リチャード・ハミルトン死去(1922-2011)

2011年9月13日、ポップアートの先駆者として知られるリチャード・ハミルトンが、病のためにロンドン近郊のオックスフォードシャーの自宅にて死去した。89歳。

ハミルトンは1922年、ロンドンに生まれる。第二次世界大戦を製図技師として経験した後、ロンドン王立美術学院(中退)やロンドン大学スレード校美術学部で学ぶ。卒業後、1952年にインスティチュート・オブ・コンテンポラリーアート(ICA)にて複数のメンバーとともにインディペンデント・グループを設立。1956年に彼らが企画した『This is Tomorrow』(ホワイトチャペルアートギャラリー)にて発表されたコラージュ作品「Just what is it that makes todayʼ s homes so different, so appealing? (いったい何が今日の家庭をこれほど変え、また魅力的なものにしているのか)」は、最初期のポップアート作品のひとつとして知られる。

1963年には親交のあったマルセル・デュシャンの「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」(通称、大ガラス)の複製を制作、1966年、テートギャラリーで行われた『デュシャン回顧展』に参加する。1968年にはポラロイド撮影による自画像のシリーズを開始。また、同年発売されたビートルズの『ホワイト・アルバム』のジャケットデザインを手掛ける。1970年には自身初の美術館での回顧展をテートギャラリーにて行い、1973年にはニューヨークのグッゲンハイム美術館にて回顧展を開催。1993年にはヴェネツィア・ビエンナーレにイギリス代表として参加し、金獅子賞を受賞している。

日本では1974年に西村画廊で行われた企画展のために初来日。その後も同ギャラリーにて5度の個展を開催。2008年には第20回高松宮殿下記念世界文化賞の絵画部門の受賞者に選ばれている。

近年も戦後の消費社会に対する批評的な作品や政治的な作品を制作し、2008年にはエジンバラの王立植物園で「プロテスト」をテーマにした個展『Protest Pictures』、昨年はサーペンタイン・ギャラリーにて個展『Modern Moral Matters’』を開催。現在もリタ・ドナーとの二人展『Civil Rights etc』がダブリンのヒュー・レーン・アートギャラリーにて開催中。亡くなる数日前まで2013年夏にロサンゼルスを皮切りにフィラデルフィア、ロンドン、マドリッドと巡回する回顧展に取り組んでいた。

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