2011年7月20日、20世紀を代表する具象画家として知られるルシアン・フロイドがロンドン市内の自宅にて病気のため死去した。88歳。
フロイドは1922年にベルリンに生まれ、1933年にナチスの迫害を逃れてロンドンへ移る。ロンドンやデダムで美術を学び、1944年にルフェーブル・ギャラリーにて最初の個展を開き、1954年にはベン・ニコルソンやフランシス・ベーコンとともに第27回ヴェネツィア・ビエンナーレのイギリス館代表に選ばれた。1987年から88年にかけて行われた回顧展は国外初の本格的な展示として、ワシントンDCのハーシュホーン美術館を皮切りにパリ、ロンドン、ベルリンを巡回。2000年以降もテート・ブリテン、ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センターなど国内外の主要な美術館にて個展が開催されている。
とりわけ肖像画で知られたフロイドは、家族や身近な人々をはじめ、親友の画家フランシス・ベーコン、世界的なモデルのケイト・モス、2001年にはエリザベス2世も描いている。2008年5月にはニューヨークのクリスティーズで行われたオークションにて「Benefits Supervisor Sleeping」(1995)が3360万ドル(当時約35億5000万円)で落札され、当時、存命作家の絵画作品の販売価格として最高記録を樹立した。なお、ルシアン・フロイドは精神分析学者のジークムント・フロイトの孫にあたる。
(文中敬称略)