VOCA展2016、各賞受賞者発表


久門剛史「crossfades #3」

2015年12月25日、VOCA展実行委員会は、全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどから推薦された32名のアーティストの中から、音や光、立体を用いたインスタレーションで知られる久門剛史の「crossfades #3」をVOCA賞に決定した。

久門剛史は1981年京都府生まれ。2007年に京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了。現在も京都を拠点に活動する。コンピュータプログラムで制御した日用品を展示空間に配し、それらが発する光や音、さまざまな現象を引き起こし、鑑賞者に展示空間や展示された事物の記憶や物語を喚起させるインスタレーションを中心に発表している。近年は、資生堂アートギャラリーでの個展(2013)、大阪のコーポ北加賀屋(2013)、国際芸術センター青森(2013)、札幌のチ・カ・ホ(2014)の企画展、京都の元・崇仁小学校などで開催された『still moving』(2015)に参加。また、日産アートアワード2015の最終候補に選出され、来場者の投票によるオーディエンス賞を受賞している。

そのほか、VOCA奨励賞は、事物に潜む記憶の可視化を「写真」を通じて試みる鈴木のぞみと、黒いベルベットにスパンコールやラインストーンを用いた油彩画で知られる谷原菜摘子が受賞。佳作賞には、グラフィティ文化の視覚言語を展開した壁画や絵画で知られる大山エンリコイサムと、写真を使ったアニメーションで知られる佐竹真紀が受賞。選考委員は、建畠晢(選考委員長/多摩美術大学学長)、本江邦夫(多摩美術大学教授)、笠原美智子(東京都写真美術館事業企画課長)、片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)、神谷幸江(ジャパン・ソサエティー ギャラリー・ディレクター)、島敦彦(愛知県美術館館長)が務めた。また、大原美術館が独自に選ぶ大原美術館賞は、現代の東北の景色や生活の記憶、ステレオタイプ化された地方や田舎のイメージを参照した絵画を制作する尾﨑森平が受賞した。

VOCA展は、平面美術の領域で国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に、1994年より毎年開催されている。全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどから選出された推薦委員が、それぞれ40歳以下のアーティスト1名を推薦するため、東京だけでなく全国で活動するアーティストに光を当てるという役割も担っている。上述した受賞者を含む32名のアーティストの作品を一堂に展示する展覧会『VOCA展2016—新しい平面の作家たち—』は、2016年3月12日(土)から3月30日(水)まで、上野の森美術館で開催される。


久門剛史「crossfades #3」(部分)

『VOCA展2016—新しい平面の作家たち—』
2016年3月12日(土)-3月30日(水)
上野の森美術館
http://www.ueno-mori.org/

出品作家(50音順)
青木豊、石川潤、井田幸昌、牛嶋直子、ERIC、大山エンリコイサム、尾﨑森平、笠井麻衣子、柏木健佑、嘉手苅志朗、川合朋郎、菊地良博、小林透、今実佐子、佐竹真紀、下出和美、神馬啓佑、鈴木のぞみ、関根直子、竹谷満、谷原菜摘子、NAZE、白田誉主也、花岡伸宏、久門剛史、藤部恭代、前田エマ、村上早、村上友重、横野明日香、芳木麻里絵、渡邊瑠璃

Copyrighted Image