アートウィーク東京が11月4日から開幕


 

東京の現代美術を牽引する都内50のギャラリーや美術館が参加し、東京という都市の文脈に息づく現代美術を世界に向けて発信するためのアートイベント「アートウィーク東京」が、2021年11月4日(木)から11月7日(日)の4日間にわたって開催される。

2022年の本格始動を前に開かれる本年度は、各ギャラリーや美術館のプログラムのほか、すべての会場を繋ぐ「アートバス」を4つのルートで運行し、グループ・音楽、塩見允枝子、高山明、毛利悠子の4組が各ルートを走るバスを舞台に作品を発表する特別企画「都市を巡る声」を開催する。アートバスのチケットは公式ウェブサイトで購入可能。また、開催に先立ち、アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT]が企画したオンライントークプログラムを開催。森美術館館長の片岡真実による1950年代以降に日本およびアジアから欧米に向けて発信された主要な展覧会とその受容に関するレクチャーなど、既に行なわれたものは公式ウェブサイトで視聴可能となっている。11月3日には、「アートバス」の参照点ともいえるフルクサスの《バス観光ハプニング》の参加者のひとりでもあり、今回の「アートバス」でも作品を発表する塩見允枝子へのインタビューが、アートウィーク東京公式YouTubeチャンネルで配信される。

 


特別企画《都市を巡る声》の4つのバスルート(アートウィーク東京ウェブサイトより)


アートウィーク東京 オンライントークプログラム 片岡真実「変遷する芸術の価値 評価するのは『どこ』の『だれ』なのか?」

 

Aルートは、来年1月まで会期を延長した『アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人』を開催中の森美術館からはじまり、天王洲のTERRADA ART COMPLEX(ANOMALY、児玉画廊、ユカ・ツルノ・ギャラリー、KOTARO NUKAGA)、広尾(MISA SHIN GALLERY、カイカイキキギャラリー)、恵比寿(MEM、東京都写真美術館)、中目黒(POETIC SPACE、青山目黒)とまわり、六本木(ギャラリーサイド2)に返ってくる。アートバスでは、1960年代前半に短期間の活動ながら現在の即興演奏や電子テクノロジーを用いた表現に大きな影響を残したグループ・音楽が、60年にメンバーの水野修孝の自宅で記録した2曲と61年に草月会館ホールで開催された公演会第2部の録音を紹介する。

Bルートは、『柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年』を10月26日から開催する東京国立近代美術館を出発し、新日本橋(タグチファインアート)、錦糸町(無人島プロダクション)、清澄白河(KANA KAWANISHI GALLERY、ハギワラプロジェクツ)、『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 M式「海の幸」−森村泰昌 ワタシガタリの神話』を開催中のアーティゾン美術館を経て、銀座(ギャラリー小柳、日動コンテンポラリーアート、THE CLUB、東京画廊+BTAP)、有楽町(rin art association @ CADAN 有楽町)、赤羽橋(PGI)、麻布十番(Take Ninagawa)と巡って、森美術館に向かう。アートバスでは、コンポジション(構築)へのアプローチではなく、環境などの諸条件によって変化してゆく「事象」にフォーカスするインスタレーションやスカルプチャーを毛利悠子が、誰もが知ってる名曲からアンダーグラウンドな1曲まで、東京の街をご当地ソングとともにバスで巡る新作のサウンド・プログラムを発表する。

 


左:塩見允枝子 撮影:植松琢麿 右:毛利悠子 撮影:新津保建秀


高山明 撮影:奥祐二

 

Cルートは、イラストレーター、グラフィックデザイナーとして広く知られる和田誠(1936–2019)の幅広い活動を紹介した『和田誠展』を開催中の東京オペラシティ アートギャラリーをスタートし、目白(タリオンギャラリー)、大塚(MISAKO & ROSEN)、巣鴨(XYZ collective / THE STEAK HOUSE DOSKOI、4649)、駒込(カヨコユウキ)、日暮里(スカイザバスハウス)、飯田橋(ミヅマアートギャラリー)、外苑前(ワタリウム美術館、MAHO KUBOTA GALLERY)、原宿(ナンヅカ アンダーグラウンド、Blum & Poe、Gallery 38)と小刻みにまわり、新宿(ユミコチバアソシエイツ)に戻る。アートバスでは、グループ・音楽やフルクサスにも参加し、トランスメディアという独自の手法により、視覚作品、パフォーマンス、作曲など多ジャンルにわたる活動を現在も継続する塩見允枝子が、《AWT 巡回バスの為の五つのイヴェント》のインストラクションを発表する。

Dルートは、六本木のアートコンプレックスcomplex665(小山登美夫ギャラリー、シュウゴアーツ、タカ・イシイギャラリー)、ピラミデビル(ペロタン東京、Yutaka Kikutake Gallery、KOTARO NUKAGA、オオタファインアーツ、TARO NASU)から、表参道(ファーガス・マカフリー東京)、外苑前(ワタリウム美術館、MAHO KUBOTA GALLERY)、国立競技場や新宿御苑を右手に見ながら、江戸川橋(WAITING ROOM、Maki Fine Arts)、竹橋(東京国立近代美術館)と皇居をまわって、六本木通りを帰る。アートバスでは、これまでも東京の都市空間を舞台とした複数のプロジェクトを展開するなど、都市や社会に介入する演劇のあり方を模索してきた高山明が「戦争画/ヘテロトピアー東京国立近代美術館編」の展示を行なう。(※上述したAからDまでの4つのルートはあくまでもアートバスのルートに準じたもの。)

 

アートウィーク東京
2021年11月4日(木)-11月7日(日)
開場時間:10:00-18:00(ただし、東京オペラシティ アートギャラリー、ワタリウム美術館は11:00開館)
会場:美術館6館・ギャラリー44軒
AWT インフォメーションセンター(東京都港区南青山 5-4-30)
主催:一般社団法人 コンテンポラリーアートプラットフォーム(JCAP)
協力:Art Basel(アートバーゼル)、一般社団法人 日本現代美術商協会(CADAN)
https://www.artweektokyo.com

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