃代(アトリエ・ワン、筑波大学、スイス連邦工科大学チューリヒ校)
ロラン・シュトルダー(スイス連邦工科大学チューリヒ校建築理論教授、建築理論・建築史研究所所長)
井関悠(水戸芸術館現代美術センター学芸員)
https://www.jpf.go.jp/j/project/culture/exhibit/international/venezia-biennale/arc/16/

 


Momoyo Kaijima, Exhibition Design Drawing, (2018) © Momoyo Kaijima

 


 

ART iT Archive
第16回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展 日本館(2017年10月)
第15回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展(2016年5月)

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