2013年8月28日、毎年質の高いプログラム構成で知られるフェスティバル/トーキョーが、第6回目となるF/T13の全プログラムの詳細を発表した。
哲学の世界では大きな物語の終焉が提唱されて久しいが、それでもなお、現在を生きる私たちは、人々がその不在に耐えられず、より単純化された「大きな物語」をねつ造し、しがみつこうとすることを実感している。こうした時代の空気を感じながら、あらためて「物語」の役割と表現について考えるため、F/T13のコンセプトには「物語を旅する」が掲げられた。従来の主催プログラム、公募プログラム、連携プログラムに加え、フェスティバルならではの特徴を踏まえたオープン・プログラムを新設し、演劇の基本要素であるドラマやフィクションを再び問い直し、同時代の物語の新しいあり方を探求する。
※ プログラム・ディレクター相馬千秋によるコンセプトの説明は8月28日のプレスリリース(PDF)に全文が掲載されている。
主催プログラムでは、昨年の公募プログラムでF/Tアワードを受賞したシアタースタジオ・インドネシアが池袋西口公園を舞台に『オーバードーズ:サイコ・カタストロフィー』を世界初上演。また、松井周演出のサンプル『永い遠足』も同じく世界初上演。ツアー形式の上演作品には、F/Tの常連Port Bの『東京ヘテロトピア』や、中野成樹、長島確による『四谷雑談集』と『四家の怪談』が、同じく四谷に焦点を当てた木ノ下歌舞伎の『東海道四谷怪談—通し上演—』はあうるすぽっとで上演を行う。そのほか、昨年のKAAT神奈川芸術劇場での発表を皮切りに国内外5カ所を巡回したチェルフィッシュの『現在地』、レバノン出身のラビア・ムルエは日本初演となる二本のプログラムと映像作品『ピクセル化された革命』を発表し、昨年のF/Tで大きな反響を生んだエルフリーデ・イェリネクの『光のない』シリーズに、小澤剛と宮沢章夫がそれぞれ取り組むなど、多彩な作品が並ぶ。
シンポジウムや今年で4回目を迎える公募プログラム、同時期に東京都内で開催される連携プログラム、新設のオープン・プログラムも展開。オープン・プログラムでは、誰もが気軽に無料で参加できるプログラムを展開し、会期初日の11月9日には、いとうせいこうx宮沢章夫によるリーディングライブやフラッシュモブの手法を使った群衆パフォーマンス「F/Tモブ・スペシャル」(会期中毎週末開催)、椿昇が東京芸術劇場のアトリウム内に制作した巨大オブジェの披露(会期中常時展示)など、さまざまなイベントが催される。
各プログラム及びチケット情報などの詳細は公式ウェブサイトを参照。
フェスティバル/トーキョー:http://festival-tokyo.jp/
フェスティバル/トーキョー13
2013年11月9日(土)-12月8日(日)
東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎、シアターグリーン、アサヒ・アートスクエアほか