「ソフィ カル―限局性激痛」 原美術館コレクションより 2019 年1 月5 日[土]-3 月28 日[木]【原美術館】

「ソフィ カル―限局性激痛」1999-2000年 原美術館での展示風景
© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018

世界的に注目されるフランスの女性現代美術作家、ソフィ カル。19年前に原美術館で開催し、大きな反響を呼んだソフィ カルの個展「限局性激痛」(1999-2000年)を、フルスケールでご覧いただく再現展を開催いたします。同展は日本の美術館におけるカルの初個展として開催され、会期終了後、全出品作品が当館のコレクションに加えられました。「限局性激痛」とは、医学用語で身体部位を襲う限局性(狭い範囲)の鋭い痛みや苦しみを意味し、カル自身の失恋体験による痛みとその治癒を、写真と文章で作品化したものです。人生最悪の日までの出来事を最愛の人への手紙や写真で綴った第一部と、その不幸話を他人に語り、代わりに相手の最も辛い経験を聞くことで、自身の心の傷を少しずつ癒していく様子を、美しい写真と刺繍で綴った第二部で構成されます。自身の人生をさらけ出し、他人の人生に向き合うカルの制作に多くの鑑賞者が心を打たれることでしょう。鑑賞者にさまざまな問いを投げかけるカルの作品を、この機会に是非ご覧ください。

【ソフィ カル について】

Photo:Jean-Baptiste Mondino

1953年パリ生まれ。見知らぬ人々を自宅へ招き、自分のベッドで眠る様子を撮影したものにインタビューを加えた「眠る人々」(1979年)や、ヴェネツィアのホテルでメイドをしながら、宿泊客の部屋の様子を撮影した「ホテル」(1981年)、拾ったアドレス帳に載っていた人物にその持ち主についてのインタビューを行い、日刊紙リベラシオンに連載した「アドレス帳」(1983年)など、彼女の作品は常に論争を巻き起こしています。90年代の「本当の話」や「ヴェネツィア組曲」など初期の代表作を制作する一方で、「盲目の人々」(1986年)から始まった盲人に焦点を当てたシリーズにおいて、美術の根幹に関わる視覚・認識についての深い考察を行っています。また、カルの生き方に感銘を受けたポール オースターが、彼女を小説「リヴァイアサン」の登場人物マリア ターナーのモデルとしたことをきっかけに、逆にカルがターナーを演じた作品「ダブル・ゲーム」(1998年)を発表するなど、その活動は現代美術の枠組みを超えて広く注目を集めています。テートギャラリー(1998年)やポンピドゥーセンター(2003-2004年)での個展の他、各国の主要美術館にて個展を多数開催、第52回ヴェネチアビエンナーレ(2007年)にフランス代表として参加。2017年にはフランスにおける個展を、パリ狩猟自然博物館という異色の会場で開催し、話題になりました。原美術館では、「限局性激痛」(1999-2000)に加え、カルが長年にわたって追究してきた視覚や認識に関するテーマを扱った「最後のとき/最初のとき」(2013)の2回の個展を開催しました[「最後のとき/最初のとき」は豊田市美術館(2015年)、長崎県立美術館(2016年)へ巡回]。

【「限局性激痛」制作にまつわるエピソード】

(1)原美術館で世界初公開
日本滞在が契機となって誕生した作品「限局性激痛」は、日本で最初に発表したいという作家の希望を受けて1999年の原美術館での展覧会のためにまず日本語版が制作され、その後フランス語や英語版も世界各国で発表されました。

(2)フランス語版
フランス語版“Douleur Exquise”はポンピドゥー国立近代美術館での大個展(2003-2004年)に出品された後、同館コレクションに加わりました。

(3)テキスト刺繍は新潟で制作

「ソフィ カル―限局性激痛」1999-2000年
原美術館での展示風景
© Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018

「限局性激痛」第二部で特徴的なのは、テキストが全て刺繍でつづられている点。「見本と寸分違わず刺繍できる凄腕の職人がフランスにいる」という作家の情報を受けて、当初、日本語のテキストをフランスで手刺繍してもらう予定でした。しかしなにしろ膨大な量です。新潟にある刺繍工場の方と偶然にも幸福な出会いがあり、大変な協力を得て、まずは日本語版の機械刺繍が完成しました。生地は作家こだわりの麻布をベルギーから取り寄せました。作家も出来栄えに大いに満足した結果、フランス語版と英語版も新潟で制作されました。

(4)こだわりの翻訳
ソフィ カル作品の命ともいえるテキスト。コピーライターの竹内桃子氏にお願いして、原文にあるニュアンスを取り込みながら日本語版テキストを完成しました。

(5)第一部で被写体となった品々
15年間封印されていた思い出の品々―行動を記録した手書きのメモ、地図、ポラロイドやコンタクトプリント、(中国の)紙幣、そしてあってはいけない某ホテルの鍵などは、全て、ひとまとめにしまわれていました。作品制作を決めた作家は、これを開封し、メモや記憶をたよりに必要に応じてその地を再訪するなどして、数年をかけてこのシリーズ作品が完成しました。

(6)哲学者やアーティストも作品に参加
第二部で、自らの最もつらい体験をカルの失恋体験と交換した相手の中には、哲学者やアーティストも。当館にて2012年に個展を開催したフランスの現代美術作家、ジャン=ミシェル オトニエルも実はその一人です。

【開催要項】
展覧会名 「ソフィ カル―限局性激痛」 原美術館コレクションより
(欧文表記 Sophie Calle, “Exquisite Pain” from the Hara Museum Collection )
会期 2019年1月5日[土] – 3月28日[木]  開館日数 71日
主催・会場 原美術館[東京・品川]
東京都品川区北品川4-7-25 〒140-0001 Tel 03-3445-0651
E-mail info@haramuseum.or.jp
ウェブサイト https://www.haramuseum.or.jp
休館日 月曜日(1月14日、2月11日は開館)、1月15日、2月12日
※年末年始休館は2018年12月25日[火]から2019年1月4日[金]まで
開館時間 11:00 am – 5:00 pm(水曜は8:00 pmまで/入館は閉館時刻の30分前まで)
入館料 一般1,100円、大高生700円、小中生500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人100円引
交通案内 JR「品川駅」高輪口より徒歩15分/タクシー5分/都営バス「反96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩3分/京急線「北品川駅」より徒歩8分
*日曜・祝日には当館学芸員によるギャラリーガイドを実施(2:30 pmより30分程度)

【ザ・ミュージアムショップにて フランス語版 “Douleur Exquise” 書籍販売予定】
当館ショップ限定の和訳テキストを付録として差し上げます。

【カフェ ダール 展覧会関連「イメージケーキ」のご案内】

原美術館館内の「カフェ ダール」では、緑ゆたかな庭に展示された作品を眺めながら、季節感あふれるお菓子やお食事、ドリンクをお楽しみいただけます。美術館のカフェならではのメニューとして人気が高いのが、開催中の展覧会にあわせた「イメージケーキ」(755円)。展覧会と合わせ、イメージケーキもぜひお楽しみください。
*カフェのみのご利用にも入館料が必要です。

原美術館
住所 東京都品川区北品川4-7-25 〒140-0001
Tel  03-3445-0651(代表)
E-mail  info@haramuseum.or.jp
ウェブサイト https://www.haramuseum.or.jp
ブログ http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum
Twitter  http://twitter.com/haramuseum

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